テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有は29日、本拠地でのタンパベイ・レイズ戦に先発し、7回を6安打、10奪三振の内容で無失点に封じ、13勝目(9敗)をあげた。右太ももの張りを訴え、中10日の登板だったが、その不安を全く感じさせないピッチングをみせた。試合はレンジャーズが4回にソロ本塁打であげた1点を継投で守り切り、1−0で勝利した。
 久々にスコアボードにゼロが並んだ。メジャーリーグ移籍後、無失点でマウンドを降りるのは、4月のニューヨーク・ヤンキース戦以来、4か月ぶり。夏場に入って不安定な投球をみせていたダルビッシュだが、地元のファンに復調を印象づけた。

 立ち上がりはいつものように走者を背負った。初回、先頭打者にヒットを許し、1死二塁のピンチ。しかし、3番のマット・ジョイスを空振り三振、4番のエバン・ロンゴリアをセンターフライに仕留めて切り抜ける。続く2回も四球と二塁打で無死二、三塁としながら、後続を打ちとり、得点を許さない。

 4回にはヒット2本と四球で1死満塁。ただ、ここも9番のホセ・ロバトンにファーストゴロを打たせ、自らも一塁へベースカバーに入って3−6−1と併殺を完成させる。走者を背負いながらも要所は締め、徐々に投球にエンジンがかかってくる。

 5回、6回で計4つの空振り三振を奪うと、7回も下位打線を相手に低めへのストレートとスライダーが冴え、バットに空を切らせる。終わってみれば、毎回の奪三振で個数は2ケタに乗った。8月に入って2試合連続でKOされた後、ダルビッシュには投球フォームに修正を加えている。セットポジションの際、体をやや“くの字”に曲げているのだ。これがうまく合ったのか、変更後の3試合はいずれもクオリティースタートを記録している。

 レギュラーシーズンも残り1カ月となり、重ねた白星は13個目。日本人メジャーリーガーのパイオニアである野茂英雄(当時ロサンゼルス・ドジャース)が1年目に記録した勝利数に並んだ。松坂大輔(ボストン・レッドソックス)がルーキーイヤーにあげた15勝も見えてきた。試行錯誤を繰り返しつつ、背番号11はメジャー1年目で着実に進化を遂げている。

<マリナーズ・岩隈、6回1失点で3連勝>

 シアトル・マリナーズの岩隈久志は敵地でのミネソタ・ツインズ戦に先発し、6回1安打1失点(自責点0)で5勝目(3敗)をあげた。これで自身3連勝。試合はマリナーズが5−2で勝利した。

 慣れない球場のマウンドに苦しめられた。打たれたヒットはわずかに1本ながら、5四死球。投じた92球のうち、ボール球は半数近い43球を数えた。制球はなかなか安定しなかった。

 ただ、連勝中の岩隈は持ち味である“キープダウン”の投球スタイルが光っている。立ち上がりに四球で先頭打者を出した際には、次のダーリン・マストロヤンニをショートゴロに打ち取ってダブルプレー。続く2回も死球を与えて無死で走者を背負ったものの、一発のあるジャスティン・モーノーを内野ゴロに仕留めるなど、丁寧な投球で打線をつながせなかった。

 6回にも先頭打者を四球で歩かせたものの、好打者のジョー・マウアーを注文通りのゲッツーにとってピンチを拡大させない。指摘されていた一発病も、ここ3試合は被弾0。本来のスターターのポジションで投げ始めて約2カ月、2009年のWBCではダルビッシュと並ぶ日本のエースだった右腕も本領を発揮しつつある。