2017年、A代表入りに期待したい若手は?

 そう聞かれたら筆者は真っ先に彼の名を挙げる。鹿島アントラーズの20歳、FW鈴木優磨である。

 

 レアル・マドリードのFWクリスティアーノ・ロナウドを意識したクルッと回転して両腕を広げるゴールパフォーマンスがクラブワールドカップでも注目されたが、高い決定力には目を見張るものがある。

 

 入団2年目の昨季はJ1で8ゴールをマーク。チャンピオンシップでは優勝を呼び寄せるPKを奪い、“陰のMVP”となった。クラブワールドカップでは準決勝アトレティコ・ナシオナル戦で、途中出場するや否やゴールを決めている。何はともあれ、大舞台に強い。

 

 チャンピオンシップ後にインタビューした際、勝負強さについて尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。

「いや、鹿島ユースのときは、勝負強いとか大舞台に強いとか、特に感じたことはなかったですね。弱い相手だといっぱい点を取れるけど、強い相手に対してはそうでもなかった。やはりプロに入ってからですかね。勝負強い選手が多くいるというのは大きい。自分も練習から真摯に100%で取り組んでいます。練習でできないものは試合でできないと思うし、そういう取り組みが結果につながっているんじゃないかと思います」

 

 練習から真摯に100%で――。

 勝負強さを発揮するチームのなかで揉まれているからこそ、自身も自然と勝負強さを身につけつつあると彼は理解していた。

 

 好きな選手は言うまでもなくC・ロナウドだ。

「ロナウド選手の動画は毎日見ています。単純に見ていて楽しいですよね。どこからでも点を決められるし、“あれがフォワードの完全形だよな”と思います。ロナウド選手はもう一生、十分に暮らせるだけのオカネを持っているのに、それでも上を目指すというのはサッカーが本当に好きだからだと思う」

 

 ゴールパフォーマンスを真似るのは、何よりも同じサッカー人として憧れ、その飽くなき姿勢に尊敬の念を抱いているからである。

 

 そして欧州サッカーフリークの鈴木には、海外のプレーヤーでもう1人好きな選手がいる。それがレスター・シティのFW岡崎慎司だ。頭脳を回転させ、泥臭くひたむきにゴールへ向かっていく姿勢やチャレンジスピリットに彼は共鳴する。

「あまりうまくはないのに点が取れるというのは自分と共通しているし、映像を見返してみると必ず相手の嫌なところに入っていくんです。

 あとは何と言っても岡崎選手の姿勢が好きですね。ドイツで2ケタの得点を取って代表でも地位を確立させているのに、プレミアリーグに行ったじゃないですか。そこで試合に出られなかったら代表も落ちるかもしれないのに、厳しい環境に身を置いてパイオニアになろうとしている。1回しかない人生をチャレンジしているなって」

 

 鈴木は今季、クラブから背番号「9」を託された。鹿島のエースだった大迫勇也がつけていた番号だ。日本代表では岡崎がつけている。発奮の材料になっていることは間違いない。

 

 1月にはタイで開催されたインターリーグカップで2ゴールを挙げ、2月2日にはDAZNニューイヤーカップ初戦のV・ファーレン長崎戦で先制ゴールをマークするなど、ゴール量産の気配を漂わせている。

 

 若くて向こう気が強く、体を張って戦えるのもヴァイッド・ハリルホジッチ監督の選考条件に合致する。ゴールを積み重ねていけば、A代表の座もそう遠くはないだろう。


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