4日、J1昇格プレーオフ決勝のセレッソ大阪(J2リーグ4位)対ファジアーノ岡山(同6位)が大阪・キンチョウスタジアムで行われ、1-0でC大阪が勝利し、3年ぶりのJ1昇格を決めた。試合は後半7分にMF清原翔平が挙げた得点を最後まで守り切った。また同日富山県総合公園陸上競技場で行われたJ2・J3入れ替え戦の第2戦、ツエーゲン金沢(J2リーグ21位)対栃木FC(J3リーグ2位)は2-0で金沢が勝利。2戦合計3-0で金沢がJ2残留を決めた。

 

 移籍1年目の清原が貴重な決勝点(キンチョウスタジアム)

セレッソ大阪 1-0 ファジアーノ岡山

【得点】

[セ] 清原翔平(52分)

 

 C大阪の華麗な攻撃は鳴りを潜めたが、大一番で泥くさく勝利をもぎ取った。28日にコロンビアのメデジン近郊に墜落した飛行機には2012年シーズンに在籍したFWケンペスも搭乗していた。命を落とした元同僚に“良い報告を”と団結して試合に臨んだ。

 

 しかし、序盤から岡山に中央を固められて、ミドルシュートしか打たせてもらえない。それでもボールを回しながら隙を窺う。守っては相手のキーマンであるMF矢島慎也に厳しくプレスをかけて自由を奪った。

 

 ピンチらしいピンチは後半2分だけだった。前半は沈黙していた矢島がスルスルと前線に上がってくると左サイドでボールを持ち、ペナルティーエリア内にスルーパスを入れる。このパスを受けたMF三村真が左足でゴール左を狙ったが、GKキム・ジンヒョンが気迫のセーブ。J1復帰に燃える守護神がゴールを死守した。

 

 守備陣の気迫が攻撃陣に発破をかけた。7分、右CKを左利きのDF丸橋祐介がインスイングのボールを入れる。中でMFソウザがヘッドで合わせるが、相手GKが体に当てた。このこぼれ球を清原がスライディングしながら左足を懸命に伸ばして、ゴールに押し込んだ。昨季ツエーゲン金沢から移籍してきた清原が、3年ぶりのJ1昇格を手繰り寄せる。

 

 先制点を奪い余裕ができたC大阪は、ソウザを中心に右に左にボールを散らした。岡山のプレスをかいくぐりつつ、時計の針を進めた。終盤はDF岩政大樹を前線に上げる岡山のパワープレーにもしぶとく耐えて、試合終了のホイッスルを聞いた。この瞬間、C大阪は悲願のJ1復帰を果たした。

 

 主将のFW柿谷曜一朗は「ただただうれしい。ケガをして迷惑をかけたが、みんなで勝ち取ったJ1、最高です」と喜びを口にした。日本代表に名を連ね、ドイツ・ハノーファーから半年で戻ってきたMF山口蛍は「昇格できなければ帰ってきた意味がない」と語った。

 

 FWにワールドカップ得点王の実績を誇るフォルランを獲得し、「J1優勝」を掲げた2014シーズン。だが、歯車はかみ合わずあっけなくJ2へと降格した。今季、リーグ戦ではイージーなミスで失点する場面も多かったがJ2屈指の攻撃陣の個の力でねじ伏せてきた。来季の舞台はJ1となる。短所を補いつつ、C大阪は桜を咲かせることはできるのか――。

 

(文/大木雄貴)