BCリーグの滋賀ユナイテッドベースボールクラブは、前回紹介した栃木ゴールデンブレーブスとともに今季からリーグに加入した新球団だ。滋賀の初代指揮官を務める上園啓史監督に話を聞いた。

 

--監督就任の経緯を教えてください。
「最初、滋賀に独立リーグの新球団ができたと聞いたとき、選手兼コーチで何か手伝えないか、そのつもりで球団の方と会ったんですよ。そうしたら"監督業はどうですか?"という話になりまして、最初は冗談だと思っていました(笑)。だって監督の経験はありませんからね。でも、2回目に顔を合わせたときには熱心に誘っていただき本気なんだなと分かりました。新米監督が新球団とともに育っていけたらいいなという思いで引き受けました」


--初の監督経験ですがプレッシャーは?
「当然、あります。というよりもプレッシャーと付き合う日々ですね。独立リーグは野球チームとして勝つことはもちろんですが、選手を育成してNPBに送り出すという目的もあります。さらにいえば地域への貢献も求められる。試合でいいプレーを見せて地元のファンの方、子供たちに喜んでもらえるようにならなきゃいけない。ただ勝つだけではなく、楽しい野球を見せたいと思っています。そのために監督として何ができるのか、そして何をしなきゃいけないのかを常に考えています」

 

--合同練習で選手たちと初めて顔を合わせての印象はいかがでしたか。
「どの選手も非常にやる気が感じられましたね。ここで頑張ってNPBに行くんだという強い意志が全員から感じられました。選手には"自分は新米監督で経験もない"と正直に言いました。チームの長ではありますが、選手たちから学ぶことも多々あるでしょう。チーム、選手、そして監督の自分も一緒に成長していきたいと思っています」

 

--上園監督は大学時代は日本代表にも選ばれ、ドラフトで指名されてプロ入りしました。プロへ行くために必要なことは何か、身を持って知っているのは強みですね。
「そうですね。僕もアマチュア時代からそんなに大した選手ではなかったんですよ。超高校級でも大学野球を代表するエースでもありませんでした。だからこそプロに行くためにはどうすればいいのか、そのことはスター選手より分かっていると思います。いろいろと話をして選手たちにプロ入りに必要なことを気付かせてあげたいですね。決して今の場所がゴールではないですから」

 

--プロ、アマと様々な監督の下で野球をしてきましたが、目標とする指揮官は?
「うーん、難しいですね。プロ入りしてからも岡田(彰布)さん、真弓(明信)さん、星野(仙一)さんなど、タイプの違う監督と野球をしたので、誰が目標というのはないんですよ。それよりも"上園カラー"を早く築ければと思っています。

 

--ずばり上園カラーの野球とは?
「まだ決まってません(笑)。取材でもよくこの質問を受けるのですが、本当に決まってないんですよ。すみません……。漠然と思っているのは"見てて楽しい野球"なのですが、そもそも勝たないと野球は楽しくない。だから投手も野手も全員が夢中で野球に取り組むことは常に意識しておこうと話しています。全力、そして夢中にプレーする中からやがて滋賀ユナイテッドベースボールクラブのカラーも出るし、それでリーグ制覇ができたら最高ですね」

 

 滋賀ユナイテッドベースボールクラブは、今、合同練習で汗を流している最中だ。空席となっている投手コーチに関しても近日中に発表されるという。日本プロ野球だけでなくオーストラリア、オランダと海外の野球も経験した上園新監督が構築する"滋賀流"の野球を楽しみにしたい。(取材・構成 編集部・西崎)

 

<上園啓史(うえぞの・けいじ)プロフィール>:滋賀ユナイテッドベースボールクラブ監督
1979年6月12日、福岡県福岡市出身。中学1年生から野球をはじめ福岡東高へ進学。2年生春に甲子園出場。卒業後は首都大学リーグの武蔵大学へ進み、大学4年生で第35回日米大学野球選手権大会日本代表に選ばれた。大学・社会人ドラフト3巡目で阪神へ入団。07年、8勝をあげて新人王を獲得した。12年に東北楽天にトレードで移籍。15年限りで現役を引退したが、その後、オーストラリアやオランダのリーグにも在籍。16年10月に滋賀ユナイテッドベースボールクラブの監督に就任した。


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