11日(日本時間)、リオデジャネイロ五輪予選リーグのグループB第3節が行われ、2位でグループリーグ通過を狙うU-23日本代表(グループB4位)は同スウェーデン代表(4位)に1-0で勝利した。これで日本は1勝1敗1分けで勝ち点4となった。しかし、同時刻に行われた同コロンビア代表(2位)が同ナイジェリア代表(1位)を2-0で下したため、日本はコロンビアの勝ち点を上回れず、グループステージ敗退となった。

 

 

 途中出場の矢島がゴール(サルバドール)

U-23日本代表 1―0 U-23スウェーデン代表

【得点】

[日]矢島慎也(65分)

 

 各グループリーグ2位までが決勝トーナメントに駒を進める男子五輪サッカー。日本はわずかな可能性を信じて欧州予選を1位で勝ち上がってきたスウェーデンと戦った。

 

 前半、日本は立ち上がりから積極的な動きで試合を優勢に進めるが、決定的なシュートを放つまでには至らず、スコアレスで試合を折り返す。

 

 後半に入り、早い段階で手倉森誠監督が動く。12分MF南野拓実(ザルツブルク)に代えてMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)を投入する。ピッチに送り出された矢島が機能し、日本に流れを引き寄せた。

 

 18分、中島翔哉(FC東京)が左CKをショートコーナーでリスタートした。このパスを受けた矢島が左サイドからクロスを入れると、ゴール中央でMF遠藤航(浦和レッズ)がヘッドで合わせる。このシュートは相手GKに弾かれるが、こぼれ球に途中出場のFW鈴木武蔵(アルビレックス新潟)が詰める。再び相手GKの好セーブに阻まれたが、矢島の精度の高いクロスからチャンスを作った。

 

 その2分後、ついに先制ゴールが生まれる。敵陣左サイドのスローインから日本は細かいパスワークで同サイドを崩す。前を向いた状態でパスを受けたMF大島僚太(川崎フロンターレ)がドリブルでペナルティーエリアに侵入し、左足で低いクロスをニアサイドへ送る。このクロスにファーサイドからニアに全力疾走してきた矢島がスライディングしながら右足で合わせ、先制ゴールを決めた。手倉森監督はアジア予選から選手をうまく入れ替えて結果を残してきた。その好采配が大一番でも的中した。

 

 21分には左サイドでFW興梠慎三(浦和レッズ)がフリーでボールを受ける。興梠は落ち着いてゴール右にポジションを取る矢島へクロスを供給する。矢島はダイレクトでゴール前にいる鈴木に折り返す。惜しくも、鈴木が足を滑らせ、シュートを放つことはできなかったが、先制後もヨーロッパ王者のゴールを脅かした。

 

 日本は32分に興梠を下げ、MF井手口陽介(ガンバ大阪)をピッチへ送り、システムを4-4-2から4-1-4-1に変更。中盤の支配力を高め、1点のリードを守り切った日本はリオデジャネイロ五輪で初勝利を上げた。しかし、同組のコロンビアがナイジェリアを下し、日本の決勝トーナメント進出は夢に終わった。

 

試合後、グループリーグ敗退が決まったことを受け、手倉森監督はこう語った。

「運命は受け止めないといけない。目標は絶たれたが、谷間の世代と言われた選手たちが世界(の舞台)で勝ち点をもぎ取れるようになった。五輪に出ることも危ぶまれていたチームが世界を経験した。これからの日本サッカー界にとって、大きな財産になる。ロシアW杯にこのメンバーが加わっていければな、と思います」

 

 今までこの世代の選手はアジアのベスト8止まりだった。世界のレベルを肌で感じた若き侍たちは、五輪での苦い経験を糧にすることだろう。“リオデジャネイロ経由ロシア行き”を目指してほしい。

 

(文/大木雄貴)