151029二宮: ボッチャはBC1からBC4まで、4つのカテゴリーに分けられています。

廣瀬: その4つがパラリンピックなどの国際大会の対象クラスになっています。私はBC2クラス。上肢での車椅子操作がある程度可能で、自身で投球をすることができます。BC1は車椅子を固定してもらったり、ボールを渡してもらうなどの介助を必要とします。BC2同様に自ら投球は可能です。BC1・2は脳性まひなどの障がいがあります。

 

伊藤: スロープのようなかたちをしたランプと呼ばれる道具を使うクラスもありますよね。

廣瀬: その道具を使ってプレーするのがBC3です。4つのクラスのうち、唯一自ら投球できないので、アシスタントのサポートを受けて競技を行います。あとひとつBC4は、BC1とBC2と同等の四肢運動機能に障がいを有する、脳性まひ以外の選手が該当します。

 

二宮: 重い障がいのある方でも、できる競技だとお話がありました。そのためにはいろいろな人の協力も必要になってきますよね。どういう部分で自分が支えられていると感じますか?

廣瀬: 両親には海外遠征などのお金の面で手助けしてもらっている面もあります。私が働く施設の人にも、遠征で休みを1週間や2週間取ることが多いので、他の職員の方にサポートしてもらっている。他にもクラブの方もそうですし、コーチにもお世話になっています。本当にたくさんの方に支えられて競技をやっているなと感じています。

二宮: だからこそ結果を出してサポートに報いたいという気持ちも強いのでしょうか。

廣瀬: そうですね。それぐらいしか私にはできない。やはり競技をやっていく以上、結果が皆さんへのご報告にもなりますからね。出るからには、メダルを獲れるように頑張りたいです。

 

 リオ、東京。その先へ

 

二宮: 初めてパラリンピックに出たのが北京大会です。大舞台は緊張しましたか?

廣瀬: 私も世界選手権とか海外の大会には何度か出ていたんですが、やはり雰囲気が独特でしたね。選手村にも初めて入りましたし、報道陣も来ていました。パラリンピック特有の緊張感があったという印象はありますね。

 

伊藤: 来年に控えるリオデジャネイロ大会はもちろん、その次の東京も見据えていらっしゃいますか?

廣瀬: まずはリオで最低でもベスト8以上、メダルが見えるような結果を残したい。2020年の東京では、もっと上を目指せるように。そこまで競技を続けていくためにも、5年先なので、今以上にいろいろと体のケアも必要になってくると思います。そうやって競技性を高めながら、リオ、東京と連続して出場したいです。もちろん、個人でも団体戦でも結果も残せるように頑張りたいですね。

 

二宮: 年齢的には何歳くらいまで可能なのでしょうか?

廣瀬: 私のクラブには70代の人もいました。北京パラリンピックの時には50代の方が出ていますので、選手寿命はかなり長い方だと思います。今は小学生からスタートしている子もいるので、そこから70、80歳までやれば、かなり長年、競技を続けられる。

 

二宮: では2020年は、廣瀬さんにとって通過点ですね。

廣瀬: まぁ若手もだんだん強くなってきていますので、彼らに負けないように頑張ります。2020年も出場できればなと思います。

 

二宮: 現在は31歳。2050年ぐらいまでいけるんじゃないですか。

廣瀬: どうでしょう(笑)。できるだけ長くは続けたいですね。

 

二宮: 障がいの有無に関わらず、長く続けられるという意味では生涯スポーツですよね。高齢者のリハビリとしても有効ではないでしょうか。

廣瀬: そういった面もあるかもしれないですね。体だけでなく頭を使うゲームでもあるので、本当にいいかなと思います。

 

伊藤: 勝った負けたで、刺激もありますしね。場所も取らないし、室内競技ですから雨が降ってもできます。草野球、草サッカーのように、もっと身近になって草ボッチャみたいなものがあっても面白いですよね。

廣瀬: それはいいかもしれないですね(笑)。別にコートづくりを「縦12.5メートル」などと厳密にしなくてもいい。ある程度のスペースがあればやれます。取り組みやすいスポーツだと思いますし、もっともっとボッチャが広がってほしいですね。

 

(おわり)

 

廣瀬隆喜(ひろせ・たかゆき)プロフィール>

1984年8月31日、千葉県君津市生まれ。市原ボッチャクラブ、Noble Wings所属。競技歴12年。ボッチャ競技クラスBC2。先天性の脳性麻痺で高校3年時にボッチャを始める。2003年、日本選手権に初出場ながら3位に入賞すると、06年には初優勝を果たす。同大会では、BC2クラスで史上最多の6度の優勝を誇る。08年北京、12年ロンドンと2大会連続パラリンピック出場するなど国際経験も豊富。今年6月にBoccia World Open Championships Poznanで団体優勝、個人3位入賞すると、7月にはBoccia World Open Seoulで個人準優勝を果たした。左下投げ。


◎バックナンバーはこちらから