5日(日本時間)、リオデジャネイロ五輪初戦を迎えたU-23日本代表は同ナイジェリア代表と対戦し、4-5で敗れた。日本はMFオグヘネカロ・エテボ(フェイレンセ)1人に4得点を許し大量失点。FW興梠慎三(浦和レッズ)、MF南野拓実(ザルツブルク)、途中出場のFW浅野拓磨(アーセナル)、FW鈴木武蔵(アルビレックス新潟)が1点ずつ得点したがあと一歩、ナイジェリアに及ばなかった。日本と同組の同スウェーデン代表と同コロンビア代表の試合は2-2で引き分けだった。初戦を終え、日本は最下位発進となった。

 

◇グループB

 ボランチ、DFの守備が機能せず(マナウス)

U-23日本代表 4-5 U-23ナイジェリア代表

【得点】

[日] 興梠慎三(9分)、南野拓実(13分)、浅野拓磨(70分)、鈴木武蔵(90+5分)

[ナ] サディク・ウマール(6分)、オグヘネカロ・エテボ(11分、42分、51分、66分)

 

 試合のおよそ7時間前にアメリカ・アトランタからブラジル・マナウス入りしたナイジェリアに日本は痛い黒星を喫した。

 

 前半はシーソーゲームだった。6分、FWイモー・エゼキエル(アル・アラビ)にMF中島翔哉(FC東京)とDF藤春廣輝(ガンバ大阪)の左サイドコンビが振り切られてペナルティーエリア内に侵入を許す。左足でシュートを打たれると、GK櫛引政敏(鹿島アントラーズ)が弾いたが、こぼれ球をFWサディク・ウマール(ローマ)に押し込まれて先制点を奪われた。

 

 いきなり追いかける展開となった日本は、9分に南野が獲得したPKを興梠が右足インサイドでゴール右に冷静に決めて同点にした。しかし、わずか2分後、自陣左サイドから上げられたクロスにDF室屋成(FC東京)がヘディングで跳ね返そうとジャンプするタイミングが合わずボールに触れない。フリーのエテボは胸トラップから強烈な左足ボレー放ち、ゴール右に決まった。再びナイジェリアにリードを許す。

 

 11分、日本は鮮やかな連携から再び追いついた。興梠は左サイドの中島から鋭いパスを送られるとヒールで落とす。このボールをMF大島僚太(川崎フロンターレ)がDFラインの裏へ抜け出した南野へ丁寧なラストパスを送った。南野は落ち着いて左足インサイドで相手GKの股下を抜く技ありのシュートを決めた。流れるようなパスワークで生まれた同点弾。中でもオーバーエイジで招集された興梠のポストワークは際立っていた。

 

 その後、日本はボールを奪っても中盤でのパスミスが目立ち、思うように試合を組み立てることができなかった。流れが悪くなっていた42分、痛い3点目をナイジェリアに決められる。自陣ペナルティーエリア内左でDF塩谷司(サンフレッチェ広島)がS・ウマールに簡単に突破され、ゴール中央に走り込んできたエテボにパスを通された。エテボのダイレクトシュートはDF植田直通(鹿島アントラーズ)がヘディングでブロックするが、こぼれ球をエテボに押し込まれた。日本は塩谷の軽い対応が招いた稚拙な失点で2-3のビハインドで試合を折り返す。

 

 後半に入っても日本は流れを掴めない。6分、塩谷がペナルティーエリア内でファウルを犯し、PKをエテボに決められてリードを2点差にされる。21分にもエテボにこの日4点目となるゴールを献上した。2-5と大きく点差を広げられた。

 

 1点でも返したい日本は25分、左サイドで中島、藤春と繋ぐ。藤春がグラウンダーのクロスを入れると、途中出場の浅野が左足でゴールに流し込んで2点差まで詰め寄った。この得点の後に手倉森誠監督は興梠に代えてバックアップメンバーから繰り上がった鈴木を投入する。その鈴木が後半アディショナルタイムに左足でゴールを奪って1点差まで迫ったが、直後に無情にも試合終了を告げるホイッスルが鳴った。

 

 手倉森監督は「手倉森ジャパンらしくない打ち合いとなった。点を取れている分、守備を修正する。与えた失点が多すぎた」と試合を総括した。途中から出場し1ゴールを奪った浅野は「まずは(相手DFの)裏への(パス)の本数を増やして、流れを良くしようとした。追いつけなくて残念。1点の重みを感じた試合だった。勝利に繋がるゴールを次は決めたい」と語った。

 

 手倉森ジャパンの次節の相手はU-23コロンビア代表だ。中2日と厳しい日程だが、決勝トーナメント進出のためには、もう1つも負けられない。まずは守備の立て直しに全力を注いでほしい。

 

(文/大木雄貴)