29日、明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ(CS)決勝第1戦、鹿島アントラーズ(年間勝ち点3位、1stステージ覇者)対浦和レッズ(年間勝ち点1位、2ndステージ覇者)がカシマスタジアムで行われ、1-0で浦和が勝利した。試合は後半12分にFW興梠慎三が獲得したPKをMF阿部勇樹が決めた。第2戦は12月3日、埼玉スタジアムで行われる。

 

 興梠、先制点のPK奪取(カシマ)

鹿島アントラーズ 0-1 浦和レッズ

【得点】

[浦] 阿部勇樹(57分)

 

 浦和は直近の公式戦である天皇杯から17日ぶりの試合だった。試合勘が心配されたものの、今季年間勝ち点歴代最多タイの74を挙げた勝負強さを見せた。

 

 前半1分、浦和のMF柏木陽介が左足でミドルシュートを狙うがゴール上に逸れる。その後は激しい肉弾戦だった。鹿島はセンターバックとボランチが連携し、浦和の縦パスに厳しく身体を寄せてボールを絡め取る。対する浦和はボールを奪われた瞬間の攻守の切り替えの速さが見事だった。

 

 緊張感のある攻防で、両チーム通じて2本目のシュートが記録されるまで40分以上かかった。44分、中盤でボールを受けた阿部がペナルティーエリア右に流れたMF武藤雄樹の動きを見逃さなかった。阿部のスルーパスを受け取った武藤は、トラップして右足を振り抜いた。しかしこのシュートは鹿島の守護神・曽ケ端準に左手一本でセーブされる。スコアレスで試合を折り返した。

 

 後半開始早々、浦和にピンチが訪れる。MF土居聖真がペナルティーエリア右に位置するMF遠藤康にパスを供給。フリーの遠藤に右足でダイレクトシュートを打たれるが、GK西川周作が正面でボールをセーブした。巧みな位置取りでシュートコースを限定した守護神の読みが浦和を救った。

 

 ピンチの後にチャンスが訪れた。11分、柏木が右サイドでボールを持つと左足でファーサイドにクロスを上げた。ファーサイドにいた興梠がDF西大伍と接触。審判が笛を吹いてPKを獲得した。キッカーの阿部はゴール正面に落ち着いて蹴り込み、浦和が先制点を奪う。

 

 この後は、鹿島の猛攻を受けるが、守備的MF青木拓矢を投入するなどして無失点で試合終了。決定的な場面でもDF陣が最後まで体を寄せてしのぎ切った。

 

 試合後、PKを決めた阿部は「まだ何も決まっていない。次節に勝たないと意味がない。ホームの埼玉で勝って終わりたい」と語った。指揮官のミハイロ・ペトロビッチは「試合勘を取り戻すのが難しい中でこの結果は良く捉えていい。我々は鹿島よりリーグ戦で15ポイントも多く獲っている。ポイントを多く獲ったことを結果で証明する」と意気込みを口にした。

 

 次節は3日、埼玉スタジアムで行われる。引き分け以上で浦和の10年ぶりのJリーグ制覇が決まる。ルヴァンカップに続き、浦和は今季2冠目を手にできるか――。

 

(文/大木雄貴)