3日、女子サッカーの準々決勝が行われ、日本女子代表(なでしこジャパン、FIFAランキング3位)がブラジル女子代表(同5位)と対戦した。日本は前半27分、FW大儀見優季(ポツダム)のゴールで先制すると、FW大野忍(INAC神戸)の得点でリードを広げた。守ってはブラジル攻撃陣をシャットアウト。快勝で2大会連続のベスト4進出を決めた。6日の準決勝は、FIFAランク6位のフランスと対決する。

◇準々決勝
 大儀見、殊勲の1ゴール1アシスト(カーディフ)
日本女子代表 2−0 ブラジル女子代表
【得点】
[日] 大儀見優季(27分)、大野忍(73分)
 金メダルへ負ければ終わりの決勝トーナメント。不振にあえいだストライカーがついに覚醒した。大儀見が待望の大会初ゴールと追加点をアシストする活躍で、守勢を強いられたチームを救った。

 日本は開始早々に大野がシュートを放つ立ち上がりをみせたが、その後はボールを支配された。ボールホルダーにプレスをかけるものの、高い個人技でかわされ、ルーズボールはフィジカルで勝る相手にことごとく競り負ける。簡単に自陣深くまでボールを運ばれると、前半15分までに6本のCKを許すなど押し込まれる時間帯が続いた。しかし、GK福元美穂(岡山湯郷)が幾度となくパンチングでゴール前のボールをはね返すなど、高い集中力で劣勢を耐え凌ぐ。

 すると、20分過ぎから流れが日本に傾く。23分、大儀見がPA内でボールを受けてシュート。その直後、MF宮間あや(岡山湯郷)がPA内右サイドでパスを受けると、中に切り込んでからゴール左下を狙った。いずれも得点にはならなかったものの、連続してチャンスをつくりだし、ブラジルを押し返した。

 そして、この流れから待望の先制点が生まれる。27分、決めたのは大儀見だ。ピッチ中央からのリスタートに反応してDF2人を置き去りにすると、飛び出してきたGKにも動じずゴール右下へ流し込む。プレーが止まった際に相手が見せた一瞬のスキをうまく突いたゴールだった。値千金の働きをみせた大儀見は「DF陣が苦しい時間帯を凌いでくれたので、ワンチャンスを生かせてよかった」と胸を張った。先制後は再びブラジルに押し込まれたものの、引き続き守備陣が粘り強く対応し、リードを保ったまま試合を折り返した。

 後半もブラジルに主導権を握られ、常に自陣でボールを回される守勢の展開。しかし、DF岩清水梓(日テレ)が体を張ってシュートをブロックするなど、日本の守備組織は崩れる気配がなかった。
 そんな守備陣の奮闘に再び大儀見が応える。カウンターからPA内左サイドに抜け出すと、GKをかわしてシュート。角度がなく、戻ってきたDFにクリアされたが、虎視眈々とゴールを狙い続けることで、ブラジルの最終ラインを押し下げた。

 攻撃の糸口を掴んだ日本は28分、カウンターから貴重な追加点を奪う。大儀見が大野のゴールをアシストした。後方からのフィードに左サイドを抜け出し、巧みなトラップからDFを振り切ると、右サイドに走りこむ大野へロングパス。2トップを組む相棒の大会初ゴールを演出し、準決勝進出を大きく手繰り寄せた。

 試合後、佐々木則夫監督は「よく凌ぎ、辛抱しながらカウンターをうまく活用できた」と笑顔を見せた。最大の収穫は大儀見の復調だ。グループリーグでは決定機を逃し続け、チームの勢いにブレーキをかけていた。しかし、この試合はワンチャンスを生かす勝負強さを発揮。見事にストライカーの責務を果たした。

 準決勝で当たるフランスには、大会直前の親善試合で0−2の完敗を喫している。相手の高い身体能力に屈し、スペースを消されて連動したパスワークを封じられた。大儀見もフル出場したものの、無得点に抑えこまれている。それだけに「修正すべき部分を修正して臨みたい」とさらなる高みを見据えた。次は勝てばメダルの大一番。ようやく目覚めたゴールハンターが“聖地”ウエンブリーでリベンジを果たす。

<なでしこジャパン出場メンバー>

GK
福元美穂
DF
近賀ゆかり
岩清水梓
熊谷紗希
鮫島彩
MF
阪口夢穂
澤穂希
宮間あや
川澄奈穂美
FW
大儀見優季
→高瀬愛実(88分)
大野忍
→安藤梢(85分)