8日(日本時間)、リオデジャネイロ五輪予選リーグのグループB第2節が行われ、U-23日本代表が同コロンビア代表と2対2で引き分けた。後半に日本は14分、20分と失点を許す。敗れれば最終節を残し予選敗退が決まる日本は0-2の劣勢を後半2つのゴールで引き分けに持ち込んだ。グループBのもう1試合は、同ナイジェリア代表が同スウェーデン代表を1-0で下した。ナイジェリアのB組1位通過が確定した。

 

 途中出場の南野、大島が流れを変える(マナウス)

U-23日本代表 2―2 U-23コロンビア代表

【得点】

[日]浅野拓磨(67分)、中島翔哉(74分)

[コ]テオフィロ・グティエレス(59分)、オウンゴール(65分)

 

 負ければ終わり、背水の陣だった日本は、初戦のナイジェリア戦からスタメン4人を入れ替えてきた。FW興梠慎三(浦和レッズ)とFW浅野拓磨(アーセナル)が2トップを組む4-4-2のシステムでコロンビア戦に臨んだ。

 

 立ち上がりからチャンスを作ったのは日本だった。前半11分、DF室屋成(FC東京)が右サイドからクロスを供給すると、興梠が胸でMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)に落とす。矢島は左足でダイレクトシュートを放つが惜しくも相手GKにセーブされた。15分には室屋が右サイドでキープすると、矢島がフリーランニングで室屋を追い越す。室屋から見事なスルーパスを受け取った矢島はダイレクトでクロスを入れる。惜しくも相手DFにクリアーされたが、室屋と矢島のコンビが右サイドを切り崩した場面だった。

 

 34分、DF藤春廣輝(ガンバ大阪)が蹴った右からのコーナーキックはペナルティーエリアの外に跳ね返されるがMF中島翔哉(FC東京)が拾って左サイドに開いた興梠へボールを繋げた。興梠はファーサイドにクロスを上げると、前線に残っていた藤春がフリーでヘディングシュートを放つ。しかし、このシュートは惜しくもゴール右に逸れた。前半の一番の決定機だっただけに惜しまれる場面だった。

 

 36分、MF遠藤航(浦和レッズ)が中盤でボールを持つと中央やや左にポジションを取る中島へパスを送った。中島はこのボールをスルーすると、快足を飛ばしてオーバーラップをした藤春にボールが渡る。藤春はワントラップしてシュートモーションに入るが、相手にクリアーされた。多くのチャンスを作ったが決めきれない日本は、スコアレスで試合を折り返した。

 

 後半開始早々に好機を迎えたのは日本だった。右サイドの高い位置で浅野が相手のパスをカットした。そのまま浅野がペナルティーエリア手前から左足インフロントでゴール右上を狙う。惜しくも相手GKが指先でコースを変えてボールはバーに嫌われた。その2分後にもペナルティーエリア左でボールを受けた浅野が左足でシュートを打つ。GKが弾いたこぼれ球にMF井手口陽介(ガンバ大阪)が詰めたが、再びGKのファインセーブに阻まれた。

 

 好機を逃し続けると相手に流れが傾くのがサッカーのセオリーである。14分、FWテオフィロ・グティエレス(スポルティング)がペナルティーエリア手前でボールを持つと、途中出場のFWアンドレス・レンテリア(ラグナ)とのワンツーから右足でダイレクトシュートを打つ。ボールはシュートブロックに入ったDF植田直通(鹿島アントラーズ)の左足に当たりコースが変わった。このボールにGK中村航輔(柏レイソル)が反応できず、日本は先制を許した。

 

 失点直後に手倉森誠監督が動いた。矢島と井手口に代えて、MF南野拓実(ザルツブルク)とMF大島僚太(川崎フロンターレ)を投入した。この交代が後に得点に結びつくのだが、その前に不運があった。

 

 20分、焦りの見えた日本は右サイドをFWミゲル・ボルハ(アトレティコ・ナシオナル)に突破されて、シュートを打たれる。このシュートは中村が弾いて防いだものの、つまづきながらこぼれ球に反応した藤春の右足に当たり、オウンゴールを献上してしまう。

 

 後がなくなった日本は途中出場の南野、大島を中心に攻撃のギアを上げる。オウンゴールから2分後、中盤でボールを受けた大島が相手の一瞬の隙を突き、ペナルティーアーク付近にポジションを取る南野へ縦パスを入れた。南野は後ろから来る敵を反転トラップでかわし、浅野へラストパスを出す。このラストパスを受けた浅野はワントラップ後、豪快に左足を振り抜いた。ボールは相手GKの手を弾き、ゴール右に突き刺さった。

 

 29分には中島が中盤やや左からでカットインして相手を1人かわす。相手GKが前寄りにポジションを取っていることを見逃さなかった中島は、右足でカーブをかけたループ気味のミドルシュートを放つ。きれいな放物線を描いたシュートはGKの頭上を越え、クロスバーに当たりゴールに吸い込まれた。エースナンバー10を背負った男が起死回生の同点ゴールを決めた。

 

 この後、終了間際に浅野がDFラインの裏に抜け出してシュートを放つがゴールネットを揺さぶることができず試合終了。

 

 1分1敗の勝ち点1でグループB3位の日本はグループリーグ突破に向けて、首の皮1枚つながった。11日(日本時間)に行われる同4位スウェーデン戦に勝利し、同2位のコロンビアが同1位ナイジェリアに引き分け以下ならば決勝トーナメントに駒を進める。日本がスウェーデンと引き分けても、コロンビアがナイジェリアに2点差以上で負ければ、日本は決勝トーナメントへと進むことができる。

 

 劇的な展開でアジアを勝ち上がった手倉森ジャパンには、この逆境を跳ね除けて、決勝トーナメントに勝ち上がってもらいたい。

 

(文/大木雄貴)