メジャーリーグの第83回オールスターゲームが11日、ミズーリ州カンザスシティのカウフマン・スタジアムで行われた。試合は初回からナショナル・リーグ打線が爆発し、一挙5点を先制。4回にも3点を追加すると、11人の投手リレーでアメリカン・リーグを完封した。日本人としては史上9人目の球宴メンバーに選ばれたダルビッシュ有(レンジャーズ)は登板がなかった。ナ・リーグは一昨年のオールスターで連敗を12でストップした後、3連勝。MVPには初出場でホームランを含む2安打2打点をあげたメルキー・カブレラ(ジャイアンツ)が選ばれた。
 ア・リーグ、16年ぶりの零封負け
ナショナル・リーグ  8 = 500300000
アメリカン・リーグ   0 = 000000000
勝利投手 ケーン(ジャイアンツ)
敗戦投手 バーランダー(タイガース)
本塁打  (ナ)カブレラ(ジャイアンツ)2ラン

 注目されたダルビッシュの雄姿は夢のマウンドでは見られなかった。「最後の1人」を決めるファン投票で約730万票を集めてメンバー入り。1年目で早くも10勝をあげている右腕は前半戦最後の先発を免除され、真夏の祭典での登板が濃厚と見られていた。だが、序盤から大差がつく展開に、ロン・ワシントン監督は後半戦に向けて背番号11を温存する選択をしたようだ。

 ただ、本人は選ばれし者だけが集う舞台を満喫していた。前日には両リーグのメンバーによるパレードに参加。試合前の選手紹介ではファンから「Yu!」の掛け声が飛び、手をあげて応えた。試合が始まってからも、ベンチでツインズの強打者ジョー・モウアー(ツインズ)らと談笑。ボールを片手にシーズン中には見られないリラックスした様子がうかがえた。レフトスタンドにあるマウンドへ小走りで向かったのは7回表のナ・リーグの攻撃終了後。出番に備えてはいたが、その名前がスタジアムでコールされることはなかった。

 試合はナ・リーグが初回から圧倒した。ア・リーグ先発のジャスティン・バーランダー(タイガース)を攻め、3番ライアン・ブラウン(ブルワーズ)の二塁打で1点を先制。さらに2死満塁からパブロ・サンドバル(ジャイアンツ)が走者一掃のタイムリーを放つなど、いきなり5点を先行する。

 4回にはア・リーグトップの11勝をあげているマット・ハリソン(レンジャーズ)を攻略。カブレラの2ランなどで3点を追加して大量リードを奪う。反撃したいア・リーグは現役最多の13度目の出場となる1番デレク・ジーターが初回に内野安打で出塁しただけで、3回までナ・リーグ投手陣にヒット1本に抑え込まれる。5回には、この試合初の連打から2死満塁のチャンスをつくるが、代打イアン・キンスラー(レンジャーズ)がレフトフライに倒れ、ホームが遠い。

 ナ・リーグは6回、今季限りでの引退を表明しているチッパー・ジョーンズ(インディアンス)が代打で登場。40歳の大ベテランはスタジアムの大歓声に包まれながら打席に入ると、ライト前へヒットを放ち、期待に応えた。投手陣で魅せたのは8回2死から登板したアロルディス・チャップマン(レッズ)だ。史上最速の171キロ左腕は160キロ台のボールを連発し、四球を1つ与えながら、エンゼルスの主砲マーク・トランボを空振り三振に仕留めた。

 結局、ナ・リーグの投手陣は、両リーグ最多の27本塁打を放っているジョシュ・ハミルトン(レンジャーズ)、ホセ・バティスタ(ブルージェイズ)らが揃った強力ア・リーグ打線を小刻みなリレーで6安打に封じる。最終回には1人1殺の起用で3投手をつぎ込み、最後を今季フィリーズに移籍した抑えのジョナサン・パペルボンが締めてスコアボードに9つゼロを並べた。

 これで両リーグの対戦成績はナ・リーグの43勝38敗2分。今季のワールドシリーズはナ・リーグ優勝チームの本拠地で開幕する。レギュラーシーズンは14日から一斉に再開。ダルビッシュは15日のマリナーズ戦に登板予定で、今季3度目のイチローとの対決で後半戦のスタートを切る。