ボストン・レッドソックスの松坂大輔が28日、本拠地でのカンザスシティ・ロイヤルズ戦に先発し、7回101球を投げて5安打1失点で今季初勝利(3敗)をあげた。昨年6月に右ヒジの手術を受けた松坂にとっては、復帰後初白星。約1年3カ月ぶりの勝利は節目のメジャー通算50勝となった。日本人投手でメジャー50勝をあげたのは、野茂英雄(123勝)、黒田博樹(53勝)、大家友和(51勝)に続き、4人目。試合は5−1でレッドソックスが勝利した。
 長いトンネルを抜け、ようやくつかんだ1勝だ。
 ヒジの手術で昨季の後半を棒に振った松坂は、リハビリを経て6月に復帰。ところが先発で投げた5度の登板は不安定な内容で、7月3日のオークランド・アスレチックス戦で2回途中5失点でKOされていた。直後に首から背中にかけて張りを訴え、再び故障者リスト入り。3Aで調整を続けてきた。

 ようやく故障も癒え、22日の3Aの試合では8回途中まで投げて無失点に抑えると、現地時間25日付でエースのジョシュ・ベケットがトレードでロサンゼルス・ドジャースへ移籍することが決定する。その関係で先発の枚数が不足し、松坂にメジャー復帰と先発のチャンスが巡ってきた。

 立ち上がりこそ先頭打者への四球から1点を失い、悪癖が顔をのぞかせたものの、2回以降は要所を締める。6回には二塁打と四球で1死一、二塁のピンチを迎えながら、5番のサルバドール・ペレスをライトへのファールフライ、マイク・ムスターカスを空振り三振に仕留め、崩れなかった。7回まで投じた101球のうち、ストライクは71球。故障前も含めて制球に苦しんでいた松坂が、この日はストライクを先行させ、主導権を握っていた。

 初回に追いつき、3回に勝ち越したレッドソックスは、その直後、3連打から2点を奪ってダメを押す。7回も危なげなくゼロを並べた松坂は477日ぶりの勝ち投手の権利を得てマウンドを後続に託した。バトンを受け継いだブルペン陣も相手打線の反撃を許さず、背番号18が久々の勝利を手にした。

 松坂にとって今季は6年契約の最終年。ケガ明けとはいえ、成績を残さなければ、いい条件で移籍、または残留することはできない。チームは現在、地区の1位争いやワイルドカード争いで厳しい状況だが、本人にとってはここからがアピールの場となる。トンネルを抜けた先の1勝はゴールではない。真の復活を目指す戦いのスタートである。