「マツダオールスターゲーム2012」第3戦が21日、岩手県営野球場で行なわれた。第1、2戦と連敗を喫した全パが、陽岱鋼(北海道日本ハム)の先制3ランでリードを奪って、序盤に試合の主導権を握った。全セは地元出身の畠山和洋(東京ヤクルト)が一発で会場に詰めかけたファンを沸かせたものの、なかなかランナーを還すことができず、全パが6−2で勝利。これで通算成績は全パの78勝73敗9分けとなった。

◇第3戦
 全パが打撃戦制し初勝利(盛岡)
全セ   2 = 000100001
全パ    6 = 00420000×
勝利投手 塩見
敗戦投手 三浦
本塁打  (セ)畠山1号ソロ
(パ)陽2号3ラン
 全パの先発には同じ東北の宮城県を拠点とする東北楽天のエース田中将大。その田中はわずか2球で2死を取ったが、同級生の坂本勇人(巨人)に初球をきれいにレフト前に弾き返された。このチャンスに全セは地元・岩手県出身の畠山が打席に入る。しかし、畠山は田中のカーブをひっかけセカンドフライに倒れ、地元ファンの期待に応えることができなかった。田中は2回表、1死からバレンティン(ヤクルト)、高橋由伸(巨人)に連続ヒットを打たれた。しかし、第1戦でMVPを獲得した中村紀洋(DeNA)を空振り三振に切ってとる。すると、ここでバレンティンが意表を突いて三盗を狙う。だが、惜しくもタッチアウトとなり、全セは得点に結びつけることができなかった。

 一方、全セの先発マウンドに上がったのは今月4日に通算150勝を達成したベテランの三浦大輔(横浜DeNA)。その三浦は時折、100キロ前後の超スローカーブで全パの強打者を翻弄し、会場を沸かせた。しかし、その三浦が3回裏、全パの打線につかまる。先頭の中田翔(北海道日本ハム)、さらに1死から嶋基宏(楽天)にヒットを打たれ、初めてランナーをスコアリングポジションに進めてしまう。すると、ここで打席には第1戦、史上15人目となるオールスター初打席初ホームランを放った陽が入った。陽は外角高めの直球をフルスイングすると、打球はレフトスタンドへ。全パが3点を先制した。さらに2死から中島裕之(埼玉西武)が三塁打を放つと、続く李大浩(オリックス)が三浦のスローカーブをライト前へ弾き返し、1点を追加。第1戦、第2戦と連敗を喫している全パが、初勝利に向けて勢いをつけた。

 3回まで無得点に抑えられた全セは4回表、打席には畠山が入った。畠山は全パの2番手・塩見貴洋(楽天)の初球をレフト方向へ。高々と上がった打球は惜しくもファウルとなる。しかし5球目、得意の高めに入った直球を今度はしっかりとライトスタンドへ運び、地元ファンを沸かせた。だがその裏、全パは2点を追加し、リードを5点に広げた。

 反撃したい全セだったが、5回以降は塩見、岸孝之から無安打と完璧に抑え込まれた。4回まで快音が響いていた全パ打線も5回以降は、大竹寛(広島)、赤川克紀(ヤクルト)に李の二塁打1本に抑え込まれ、ゼロ行進が続く。

 8回表には先頭の谷繁元信(中日)が二塁打を放ち、全セが反撃の糸口をつかんだかに思われたが、後続が続かなかった。この回からマウンドに上がった武田久(日本ハム)の前に、長野、宮本慎也(ヤクルト)が連続でピッチャーゴロに打ち取られると、代打出場の鳥谷敬(阪神)はライトフライに倒れた。

 それでも全セは最後に粘りを見せた。9回表、畠山、荒木雅博(中日)と連打を放つ。続く和田一浩(中日)が併殺打に打ち取られるも、2死三塁から大島洋平(中日)がタイムリーを放ち、1点を返した。そして、今季ブレイクした堂林翔太(広島)が打席に入ると、会場が一段と湧いた。しかし、堂林はセンターフライに倒れ、ゲームセット。第1、2戦と4安打だった全パが11安打を放ち、あわせて20安打の打撃戦を制した。MVPには先制の3ランを含め、4打数3安打を放った陽が選出された。