20日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第４戦が行なわれた。１敗も許されない巨人は先発・澤村拓一が６回７安打無失点の力投。７回以降はリリーフ陣が、再三のピンチを１失点に抑え、巨人が初勝利を収めた。アドバンテージの１勝とあわせて、通算成績は巨人の２勝３敗となった。
◇ファイナルステージ第４戦
中日、11安打も１得点の拙攻（巨人２勝３敗、東京ドーム）
中日 １ ＝ ００００００１００
巨人 ３ ＝ ００２００００１×
勝利投手 澤村（１勝０敗）
敗戦投手 川上（０勝１敗）
セーブ 西村（０勝１敗１Ｓ）
巨人優勢との下馬評を覆し、中日が３連勝で３年連続の日本シリーズ進出に王手をかけての大一番となった第４戦。両軍にとって大事な一戦のマウンドを託された巨人・澤村拓一と中日・川上憲伸は、ともに初回は３人でピシャリと抑え、幸先のいいスタートを切った。
だが２回は一転、ともに先頭打者を出し、ピンチとなる。まずは中日・和田一浩が両チーム合わせて初のヒットを放った。２死後には森野将彦もヒットで続き、一、二塁とした。しかし、澤村は谷繁元信を空振り三振に切ってとり、先取点を許さなかった。その裏、今度は巨人がチャンスをつくった。先頭の阿部慎之助が谷繁のパスボールによる振り逃げで出塁する。ところが、続く高橋由伸はショートゴロに倒れ、６−４−３のダブルプレーで２死無走者となってしまう。その後、村田修一が四球、ジョン・ボウカーが二塁打、そして古城茂幸は敬遠されて満塁とするも、続く澤村はファーストゴロに倒れ、巨人もチャンスをいかすことができなかった。
３回裏、巨人打線が再び川上を攻める。先頭の長野久義が内野安打で出塁すると、松本哲也がきっちりと送り、１死二塁とした。すると坂本勇人が初球、外角高めに抜けたカーブをうまくとらえた。これがタイムリー二塁打となり、巨人が待望の先取点を挙げた。さらに、今シリーズはなかなか結果を出せずにいた阿部が汚名返上とばかりにヒットで続くと、二塁ランナー坂本は一気に三塁をまわり、ホームへ。巨人が２点をリードした。
４回表、中日は２死ながら満塁と一打同点のチャンスをつくった。しかし、ここも澤村が粘る。２回に続き、打席に谷繁を迎えると、強気のストレート勝負でライトフライに打ち取った。澤村は６回表にも２死満塁とピンチとなるも、代打・山崎武司を空振り三振に切ってとり、中日に得点を許さなかった。
７回表、巨人はランナーを出しながらもここまで無失点に封じてきた澤村を下げ、セットアッパー山口鉄也にスイッチした。その山口から先頭の大島洋平が内野安打を放つと、荒木雅博がヒットで続き、無死一、三塁とした。続く井端弘和が初球、内角高めのストレートをセンターへ弾き返し、中日が１点を返した。しかし、山口はその後、和田、トニ・ブランコと打ち取り、なんとかリードを守った。
中日は８回表にも、２死二塁と一打同点のチャンスをつくると、延長戦にもつれこんだ前日の第３戦、決勝タイムリーを放った堂上剛裕を代打に送った。打ち気にはやる堂上に対し、キャッチャー阿部はこの回からマウンドに上がったスコット・マシソンにフォークを要求。堂上はそのフォークに空振りし、２ストライクと追い込まれるも、４球目、やや高めに抜けたフォークをうまくバットに当て、ライナー性の打球を飛ばした。しかし、打球はショート坂本のほぼ真正面に。ショートライナーとなり、結果的に巨人バッテリーに軍配が上がった。
その裏、巨人は１死から四球とヒットで一、二塁とした。打席に阿部を迎えたところで、中日は“阿部キラー”のサウスポー小林正人をマウンドに上げた。前日は小林に完璧に抑えられた阿部だったが、この打席ではアウトローのスライダーをうまくレフトへ弾き返した。これで二塁ランナー松本が生還し、巨人がダメ押しの３点目を挙げた。
巨人２点リードで迎えた９回表、マウンドを託されたのは西村健太朗だった。１番・大島からの好打順で迎えた中日は、その大島がヒットを放ち、反撃の狼煙を上げた。しかし、前日は堂上に決勝タイムリーを打たれた西村が汚名返上とばかりに、荒木を併殺打に打ち取ると、最後は井端をサードゴロに仕留め、今シリーズ初勝利に導いた。中日は巨人を上回る11安打を放ちながら打線がつながらず、巨人の豊富な継投の前に１点にとどまった。
まさかの３連敗で、１敗もできないという状況に追い込まれた巨人が、苦しみながらもなんとか踏みとどまった。しかし、崖っぷちの状態はまだ続く。果たして明日の第５戦も勝利を収め、最終戦へと持ち込むことができるのか。