6日(日本時間7日)、柔道は女子48キロ級と男子60キロ級とが行われた。女子48キロ級の近藤亜美(三井住友海上)は準決勝で敗れたが、3位決定戦で優勢勝ちを収めた。近藤は今大会日本人メダル第1号となった。金メダルはパウラ・パレト(アルゼンチン)、銀メダルはジョン・ボギョン(韓国)だった。男子60キロ級は高藤直寿(パーク24)が準々決勝で一本負けを喫したものの、敗者復活戦と3位決定戦で連勝して銅メダルを獲得した。決勝はベスラン・ムドラノフ(ロシア)がエルドス・スメトフ(カザフスタン)をゴールデンスコアの延長戦の末に制し、金メダルを手にした

 

 五輪初出場となった軽量級の2人は悔し涙の銅メダルとなった。

 

 女子48キロ近藤は寝技で攻めた。初戦となる2回戦を横四方固めで一本勝ち。準々決勝では先にポイントを許しながら寝技で逆転勝ちを収めた。世界ランキング2位の実力を如何なく発揮した。

 

 迎えた準決勝は昨年の世界選手権女王のパウラ・パレト(アルゼンチン)。一昨年の世界選手権決勝では近藤が優勢勝ちを収めている。しかし、背負い投げで技ありを取られる。その後は寝技に持っていこうとするが、相手にうまくかわされてしまう。最後までポイントを返すことができず試合は終了した。

 

 3位決定戦ではウランツェツェグ・ムンフバット(モンゴル)と対戦した。試合時間5分では決着がつかず、ゴールデンスコアでの延長戦突入かと思われた。だが、終了間際に近藤の隅落としが決まった。最後の最後で有効を奪い、優勢勝ち。日本人第1号となるメダルを手に入れた。

 

 一方、男子60キロの高藤は2回戦、3回戦と順調に勝ち上がったが、準々決勝でまさかの敗戦を喫した。3分を過ぎたあたりで、対戦相手のアミラン・パピナシビリ(ジョージア)に返し技で背中を畳につけられた。一本負けに呆然とした表情の高藤。金メダルの可能性はここで潰える。

 

「いつもの自分なら気持ちが折れていた」という高藤だが、周囲の応援や檄もあって気持ちを取り戻す。敗者復活戦は第1シードのキム・ウォンジン(韓国)から有効を奪って逃げ切ると、3位決定戦ではオルカン・サファロフ(アゼルバイジャン)を攻めて相手の指導を呼び込んだ。技を決めることはできなかったが、2戦連続の優勢勝ちで銅メダルを掴み取った。

 

 ともに金メダルも期待された2人。近藤が「実力のなさがはっきり出た。これを次のオリンピックで必ず生かしたい」語れば、高藤は「まだまだもっと強くならないといけない。4年後、必ず戻ってきて金にしたいと思います」と涙ながらに口にした。軽量級の若きエースはリベンジを誓った。

 

(文/杉浦泰介)

 

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