9日(日本時間10日)、柔道の男子81キロ級は永瀬貴規(旭化成)が銅メダルを獲得した。永瀬は準々決勝で敗れたものの、敗者復活戦と3位決定戦を制した。決勝はロシアのハサン・ハルムルザエフが、アメリカのトラビス・スティーブンズに一本勝ちを収めた。女子63キロ級決勝はティナ・トルステニャク(スロベニア)がクラリス・アグベニュー(フランス)を下して初優勝。日本の田代未来(コマツ)は5位だった。

 

 初出場の永瀬が、3位の座を死守した。

 

 ここまで日本柔道勢は3日連続でメダルを獲得。前日は先輩の大野将平(旭化成)が2大会ぶりの金メダルを手にした。昨年の世界選手権を制した永瀬も優勝候補に挙げられ、金メダルを期待される1人だ。

 

 2回戦は優勢勝ち、3回戦は一本勝ちと順調に勝ち進んだ。しかし、落とし穴は準々決勝に待っていた。モルドバ出身のUAE代表セルジュ・トマに袖釣り込み腰で有効を奪われる。残りの約2分間で反撃を狙ったが、トマに逃げ切られた。

 

 2000年シドニー五輪で瀧本誠が金メダルを獲って以降、男子81キロ級の日本勢は表彰台にすら上がれていなかった。永瀬は切れた気持ちをもう一度奮い立たせて、畳に上がった。敗者復活戦は一本勝ちで3位決定戦に進んだ。

 

「次に渡すためにも何が何でもメダルを獲ろうと思った」という永瀬。一昨年の世界選手権王者のアフタンディリ・チリキシビリ(ジョージア)との“世界王者対決”だ。3分47秒、足技で有効を取った。リードを保ったまま、優勢勝ちで試合を締めた。60キロ級から続く男子柔道のメダルリレーを意地で繋いだ。

 

(文/杉浦泰介)