18日、クラブワールドカップ(CWC)決勝が神奈川・日産スタジアムで行われ、鹿島アントラーズ(開催国枠)がレアル・マドリード(欧州王者)に2-4で敗れた。鹿島は前半9分にFWカリム・ベンゼマに先制ゴールを許すが、44分と後半7分にMF柴崎岳のゴールで一時逆転する。しかし、15分にPKからFWクリスティアーノ・ロナウドに得点を奪われ、追いつかれた。延長戦へ突入すると、前半8分と14分に続けてロナウドにゴールを奪われた。大会方式が現行制度になってからレアルは2年ぶり2度目のクラブ世界一。敗れた鹿島はアジア勢初の準優勝で幕を閉じた。

 

 ロナウド、68742人の観客を沸かせるハットトリック(日産スタジアム)

鹿島アントラーズ 2-4 レアル・マドリード

【得点】

[レ] カリム・ベンゼマ(9分)、クリスティアーノ・ロナウド(60分、98分、104分)

[鹿] 柴崎岳(44分、52分)

 

 敗れはしたが銀河系軍団相手に、Jリーグ王者は堂々と戦った。

 

 先制点を奪ったのはレアルだった。前半9分、MFルカ・モドリッチがペナルティーエリア外からミドルを放った。このシュートはGK曽ケ端準が弾くが、ゴール前に詰めていたベンゼマに右足で押し込まれた。鹿島は完全に崩されたわけではないだけに勿体ない失点だった。

 

 直後に主将のMF小笠原満男が右足でミドルを放つ。惜しくもゴール上に外れたが、チームに喝を入れるには十分だった。序盤はレアルにボールを持たれる時間が長かったが、徐々に鹿島もペースをつかむ。

 

 すると44分、鹿島の背番号10が魅せる。FW土居聖真が敵陣深く左サイドを切り裂いてクロスを入れた。ペナルティーエリア内にいた柴崎がトラップから左足一閃。シュートはゴール右に決まった。前半終了間際、いい時間帯に鹿島は追いついた。

 

 後半に入っても鹿島は一歩も退かない。7分、柴崎はDFセルヒオ・ラモスの中途半端なクリアボールをFWルーカス・バスケスと競り合う。バスケスに体を当てて奪うと、柴崎は2人に囲まれながらドリブルでペナルティーエリア手前までボールを運び、左足を振り抜いた。左下を狙いすました鋭いシュートがゴールネットに突き刺さり、鹿島が逆転。鹿島の応援席が大きく沸いた瞬間だった。

 

 15分、勝ち越しを許したレアルが意地を見せる。バスケスがベンゼマとのワンツーでペナルティーエリア内に侵入。DF山本脩斗が対応するが、バスケスを倒してしまい、PKを取られた。これをロナウドが冷静にゴール左に決めて再び試合は同点となった。

 

 白熱した戦いは90分では決着がつかず、15分ハーフの延長戦に突入した。鹿島は欧州王者相手に耐えていたが、ロナウドに一瞬の隙をつかれた。延長前半8分。ベンゼマのスルーパスに反応したロナウドに左足でシュートを決められた。14分には、MFトニ・クロースのミドルシュートがペナルティーエリア内にいたロナウドの足元へ。このボールをピタリと止めて左足でゴール左上を射抜いた。鹿島にとっては痛い失点だった。

 

 延長後半でも鹿島はゴールを奪うことができず、タイムアップ。鹿島は善戦したが、世界2位となった。

 

 ハットトリックを達成したロナウドは試合後に「今年は忘れがたい1年だった。バロンドールも獲得できたし、完璧な1年の締めくくりになった。自分の仕事をやり続けて、どんどんタイトルを獲りたい」と語った。

 

 敗軍の将となった石井正忠監督は「選手は120分、ファイトしてくれた。あのレアル・マドリードと真っ向勝負をしてくれた。(勝てなかったのは)私の力のなさです。本当に悔しいです。レアルを相手に苦しめるところまでいった。ちょっとした判断ミスで失点してしまったが、選手たちは120分間、勇気を持って戦ってくれた」と選手をねぎらった。

 

 石井監督は語気を強め、こう語った。

「来年はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を勝って、アジア王者として、ここに立ちたい」

 開催国枠という“甘え”ではなく、鹿島には自力でアジアを制し、CWCへのチケットを手に入れてほしい。

 

(文/大木雄貴)