廣瀬隆喜(ボッチャ)第1回「駆け引きが魅力のスポーツ」

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151029 北京、ロンドンと2大会連続でパラリンピックに出場中のボッチャ日本代表の廣瀬隆喜選手。日本選手権ではBC2クラス史上最多の6度の優勝を誇る日本の第一人者である。来年のリオデジャネイロパラリンピックを目指し、国際大会でメダルを獲得するなど、徐々に調子を上げてきている。世界ランキング6位(2015年9月現在)につけている日本のエースが、ボッチャの魅力や競技への想いについて語った。

 

伊藤:  今回のゲストはボッチャ日本代表の廣瀬隆喜選手です。本日は宜しくお願いいたします。ボッチャというと、どんな競技か知っている方が少ないのが実状です。まず簡単なルールについて説明していただければと思います。

 

廣瀬:  よくカーリングに似ていると言われています。簡単に言うと、的となるジャックボール(白いボール)に、赤ボールと青ボール、どちらがより近づけるかで勝敗を決めます。しかし、カーリングは的の位置が決まっていますが、ボッチャは先攻の選手あるいはチームが、ジャックボールをコート内に投げる。コートの中であれば、どこに投げても構いません。

 

伊藤:  では、先攻側は白のジャックボールを自分の得意不得意によって、プレーする位置を設定できるわけですね。

廣瀬:  自分が得意であれば、近い距離に置いて勝負してみたり、相手の選手がロングを苦手としている場合は、遠い距離に投げるとか。先攻側が、どちらを選択するかのせめぎ合いが、ボッチャにはあります。

 

二宮:  駆け引きが重要になってくるわけですね。カーリングや、先を読んで手を打つチェスのような頭脳戦が展開されるわけですね。

廣瀬:  奥深い競技だと思います。最近では、ボールを転がすだけなく、ボールを浮かして上からぶつけるロビングボールも多くなっています。ジャックボール付近にボールが固まっていると、転がしてもなかなか弾けず、近づけることができない。下から行くとボールを2、3球要してしまう可能性もあるんです。そこでジャックを直接上から狙って位置をずらし、スペースが空いたところを狙うなど、工夫をしています。

 

二宮:  なるほど。強弱やコースだけでなく、高低も使い分けると。ところでボッチャは、イタリア語で「ボール」という意味なんですよね。実際に触ってみると、意外にしっとり感がありますね。手に収まりがいいというか。形状は小さいサッカーボールのようですね。ボールの中には何が入っているんですか?

廣瀬:  小さいプラスチックの粒みたいなものが入っています。

 

伊藤:  ボールも柔らかいんですね。

廣瀬:  あまり硬いとコロコロ転がっていってしまいますが、柔らかいので止まりやすくはなっています。自分のボールをジャックボールに寄せた後に、相手から弾かれにくい面もありますね。今は、より柔らかいボールが海外で主流になっています。

 

二宮:  トップクラスの選手はマイボールを持っていらっしゃるんですか?

廣瀬:  はい。私だけでなく、大半の選手がマイボールを持っています。外国製のものを国内外の大会で使用するんですが、白1、赤と青6ずつの13球フルセットで持って行きます。

 

 リオパラリンピックでの目標

 

伊藤:  いよいよ来年にはリオパラリンピックを控えています。7月に韓国の大会では銀メダルを獲得するなど、最近調子を上げているとお聞きしまたした。

廣瀬:  ええ。6月にも2つの国際大会に出場しました。ポーランドの大会では団体で金メダルを獲得し、個人でも銅メダルを獲得しました。世界ランキングもチームで7位、個人では6位(2015年9月現在)。パラリンピック出場はまだ決定とは言えないですが、行ける範囲には入っているかと思います。

 

二宮:  世界ランキングでも上位につけており、国際大会でも結果を出している。十分にメダルは射程圏内にあるのではないでしょうか。

廣瀬:  そうですね。まずは、このランキングを下げないようにして、パラリンピック出場をかなえたいなと思います。

 

二宮:  北京、ロンドンと2大会連続でパラリンピックに出場していますが、まだ表彰台には上がっていない。今回はチャンスですね。

廣瀬:  北京では予選リーグを突破できませんでした。ロンドンでは、ベスト8までいけたので、次は更なる上を目指したい。ベスト8の次はやはりメダルを獲らないといけないと考えています。日本人としてもベスト8が最高です。それを塗り替えたいですね。個人もそうですし、団体でも表彰台に上がって、皆さんにいい報告がしたいですね。

 

(第2回につづく)

 

廣瀬隆喜(ひろせ・たかゆき)プロフィール>

1984年8月31日、千葉県君津市生まれ。市原ボッチャクラブ、Noble Wings所属。競技歴12年。ボッチャ競技クラスBC2。先天性の脳性麻痺で高校3年時にボッチャを始める。2003年、日本選手権に初出場ながら3位に入賞すると、06年には初優勝を果たす。同大会では、BC2クラスで史上最多の6度の優勝を誇る。08年北京、12年ロンドンと2大会連続パラリンピック出場するなど国際経験も豊富。今年6月にBoccia World Open Championships Poznanで団体優勝、個人3位入賞すると、7月にはBoccia World Open Seoulで個人準優勝を果たした。左下投げ。

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NPO法人STAND代表の伊藤数子さんと二宮清純が探る新たなスポーツの地平線にご期待ください。

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