ニューヨーク・ヤンキースの黒田博樹が9日、敵地でのクリーブランド・インディアンス戦に先発し、6回途中3失点で今季初勝利(1勝1敗)をあげた。黒田は立ち上がりに3点を失ったものの、以降は踏ん張って無失点に抑え、打線の援護を得て白星を手にした。ヤンキースはイチローが今季初のマルチヒットを記録するなど、13安打で11得点を奪い、11−6で今季初の連勝を収めた。
 粘りの投球が実った。
 立ち上がりは微妙な制球が定まらず、苦しんだ。先頭打者を四球で歩かせると、次打者の当たりが二塁ベースに当たってヒットになる不運も重なる。犠飛2つと、一塁手のグラブをはじく内野安打で3失点。完璧に打たれたわけではなかったが、イヤな点の取られ方だった。

 だが、ここから立ち直るのがベテランのテクニックだ。2回を三者凡退で封じると、3回は3番のジェーソン・キプニスに二塁打を浴びながら、中軸の打者に対してボールを低めに集め、連打を許さない。無死二塁のピンチを無失点で切り抜け、ペースを掴んだ。

 5日前の今季初登板ではアクシデントに見舞われた。初回に1点を失い、2回は先頭のシェーン・ビクトリノのピッチャー返しが伸ばした右の中指をかすめた。この影響で制球が定まらなくなり、2回途中での降板を余儀なくされる。ただでさえ、ヤンキースは主力が相次いで故障中。黒田もケガで離脱すれば、チームはさらなる窮地に追い込まれるところだった。

 しかし、背番号18はローテーションを崩さず、中4日で先発のマウンドに立った。内容はともかく、111球を投げ、先発としての役割を果たした点に意義がある。頼れる右腕の力投で、ヤンキースは前日に投げたCCサバシアに続き、先発の柱に2日連続で白星がついた。

 一時は打率が1割を切っていたイチローも第3打席にタイムリーを放ち、4打数2安打とエンジンがかかってきた。3勝4敗と出だしでつまづいたヤンキースには一筋の光が差し込む1勝になったはずだ。