9日(日本時間10日)に行われた男子200メートルバタフライ決勝で、坂井聖人(早稲田大)が2位、銀メダルを獲得した。1位はマイケル・フェルプス(アメリカ)、3位はタマーシュ・ケンデレシ(ハンガリー)。瀬戸大也(JSS毛呂山)は5位。同種目の日本人選手のメダル獲得は、アテネ五輪の山本貴司・銀、北京、ロンドンの松田丈志・銅に続くものだ。

 

 「最後の50メートルで世界の強豪をかわせるようにしたい」
 初めてのオリンピック、坂井は200メートルバタフライ決勝を前にこう戦略を立てていた。金メダル獲得数記録を持つフェルプスら、決勝に進んだ顔ぶれは強豪の名に違わぬメンバーばかりだった。

 

 スタートが一度仕切り直しになったが、坂井、瀬戸ともに集中力を切らすことはなかった。スタートで飛び出したのは王者・フェルプス、それをハンガリーのラースロー・シェーが追いかける展開となった。最初のターンを瀬戸が3位で折り返し、坂井は5、6番手でレースを進めた。


 100メートルのターンもフェルプスがトップで折り返し、続いて瀬戸が2位でターン。ここまでのラップ54秒24は瀬戸の自己ベストである。残り50メートル、最後のターンをトップで折り返したフェルプス。瀬戸が3位で折り返すが、ここで坂井がスパートを見せた。

 

 1ストローク毎に前に迫った坂井はレース前の言葉通りに「世界の強豪」を次々にかわしていった。残り25メートル、トップのフェルプスと並んだ坂井だったが、100分の4秒差で金メダルには届かなかった。

 レース後に「ラストの50メートルでフェルプスが見えてた。でも15メートルで失速してしまって、悔しい。でも嬉しいです」と坂井は喜びを語った。昨年の世界選手権、初出場で記録した坂井の1分54秒24の自己ベストは、オリンピックで1分53秒40にまで短縮された。

 

 瀬戸は400メートル個人メドレーに続いてのメダルが期待されたが5位でフィニッシュ。「悔しいオリンピックになりました。タイムがついてこなかった。まだまだ力が足りないということ。4年後の東京オリンピックではもっと活躍できるように頑張っていきたい」と語った。

 なお1位のフェルプスは自身の持っていた金メダル獲得数記録を「20」に更新している。