14日、ラグビーのトップリーグ最終節が各地で行われた。首位のサントリーサンゴリアスは4位の神戸製鋼コベルコスティーラーズを27-15で破り、開幕15連勝。勝ち点を69に積み上げ、4年ぶり4度目の優勝を決めた。2位は同67のヤマハ発動機ジュビロ、3位には同61のパナソニックワイルドナイツが入った。サントリー、ヤマハ発動機、パナソニックは21日からの日本選手権に出場する。

 

「自分たちはチャレンジャー。1戦1戦を丁寧に戦った」

 サントリーの沢木敬介監督は振り返る。名門による昨シーズン9位からの復活劇だった。

 

 無傷の15連勝とはいえ、楽な試合ばかりではない。開幕戦は薄氷を踏むような思いでの1点差勝利。優勝に王手を掛けた最終節も楽な展開ではなかった。サントリーは前半9分にトライを許すなど、8点を先行される。それでも22分にFLツイ・ヘンドリックのトライで追い上げると、終了間際にWTB江見翔太のトライで逆転した。SO小野晃征はいずれのコンバージョンキックも着実に決めた。

 

 14-8とリードして迎えた後半。開始早々にFB松島幸太朗が右サイドをゲインする。松島は一度は相手のチャージによりバランスを崩されかけたが、逆に生まれた隙を突いた。インゴールへ楽々とボールを運ぶ。ゴールキックも小野が決めて突き放した。

 

 その後は神戸製鋼に遭い、6点差まで迫られる。江見のシンビン(10分間の一時退場)による数的不利の状況も何とか耐えた。コンバージョンを3本すべて成功させた小野が2本のペナルティーゴールを沈め、サントリーが27-15で勝利を収めた。

 

 就任1年目の指揮官が「サントリー・プライド」を掲げ、チームに4年ぶりの栄冠を取り戻させた。沢木監督はキャプテンに2年目のSH流大を据え、厳しい練習を選手たちに課した。「きつい練習が報われた」と流。今シーズンはスクラムも強化した。サントリーの持ち味であるアタッキング・ラグビーに力強さが加わった。

 

「もうひとつゴールがある」と流は言う。1週間後には日本選手権を控えている。流にとっては母校である帝京大学と対戦する。名門の完全復活へ――。2冠達成に向けてサントリーの鼻息は荒い。

 

(文/杉浦泰介)