齋田悟司(車いすテニス)第4回「世界一に繋いだチャレンジのバトン」

facebook icon twitter icon
1612ch二宮: アテネパラリンピックの男子ダブルスで金メダルを獲得した後も、北京とロンドンの2大会に続けて出場しました。
齋田: 北京大会ではシングルスはベスト8でしたが、国枝慎吾選手と組んだダブルスでは銅メダルを獲ることができました。しかし、ロンドン大会でシングルスとダブルスともにメダルは獲れませんでした。
 
二宮: リオデジャネイロパラリンピックでは8年ぶりの銅メダルを獲得しました。長年ダブルスを組んでいる国枝選手との出会いは何年前なのでしょうか?
齋田: 自分が1999年に柏へ来た17年前でしたね。でも、顔を合わせているくらいで一緒に練習をしていたわけではないんです。
 
伊藤: その頃はまだ今のように活躍される前ですよね。
齋田: そうですね。12歳下ですから、まだ高校1年生ぐらいだったかと。
 
二宮: 国枝選手を見て将来性を感じましたか。
齋田: ええ。走り、つまり車いす操作がすごく良かったんです。まだ体の線は細かったんですが、動きに関してはトップクラスでした。”頑張れば、世界のトップを狙えるんじゃないかな”と思いました。
 
二宮: やはり光るものがあったんですね。
齋田: そうですね。最初の頃は、トロントパラリンピックの陸上競技の金メダリストである星義輝さんがずっと指導をされていたので、動きに関してはすごくいいトレーニングを受けていたのではないでしょうか。それが彼の今を支えているんだと思います。
 
伊藤: 以前国枝選手にインタビューをした際に、「齋田選手が柏に来てくれたことで目標になる人ができた」と言っていました。現在、国枝選手は世界の第一線で活躍していますが、世界に挑戦する日本人がほとんどいない中でツアーに参戦したのが齋田選手です。齋田選手が道を拓かなかったら、その後の国枝選手はないかもしれません。
齋田: でも、それは順番だと思います。私がやったことを彼が引き継いで、世界ナンバーワンになってくれた。彼が車いすテニスをメジャーにしてくれました。私だけがチャレンジしていても、その後に誰も続かなければ私で終わりになってしまう。その点に関しては、続いてチャレンジをしてくれた彼はとても大きな仕事をしてくれたなと思いますし、すごく感謝をしています。
 
 高速化する車いすテニス
 
伊藤: 東京パラリンピックの目標を教えてください。
齋田: まずは出場することです。はっきり言うと、リオデジャネイロパラリンピックも出場することがギリギリでした。その位置からメダル獲得を果たせたことは、自分の中でも自信になっています。では、東京大会に出るために何をやっていかないといけないか。今までのことにあまりこだわり過ぎると、大きな進歩は望めないと思うんです。私なりに新たな一歩を踏み出すぐらいの気持ちでやりたいと考えています。
 
二宮: 初出場したアトランタパラリンピックから20年の歳月が経っていますが、世界のレベルは年々高くなっていると感じますか?
齋田: はい。車いすも、ラケットも進化してきています。道具の進化とともに、スピードのある試合展開が主流になってきているんです。だから、そこに対応するための俊敏性が必要になってきます。最近はボールを2バウンドさせて「待って打つ」かたちも少なくなってきています。
 
二宮: なるほど。スタイルも一般のテニスに近づいてきているんですね。
齋田: そうですね。1バウンドで返せば、相手に時間を与えないことになりますから。2バウンドで打てば、ボールに追いついて打ち返す時間はできますが、同時に相手にも守る体勢を整えて対応する時間を作らせてしまうことになります。
 
二宮: 高速化が進んでいるんですね。齋田選手は4年後、48歳になっています。年齢とも闘わなければなりません。
齋田: そのためにもサプリメントや食事面のことはきちんとやっていかないといけないです。新たに体作りからしっかりやりたいなと思っています。今のままでは、はっきり言って世界と戦えません。
 
二宮: 具体的にはどんなプランを?
斎田: この冬から、まずは体力づくりから始めるつもりです。今までの自分の車いすテニスをぶっ壊すとまでは言いませんが、”最初から組み立てていく”ぐらいの気持ちで、東京パラリンピックに向けて頑張りたいと思います。
 

(おわり)

 

1612chpf齋田悟司(さいだ・さとし)プロフィール>

1972年3月26日、三重県生まれ。12歳の時に骨肉腫で左足を切断。14歳で車いすテニスを始める。1996年アトランタ大会からパラリンピックは6大会連続出場。2004年アテネ大会で国枝慎吾と組んだ男子ダブルスで金メダルを獲得した。同じく国枝と組んだダブルスで2008年北京大会、2016年リオデジャネイロ大会で銅メダルを手にした。11月21日現在、世界ランキングはシングルス29位、ダブルス17位。身長185センチ、体重72キロ。株式会社シグマクシス所属。

facebook icon twitter icon

NPO法人STAND

公式サイトcopy icon

NPO法人STAND代表の伊藤数子さんと二宮清純が探る新たなスポーツの地平線にご期待ください。

Back to TOP TOP