14日(日本時間15日)、体操の種目別床運動(ゆか)の決勝が行われ、マックス・ウィットロック(イギリス)が優勝した。2位にジエゴ・イポリト、3位にはアルトゥール・オヤカワ・マリアーノが入り、ブラジル勢が2つのメダルを獲得した。メダルが期待された白井健三(日本体育大)は4位、内村航平(コナミスポーツクラブ)は5位だった。

 

 種目別決勝の1日目、ゆかには白井と内村が登場した。トップバッターの内村は個人総合決勝で痛めた腰の影響もあり、出場も危ぶまれていた。本人も棄権が頭を過ったというが「権利を勝ち取ったのに(欠場して)いいのだろうかと。腰が壊れても出てやろうと思った」と覚悟を決めた。

 

 しかし、最初の跳躍で着地が乱れてラインオーバーのミスを犯す。いきなり0.3点の減点をもらう。その他の箇所はなんとかまとめたものの、出来栄えを示すEスコアは8.641点と伸びなかった。いつもの吸い付くような着地は見られず、腰の影響は明らかだった。15.241点で他の7人の演技を待つこととなった。

 

 続くイポリトが15.533点、ウィットロックが15.633点をマークし、暫定3位に下がった。5人目のマリアーノが15.433点を出した時点で、内村が表彰台に上がる可能性は消えた。

 

 日本にはゆかの王者がいる。初出場した13年から世界選手権で金、銀、金と圧倒的な強さを誇る白井だ。予選2位で通過した19歳にとって、15.633点は超えられない得点ではない。団体戦決勝では16点台の高得点を叩き出している。

 

「お願いします!」。勢い良く挨拶をしてから、大きく息を吐いて演技を実施する。難度を示すDスコア7.6点の演技構成。全てはEスコアに懸かっている。8点以上を出すことが金メダルへの最低条件だ。

 

 ところが最初と2回目の跳躍で着地が決まらない。こらえたものの、硬さが見られる立ち上がりだった。自らの名を冠する「シライ2」(前方伸身宙返り3回ひねり)「シライ/グエン」(後方伸身宙返り4回ひねり)も着地が乱れた。いつもの躍動感あふれるパフォーマンスは最後まで見られなかった。Eスコアは7.766点。トータルは15.366点と優勝はおろか表彰台にすら届かなかった。

 

「自分の演技ができなかったことが悔しい。また新たな課題が見つかった」と振り返った白井。優勝候補の大本命と目されていたが、初めて経験する五輪の舞台に飲まれた部分もあったのだろう。悔しさをにじませながら白井は語った。「今日の悔しさを晴らすような堂々した演技をしたい」。15日に行われる跳馬がリオでの最後の種目となる。

 

(文/杉浦泰介)