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(写真:レギュラーシーズンの対戦成績は1勝1敗。CSでも熱戦を繰り広げた栃木と三河が激突する)

 26日、男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」は都内で開幕カードを発表した。B1は9月29日から、B2は9月30日から順次開幕。初代王者に輝いた栃木ブレックスは、シーホース三河をホームで迎える。両クラブは昨季チャンピオンシップ(CS)セミファイナルの再戦となった。B2からの昇格組は、島根スサノオマジックがアウェーで新潟アルビレックスBB、西宮ストークスがホームで千葉ジェッツと対戦する。

 

 2シーズン目を迎えるB.LEAGUE。1シーズン“前例を笑え!”“常識を壊せ!”“限界を超えろ!”と『BREAK THE BORDER』のスローガンを掲げて初年度を駆け抜けた。約1カ月前の5月27日にB1ファイナル、翌28日にB1・B2入れ替え戦を行ったばかりだが、早くも2017-18シーズンの開幕カードが発表された。

 

 中でも注目カードは栃木vs.三河という第3戦までもつれたCSセミファイナルのリマッチだ。B.LEAGUEの大河正明チェアマンは「チャンピオンチームが、どこと戦うのがふさわしいかを考えた。はじめから当たるのは若干もったいない気もしたが、“BRAKE THE BORDER”でこういう対戦カードになった」と理由を述べた。ブレックスアリーナ宇都宮で開催された東地区と西地区の1位クラブ同士の対戦は、第1戦が栃木、第2戦が三河がモノにした。第2戦の15分後に行われた5分ハーフの第3戦は終盤に栃木が逆転してファイナルに進出する劇的な試合だった。

 

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(写真:賛否もあった地区分けについて、大河チェアマンは「勝負はやってみなければわからない」と見ている)

 会見にはチームを代表して栃木の遠藤祐亮、三河の比江島慎が登壇した。遠藤が「CSセミファイナルで激しい戦いをした相手だったのですごく楽しみです。初代チャンピオンシップのプライドを持って戦いたい」と口にすれば、比江島が「悔しい負け方をした。挑戦者として臨みたい」と語った。

 

 リーグ最強の守備を誇るのが栃木。16-17シーズンの1試合平均は69.8失点だった。ベストディフェンダー賞を受賞した遠藤は、堅守の象徴と言ってもいい。個人としても「ディフェンスに注目してほしい」と言う守備のスペシャリストは、マッチアップが予想される比江島に対して「日本一のスコアラーだと思うので、チームで0点に抑えられるように頑張りたい」と完封を予告する。

 

 リベンジに燃える三河のエースも黙ってはいない。「遠藤さんに今年はベストディフェンダー賞を取らせないぐらい得点をいっぱい決めて勝ちたい」と応戦。比江島は「栃木はディフェンスで勝ってきたチーム。そのディフェンスをかき乱せるように開幕戦ではもっと崩すプレー、ドライブを仕掛けていきたい」と意気込んでいる。鉄壁の守備を突き破り、王座を奪いに行く。

 

 決戦の地は栃木のブレックスアリーナ。栃木のブースターが醸し出す独特の雰囲気に飲まれる者も少なくない。「ホームで開幕戦を迎えられるのは、ブレックスファンが一番熱いのでうれしい」と遠藤。栃木はチーム力も武器のひとつ。ブースターの“後押し”を背に三河を返り討ちにするつもりだ。

 

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(写真:「まだまだコートの中では若い選手に負けないという気持ちでプレーしている」と五十嵐<左>)

 B2から昇格したばかりの島根は初のB1に挑む。プロ2年目の岡本飛竜も「世代交代」を宣言する。「島根がB1の常勝チームを倒していく」とジャイアントキリングを誓った。岡本自身も身長170cmと小柄なガードである。「切り裂いてかき回していきたい」とB1に島根旋風を巻き起こせるか。

 

「世代交代」を謳う島根の対戦相手は新潟。クラブを代表して登場したのは、日本バスケ界の顔である五十嵐圭だ。「新潟は日本で一番はじめにできたプロバスケットボールチーム。みんながそのプライドを持って戦っている」。島根にとってB1最初の壁となる。

 

 初年度の開幕戦、アルバルク東京vs.琉球ゴールデンキングスは9000人を超える観衆を集めた。2つのリーグが統一され、生まれ変わった新リーグに対する期待感もあったのだろう。年間観客動員はB1・B2合計で226万人を超えた。しかし、今回は開幕戦と銘打って行う“顔見世興行”はない。真価が問われるシーズンとなる。“2年目の壁”をぶち破るための仕掛けがリーグ、そして各クラブに求められる。

 

(文/杉浦泰介、写真/交告承已)