4月の開幕を前にしてBCリーグ村山哲二代表に話を聞いた。昨年、BCリーグは10周年を迎え、今季からまた新しい一歩を踏み出すことになる。村山代表は「17年のBCリーグには目玉となるポイントが2つあります」と語り出した。

 

--10年ひと区切り、11年目のBCリーグのアピールポイントを教えてください。
「これからのBCリーグには目玉が2つあります。まずは新球団の滋賀ユナイテッドベースボールクラブ、栃木ゴールデンブレーブスが加入しました。既存球団と合わせて10球団になり試合数は昨年の300試合から390試合に増えます。
 これに伴いNPB球団、巨人3軍や東北楽天育成軍との試合も増加の方向で動いています。NPB球団と対戦するとファンの方は地元チームのレベルが測りやすいんですね。"巨人相手にこれだけ頑張っているんだ。なかなかやるじゃないか"と、より感情移入がしやすくなる。
 ありがたいことに巨人3軍を率いる川相(昌弘)監督はBCとの交流戦も本気も本気のガチンコモードなんです。3軍の選手もとてもハングリーなので、選手も学ぶところは多いんじゃないですかね。
 それともうひとつが今オフから導入する年齢上限制度とオーバーエイジ枠(OA枠)です。これはチーム在籍選手に年齢制限を設けるもので、26歳以上の選手はそのシーズンで引退となります。もちろんベテランや元NPBのスター選手という存在もチームには必要なので、そのためにOA枠5人を設定します」

 

--年齢での線引き、一律に引退と聞くと冷たい印象も受けますが……。
「もちろん私たちの中でも議論がありました。でも何よりも選手の将来を考えたときに一定の年齢制限は必要だという結論に達したんです。NPBドラフトの指名率は27歳で1%、28歳はさらに下がるというデータがあります。また年俸100万円で30歳前の働き盛りの人間を野球に縛り付けておくのは社会に対して悪なんじゃないか、と。26歳で線を引くことはリーグとして少なからず社会に責任を果たすことにもなるでしょう。
 もちろん退団後の進路についてはリーグ全体で力を入れています。地元企業やスポンサー企業などと話をして、選手のセカンドキャリアも視野に入れた活動を行っています。そのおかげもあり近頃は高校野球などアマチュアの監督さんたちが進路のひとつとしてBCリーグを選手に勧めることも増えました。だからでしょうか、トライアウト受験者も増えてるんですよ。15年オフの284人から、16年オフのトライアウトは414人と受験者が1.5倍に増加しました。
 そうした若い選手たちのフレッシュなプレーをBCリーグの魅力として伝えていきたいですね」

 

--世代交代が進みそうですね。
「そうですね。各チーム、例年以上にベテラン選手に気合いが入っているという話を聞きます。野球に悔いを残さないようにという気持ちなんでしょうね。そうしたがむしゃらな姿を見るためにもぜひ球場に足を運んでほしいと思います。あとうちのベテラン選手、やっぱりうまいんですよ。それも球場で確かめてみてください」

 

--11年目、そして将来に向けての目標は?
「まだ現時点で全球団の決算報告が出ていませんが、今のところ6球団が黒字になっています。もちろんリーグ、そして10球団すべてが黒字にするのが目標です。そのために何をすべきか、頭を絞っている最中ですね。
 グラウンドのプレーは先ほども言ったように"若さあふれるフレッシュ"なものを見せていくのは変わりません。これに球場にアミューズメント要素を盛り込むなど、野球にプラスαの楽しさを加えたいですね。また動画配信などネットでの展開もいろいろと考えています」

 

--海外遠征などは計画されてますか?
「海外遠征は四国アイランドリーグplusが実施していますね。うちも以前、遠征費などを試算をしたことがあります。でもBCリーグの体力ではまだその費用を捻出するのが難しい状況です。海外という面ではASEAN、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアなどとの協力を考えています。ASEAN各国から選手を受け入れて野球の普及や強化も図りたいですね。
 BCリーグはおかげさまで10周年を無事に迎えることができました。これから先も10年、20年と続けていかなくてはなりません。BCリーグにはダイヤの原石のような逸材もいます。甲子園常連校に進みながら家庭の事情で野球を諦めた元高校球児など、NPBのスカウトのフィルターに通っていない良い素材がいるんですよ。そういう選手の受け皿としてもBCリーグは発展していかなきゃいけないでしょうね」

 

 これまで19人(復帰も含む)をNPBに送り込んだBCリーグは、これからも育成の場としてさらなる発展を目指す。11年目のシーズン、開幕は4月8日だ。

 

<村山哲二(むらやま・てつじ)プロフィール>:BCリーグ代表・株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング代表取締役

1964年9月19日、新潟県出身。県立柏崎高校野球部に所属し、駒澤大学北海道教養部に進学後は準硬式野球部に入部。主将としてチームを全国大会に導いた。卒業後は新潟県の広告代理店に勤め、アルビレックス新潟(Jリーグ)の発足時から運営プロモーションに携わる。06年3月に退社、06年7月に株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティングを設立。代表取締役に就任した。


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