23日、明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ準決勝、川崎フロンターレ(年間勝ち点2位)対鹿島アントラーズ(年間勝ち点3位、1stステージ覇者)が等々力陸上競技場で行われ、1-0で鹿島が勝利した。鹿島は後半5分にFW金崎夢生のヘディングシュートで先制。その後は川崎Fにゴールを割らせることなく1点のリードを守り切った。鹿島は29日から始まる決勝に駒を進めた。

 

 試合巧者ぶり見せつける(等々力)

 川崎フロンターレ 0-1 鹿島アントラーズ

【得点】

[鹿] 金崎夢生(50分)

 

 23年間で17のタイトルを獲得している鹿島が勝負強さを見せつけた。

 

 前半3分、鹿島はいきなりピンチを迎える。カウンターから川崎FのMF大久保嘉人にジャンピングボレーを放たれたが、シュートはゴール上に外れて難を逃れた。

 

 19分、鹿島は川崎FのFW長谷川竜也にロングボールを追いつかれたら決定的なピンチだった。しかし、長谷川が左ハムストリングを故障して倒れ込む。プレー続行は不可能となり、長谷川に代わって、ケガ明けのMF中村憲剛がピッチに入った。

 

 序盤は川崎Fにペースを握られたが、鹿島も反撃を試みる。23分にMFファブリシオ、24分にはDF西大悟が立て続けにシュートを打つが、川崎Fの守護神チョン・ソンリョンに阻まれた。以降、鹿島は川崎Fにチャンスらしいチャンスを作らせず、落ち着いてゲームを運び、前半を終える。

 

 後半開始5分。鹿島が先制する。DF山本脩斗が左サイドからクロスを入れる。このボールに合わせたのはニアに飛び込んだFW金崎夢生だった。相手DFの前に入り込み、体を投げ出してのヘディングシュートはゴール右隅に決まった。油断しがちな後半開始間もない時間帯に得点を奪った。

 

 先制点を許した川崎Fだが、初タイトルへの執念を見せる。14分、中村がペナルティーエリア内左サイドから右足でシュートを放つ。22分にはペナルティーエリア内で大久保からボールを受けた中村が左足でダイレクトシュート。いずれも枠を捉えなかったものの、鹿島守備陣に脅威を与えた。

 

 一方の鹿島はボールを奪うと中盤にできた広いスペースを利用し、前へ運ぶことを徹底する。着々と時計の針を進める試合巧者ぶりを川崎Fにまざまざと見せつけた。終盤には川崎Fのパワープレーに対し、守備的MFの三竿健斗、DF植田直通を投入して応戦。最後までゴールを守り抜き、鹿島が逃げ切った。

 

 試合後、敵地でチームを勝利に導いた石井忠正監督は「こういう戦いになると予想していた。選手は役割を全うしてくれた。決勝に進めてよかった」とコメントした。

 

 値千金の先制ゴールを奪った金崎は「ひとりひとりがハードワークをして、今できるそれぞれのベストを出せた。(得点シーンは)相手より先に触ろうと意識した。それ以外はあまり考えなかった。うまくいってよかった」と語った。主将のMF小笠原満男は「今日勝てたことはよかったが、何かを手にしたわけじゃない。決勝で負けたら何の意味もない」と表情を引き締める。

 

 鹿島はファーストステージこそ制したものの、セカンドステージは低迷し年間勝ち点3位に甘んじた。3位からの下剋上を目指し、29日にカシマスタジアムで行われる年間勝ち点1位の浦和レッズとの決勝第1戦に臨む。

 

(文/大木雄貴)