1日、世界ボクシング協会(WBA)フライ級王座統一戦が有明コロシアムで行われ、正規王者・坂田健史(協栄)が暫定王者のロベルト・バスケス(パナマ)に3−0の判定勝ちをおさめ、初防衛に成功した。
(写真:初防衛に成功し、再びチャンピオンベルトを手にした坂田健史)
 2人は昨年12月にフランス・パリで行われた暫定王座決定戦で対戦し、バスケスが2−1で判定勝ちをしている。その後、坂田は今年3月に4度目となるタイトル挑戦で当時のチャンピオン、ロレンソ・パラ(ベネズエラ)を倒して正規王座を獲得。そのため今回、暫定王者だったバスケスとのタイトル統一戦が組まれた。

 初防衛および前回のリベンジを狙った坂田は、1Rは長いリーチからの強打を得意とする左利きのバスケスのパンチをあび、危ない場面があった。しかし、2R以降は終始前に出続け、自ら接近戦を挑んだ坂田。何度もバスケスをロープに追い込み、連打を浴びせる。だが、バスケスもふらつきながらもすんでのところでとどまり倒れない。

 7Rまではバスケスは大振りでほとんどのパンチが空をきり、坂田が優勢に試合を進めた。しかし8Rからバスケスも息をふきかえし、坂田の右まぶた上が切れるほどの強烈なパンチを繰り出した。それでも坂田は後退せず、互角に渡り合う。

 そして試合は最終の12Rへ。両者ともに一歩も引かず、激しい打ち合いを演じ、会場のボルテージは最高潮に。結局、坂田は最後までバスケスを追い込むことができないまま、試合終了のゴングが鳴り、勝負は判定へともつれこんだ。

 結果は3−0で坂田の判定勝ち。これで坂田は初防衛および前回のリベンジを果たした。

 試合前、「この試合に勝って本当のチャンピオンになれる」と語っていた坂田。試合後のインタビューで「やっと本当のチャンピオンになれた気がする」と満面の笑顔を見せた。

 先月29日の調印式の際には「試合を楽しみにしていてください」と語り、自信をのぞかせていた坂田。その言葉通り、判定とはいえ、坂田の完勝といえる試合展開を演じた。

 3度世界戦に挑戦し、いずれも僅差の判定負けを喫した際、引退を考えたこともある。だが、その苦境を越えて、世界王者へ。そして、因縁の相手ともいえるバスケスに今回、勝ったことで真の王者となった。