メジャーリーグのプレーオフが6日、スタートし、両リーグでワイルドカードゲームが行われた。今季からワイルドカードでの進出が2枠に増えたことにより、同ゲーム(1試合制)で直接対決を実施し、ディビジョンシリーズに進むチームを決定する。アメリカンリーグでは最終戦で地区優勝を逃したテキサス・レンジャーズ(西地区2位)が、ボルチモア・オリオールズ(東地区2位)に1−5で敗れ、リーグ3連覇の夢が絶たれた。先発のダルビッシュ有は立ち上がりに1点を失ってから立ち直ったものの、6回、7回と1点ずつを奪われ、勝ち越しを許す。8回には上原浩治が3者連続三振を見せたが、打線の援護がなかった。オリオールズは8日からのディビジョンシリーズでニューヨーク・ヤンキース(東地区優勝)と対戦する。
◇ア・リーグ
 レンジャーズ打線、3併殺の拙攻(ボールパーク・イン・アーリントン)
ボルチモア・オリオールズ 5 = 100001102
テキサス・レンジャーズ   1 = 100000000
勝利投手 ソーンダース
敗戦投手 ダルビッシュ

 世界一への挑戦はわずか1試合で終わりを告げた。シーズン最後にまさかの3連敗を喫し、地区優勝を逃して中1日でのワイルドカードゲーム。レンジャーズはダルビッシュを立てて必勝を期したが、30球団トップの得点数を誇った打線が空回りした。

 ホームの大観衆の中、マウンドに上がったダルビッシュは初回、先頭のネート・マクロースを1球でファーストゴロに仕留めたが、一塁手のエラーで出塁を許す。マクロースはすかさず二塁へスチールを決め、J.J.ハーディがセンターへタイムリー。わずか4球で先制を許した。

 だが1年目で16勝をあげた右腕はすぐに立ち直る。左バッターのインサイドへ沈むカットボールを決め球に後続を打ち取り、最小失点で切り抜けた。

 するとレンジャーズ打線もその裏、オリオールズ先発のジョー・ソーンダースを攻め、四球とヒットで無死一、三塁のチャンスを迎える。ここで打席にはレギュラーシーズンで43本塁打、128打点(いずれもリーグ2位)と大活躍したジョシュ・ハミルトン。一気にたたみかけたいところだったが、結果は最悪のダブルプレーで同点止まりに終わった。これが結果的には後に響いた。

 2回以降のダルビッシュはシーズン終盤同様の安定した投球に。大一番ゆえに、やや力んで乱れていた制球も徐々に狙ったところへボールが集まるようになった。2回から5回は、打たれたヒットはわずか1本。打線の爆発を期待して、背番号11が力投をみせる。

 しかし、レンジャーズは5回まで毎回ヒットを放ちながら、あと1本が出ない。5回には1死からトップバッターのイアン・キンスラーがセンター前へ弾き返して出塁するも、続くエルビス・アンドラスがショートゴロでゲッツーに倒れ、ちぐはぐな攻撃が続く。

 こうなると流れはオリオールズへ。6回、初の連打で無死一、三塁とダルビッシュを攻めると、アダム・ジョーンズが初球を打ってライトへフライを打ち上げる。三塁走者が生還し、あっさりと1点を勝ち越した。突如、乱れたダルビッシュは首を気にしている様子で、異変を察知したトレーナーがマウンドへ向かい、試合が中断する。

 状態を確認した上で続投し、後続を抑えたダルビッシュだが、続く7回もヒットを許し、2死一塁となったところで降板する。6回3分の2、91球を投げて5安打、7奪三振。試合をつくりながら、ビハインドの状況でマウンドを2番手投手に託した。

 ただ、流れの悪いチームは継投もうまくいかない。交代したホランドがタイムリーを浴びて、ダルビッシュの残したランナーをホームに還してしまう。これで1−3。6回以降はレンジャーズ打線も沈黙し、ベンチには重苦しい雰囲気が漂った。

 何とか状況を打破したいレンジャーズは2点ビハインドながら上原を3番手に起用する。昨季のプレーオフでは3試合連続で被弾するなど散々だったセットアッパーは3番クリス・デービスから始まる好打順で圧巻のピッチングを披露した。デービスを高めのストレートで空振り三振に切ってとると、続くジョーンズ、マット・ウィータースも変化球でバットに空をきらせる。3者連続空振り三振。流れを変えるには最高の内容でスコアボードにゼロを入れた。

 それでもドラマは起こらなかった。レンジャーズは直後の1死二塁のチャンスを逃すと、9回には抑えのジョー・ネーサンがまさかの2失点。9回裏には2死満塁と最後の抵抗をみせるも、最後の打者がレフトフライに終わり、万事休した。

 悲願のワールドシリーズ制覇へ、レンジャーズは入札金だけで約40億円をかけてダルビッシュを獲得。日本のエースは期待に応え、1年通じて成績を残した。それでも王座には届かなかった。選手もファンも不完全燃焼の思いだけが残り、2012年のシーズンに幕が下りた。


 ナショナルリーグではセントルイス・カージナルス(中地区2位)が、アトランタ・ブレーブス(東地区2位)を逆転で下し、ディビジョンシリーズ行きを決めた。2点を先行されたカージナルスだが、4回に相手のエラーにつけこんで、アレン・クレイグの二塁打、デービッド・フリースの犠牲フライなどで一気に逆転。6回にはマット・ホリデーの一発で突き放し、7回にも2点を加えた。ブレーブスは内野守備の乱れが、いずれも失点につながり、終盤の再三の好機も生かせなかった。勝ったカージナルスは8日からワシントン・ナショナルズ(東地区優勝)と戦う。

◇ナ・リーグ
 引退のC・ジョーンズ、痛い失策で花道飾れず(ターナー・フィールド)
セントルイス・カージナルス 6 = 000301200
アトランタ・ブレーブス    3 = 020000100
勝利投手 ローシュ
敗戦投手 メドレン
セーブ   モット
本塁打  (カ)ホリデーソロ
       (ブ)ロス2ラン