8日、クラブワールドカップ(CWC)の開幕戦が神奈川・日産スタジアムで行われ、鹿島アントラーズ(開催国代表)がオークランドシティ(オセアニア代表)に2-1で逆転勝利した。鹿島は後半5分にDFキム・デウクに先制を許すが、22分に途中出場のFW赤崎秀平の得点で追いつく。43分には同じく途中からピッチに入ったFW金崎夢生がヘディングで逆転ゴールを決めた。準々決勝に進出した鹿島は、中2日でアフリカ代表のマメロディ・サンダウンズと大阪・吹田スタジアムで対戦する。

 

 石井監督の采配的中(日産スタジアム)

鹿島アントラーズ 2-1 オークランドシティ

【得点】

[鹿] 赤崎秀平(67分)、金崎夢生(88分)

[オ] キム・デウク(50分)

 

 CWC初出場・鹿島の相手はセミプロながら6年連続8度目の出場となるオークランドシティだ。鹿島はチャンピオンシップ決勝から、中4日と疲労の影響もあり、いつもの攻守の切り替えの速さは影を潜めた。

 

「前半は体が重たかった」と石井忠正監督。両チームともマイボールにすると、消極的な姿勢が目立った。鹿島も、オークランドシティも得点チャンスは数えるほどで、試合を折り返す。

 

 すると後半5分、鹿島が先制を許す。右サイドでオークランドシティにFKを与えると、キッカーのFWエミリアノ・タデが中へ放り込む。ゴール中央に走り込んだキムがヘディングで合わせてゴール左に決まった。後半の立ち上がりにセットプレーでの失点とは試合巧者の鹿島らしくない。

 

 だが、この失点でJリーグ王者の目が覚めた。まず石井監督が動く。9分にFW赤崎秀平、17分にFW金崎夢生をピッチへ送り込み、前線の活性化を図った。これがピタリと的中する。

 

 22分、MF遠藤康との連携でMF永木亮太が右サイドをえぐってグラウンダーのパスを入れる。「GKとDFの動きを見て決めるだけだった」と赤崎。パスを受け取ると、冷静にゴール左にインサイドで流し込んだ。チームを救う同点弾を途中から入った赤崎がきっちりと決めた。

 

 勢いが出てきた鹿島。24分に赤崎、25分には永木が決定機でシュートを打つがボールは枠の外だった。鹿島ペースではあるものの、得点が奪えない。この嫌な雰囲気を払拭したのがエースだった。

 

 終了間際の43分、DF山本脩斗が左サイドからクロスを入れる。ファーサイドのFW土居聖真がヘッドで折り返すと、ゴール中央にいた金崎が相手DFと競りながらジャンプ一番。競り勝った金崎のヘディングシュートがゴールネットを揺らし、鹿島が逆転した。左足首捻挫の影響で途中から出場したエースが見事な仕事を果たした。このリードを守り切り試合終了。鹿島が2-1で勝利を収めた。

 

 CWC初勝利をあげても鹿島のスタッフ・選手たちに笑顔は一切ない。まるで敗戦後のように反省の弁が次々と出てきたあたりが、かつて常勝と言われた鹿島の所以か。

 

 指揮官の石井は「1点取られてからギアが上がったのでは、この先で負ける。修正したい」と振り返る。DFリーダーの昌子源は「失点後にスイッチが入るとは情けない」と吐き捨てた。金崎は「今日みたいな試合をしていたらダメだと思う。次は気を引き締めて立ち上がりからしっかり全力でプレーしたい。(前半をベンチで見ていて)少し体が重いのかなと思ったが、開催国代表として出場しているので、恥じないプレーをしないとダメ。各自が責任を持って全力でプレーをすべき」と表情を引き締める。

 

 何とか準々決勝に駒を進めた鹿島。内容が悪くとも勝利をもぎ取った。ある意味“鹿島らしい”とも言えるが、次節は開催国代表として結果も内容も追い求めたい。

 

(文/大木雄貴)