13日(現地時間12日)、リオデジャネイロパラリンピック競泳男子は木村敬一(東京ガス)が100メートル平泳ぎ(視覚障害S11)で銅メダル、山田拓朗(NTTドコモ)が50メートル自由形(S9)で銅メダルを獲得した。これで競泳陣は6日間で4個目のメダルとなった。

 

 「悔しい気持ちしかない」

 

 前回大会、同種目で銀メダルを獲得した木村は、金メダル最有力候補だった。予選を2位通過し、決勝は5レーンで泳いだ。

 

 スタートとともに積極的な泳ぎを見せる。50メートル自由形でもメダルを争った3レーンの楊博尊(中国)が頭一つ分抜け出すと、木村はその後を追った。前半はなんとか2位をキープしたものの、ターンした直後にセロン・ドレイク(米国)に追い越される。

 

 残り15メートル付近で左隣を泳ぐオレクサンドル・マシチェンコ(ウクライナ)が急激な追い上げを見せたが、木村は負けじと粘り強い泳ぎで、3位を守った。

 

 1分12秒88でゴールした木村は「水中感覚は悪くなく、むしろ良かった」と振り返った。1位の楊とは2秒80差。「優勝を争うレースになることは予想していました。そこに届かなかったので、悔しい気持ちしかない」と沈んだ口調で話した。

 

 14日は100メートル自由形に出場する。木村は「明日こそ金メダルを獲りたいです」と語気を強めた。

 

 タッチ差で掴んだ銅メダル

 

 山田が初めてパラリンピックに出場したのは12年前。当時、13歳だった山田は史上最年少で大舞台に立った。その後も北京大会、ロンドン大会と3大会連続で出場するが、メダル獲得には至らなかった。

 

 予選を自己ベストの26秒20で通過した山田は、6レーンで泳いだ。3レーンから5レーンには、自己ベスト25秒台の強敵が揃っていた。「とにかくスタートと最後のタッチを意識した」と話したように、山田はスタートとともに勢いよく飛び込んだ。

 

 25メートル付近まで、ほぼ横一線で全員が泳いだ。残り5メートルに入っても、順位が分からないデッドヒート。マシュー・ワイリー(英国)が25秒95で優勝した。3位に入った山田との差はわずか0.05秒だった。自己ベストの26秒00を叩き出した山田は4位のタマーシュ・ショルシュ(ハンガリー)とも0.04秒差しかなかった。最後はタッチの差で決まった。

 

 レース後、山田は「12年、苦しんだことの方が多かったけど、ようやく形として結果を残すことができたので、すごく嬉しかった」とはにかんだ。1位との差がわずかだったことについて、「ちょっと惜しいことをしたと思ったけど、そこはまた次に向けたい」とコメントした。

 

 4度目の正直でメダルを掴んだ山田は、15日に100メートルバタフライに出場する。