明治安田生命J1リーグ第8節の柏レイソル対横浜F・マリノスが22日、日立柏サッカー場にて行われ、柏が横浜FMに2-0で勝利した。試合は前半25分、柏がFWクリスティアーノのゴールで先制。2分後にもMF中川寛斗のゴールで柏がリードを広げた。後半は2点のリードを守り切った柏が逃げ切って、今季ホームで初白星をあげた。

 

 柏・小池が齋藤を止める活躍(日立柏サッカー場)

柏レイソル 2-0 横浜F・マリノス

【得点】

[柏] クリスティアーノ(25分)、中川寛斗(27分)

 

「研究されてしまった」

 横浜FMのDF中澤佑二が試合後に言い放ったことがすべてだった。

 

 今節まで横浜FMは「戦術は齋藤」状態だった。今シーズンより背番号10をつけるMF齋藤学は得意の左サイドからのカットインで敵守備陣を幾度となく混乱に陥れていた。それゆえ、柏の一番の狙いは横浜FMのエースを止めることに向けられた。

 

 試合開始から横浜FMは柏に前からアグレッシブにプレスをかけられた。後方からのビルドアップで苦戦した横浜FMはいい形で齋藤にボールが渡らずリズムに乗れなかった。

 

 すると、25分。柏のMF大津祐樹に左サイドからクロスを入れられ、ペナルティーエリア内でDF金井貢史がカットしようと対応するが、無情にも金井のハンドを取られる。柏はこのPKをクリスティアーノが決めた。横浜FMは先制を許した。

 

 失点を喫した2分後、横浜FMは追加点を許す。MF伊東純也に右サイドからクロスを入れられた。このクロスをペナルティーエリア内左にいたMF大谷秀和がヘッドでゴール中央へ折り返す。このボールにいち早く反応した中川に押し込まれた。

 

 横浜FMにとっては手痛い失点だった。その後も齋藤にボールが渡っても、柏の右サイドバックの小池龍太が粘り強く対応する。その間に一列前の伊東に戻られて齋藤は囲まれる場面が目立った。

 

 後半に入ると、これまで左サイドに張り出すことが多かった齋藤が、少し中へポジションを取った。13分、供給役のMF天野純が右サイドで前を向いてボールを持つと、左サイドにいた齋藤はゴール方向へダッシュした。天野が浮き球のボールをDFラインの裏へ送るが、惜しくも齋藤には届かなかった。26分にも味方とのワンツーを使い齋藤は中へ切り込もうと試みた。これは味方と呼吸が合わず、ボールを受けられなかった。いずれも齋藤にボールが通っていればビッグチャンスが作れただろう。

 

 何とか一矢報おうとした齋藤だったが、その努力は実らず試合は終了した。得意のドリブルは小池に抑えられ、影を潜めたままだった。

 

 柏の指揮官・下平隆宏は「小池が齋藤にほぼ何もさせなかった。小池が対応している間に伊東やボランチでうまく挟んだ」と小池を称えた。賛辞の言葉を送られた小池は「今節に限って言えば、守備が大事だった。齋藤を止めることが第一の仕事。ゼロで抑えられたことは嬉しい。彼にボールをなるべく入れさせないようにチーム全体でもいい守備ができた」と手ごたえを口にした。

 

 一方、仕事をさせてもらえなかった齋藤は試合をこう振り返った。

「失点してからの試合の進め方など、いろいろ課題が見つかった。個人的にはボールの受け方などをもう一度見直さないといけない。負けたことは悔しいが、次に切り替えないといけない。ポジティブな面もいくつか見つかったので、そこを伸ばしていけばいい。相手がゾーンで(守備ブロックを)組み始めると仕掛ける場所がなくなるというのは、課題になるかなと思いました。このチームは僕も含めて毎試合いいプレーができるわけではないので、日々の練習からやっていかないといけない」

 

 エースを抑えられたことで横浜FMの攻撃陣は沈黙した。今節の柏の対応を他のチームがすれば、今後はさらに苦しくなる。だが、齋藤は後半からプレーに変化を見せて、ドリブル以外の動きでゴールに迫ろうとした。チャンスとなるまでには至らなかったが、その攻撃には新たな可能性を感じさせた。横浜FMにとって、この敗戦が良薬となり得るのかもしれない。

 

(文/大木雄貴)