(写真:ベンチの盛り上がりも際立っており、雰囲気の良さが窺えた)

(写真:ベンチの盛り上がりも際立っており、雰囲気の良さが窺えた)

 記念すべき50回を迎えた日本女子ソフトボールリーグは22日、ナゴヤドームで1部の開幕戦が行われた。2014年に1部に昇格してから4年目となる伊予銀行VERTZは2部優勝の日本精工Brave Beariesと対戦し、5-1で勝利した。昨季は5勝17敗の11位で入れ替え戦に回った伊予銀行。勝率5割を目指す上で幸先の良いスタートを切った。

 

 

 今季の開幕投手は4年目の庄司奈々が任された。「オープン戦を通じて波が少ないピッチャー。昨シーズンに比べて精神面が成長してきた」と秋元理紗監督。指揮官の胸の内では3月中旬には決めていた。本人には試合前日に通告したという。庄司は「“絶対勝ちたい”と思って、それをプレッシャーに感じるのではなく仲間が盛り立ててくれた。不安はなく臨めました」と振り返る。

 

 1回表、スコアリングポジションにランナーを進めながら得点が奪えなかった。その裏、庄司は初回を3者凡退に切って取り、流れを相手に譲らない。すると2回表に先制のチャンスが訪れた。2つのフォアボールと内野安打で1死満塁の場面。迎えた9番の金澤美優がファーストへの内野安打で1点を先取した。

 

(写真:2年目の樋口は持ち前のバッティングで勝利に貢献)

(写真:2年目の樋口は持ち前のバッティングで勝利に貢献)

 援護をもらった庄司はテンポよく投げ、日本精工打線を抑えていく。スコアボードにゼロを並べ、攻撃のリズムを作る。5回表1死二、三塁のチャンスで3番の樋口菜美が打席に立つ。「燃え過ぎると力みにつながるので、あれこれ考えず、いつも通りやろうと思って入りました」。樋口は2球目の真っすぐを左中間に弾き返し、2人をホームに還した。彼女のバッティングを買って、クリーンアップに起用した秋元監督の期待に応えたかたちだ。「打つ部分で期待されている中で、しっかり自分の仕事ができた」と樋口。二塁ベース上で高々と右拳を突き上げた。

 

 若きスラッガーの一打でチームは波に乗る。4番の池田千沙が四球で歩くと、5番の加藤文恵、正木朝貴がセンター前に弾き返す連続タイムリーで加点した。

 

(写真:4年目の庄司は初の開幕投手)

(写真:4年目の庄司は初の開幕投手)

 5点のリードをもらった庄司は、その後も落ち着いたピッチングを披露。7回1死から4番の安井聖梨奈にホームランを打たれたものの、後続を抑えて完投勝利を挙げた。5-1の快勝で、1部に昇格してから4年連続で開幕節をモノにした。

 

 殊勲の庄司は自らのピッチングよりも野手を称えた。

「私自身、三振をバンバン取るピッチャーではなく打たせて取るピッチャーです。いい打球も野手が捕ってくれて、終盤までゼロに抑えることができ、みんなが打ってくれたからこその勝利がある。チームのスローガンが『繋』。本当にみんなで勝ったという感じですし、それが一番うれしかったです」

 

(写真:名古屋開催だが多くの行員、ファンが会場に詰め掛けた)

(写真:名古屋開催だが多くの行員、ファンが会場に詰め掛けた)

 先発の庄司がリズムをつくり、バックは打撃と守備で盛り立てた。チームスローガンの『繋』を実践した。試合中のベンチの雰囲気の良さも印象的だった。タイムリーが出ると打った選手がベンチに向かってポーズを作る。それに応えるようにベンチも大きなアクションをし、スタンドに向かって喜びを表していた。今季からキャプテンを務める對馬弥子はこう説明する。「今シーズンはベンチが前になって観客の皆さんと一緒に盛り上がれたらいいなと思って、みんなで考えました」。スタンドとの『繋』をも意識していたように見えた。

 

 今シーズンはエースの木村久美、キャプテンの山﨑あずさが抜けた。実績のある主力が抜け、戦力ダウンは必至と思われていた。昨シーズンの開幕戦はサヨナラ弾を含む劇的な逆転勝利だったが、今シーズンは終始、主導権を握っての快勝だ。チーム力が上がった証拠とも言えよう。

 

「昨シーズンの開幕に比べると、どの選手も地に足がついたプレーが多かった。去年よりは上にいけるのではないかと思っています」と指揮官も手応えを掴んでいる。次節は地元・愛媛坊っちゃんスタジアムで5月6日にデンソーブライトペガサス、7日に豊田自動織機シャイニングベガを迎える。

 

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