明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017第2戦、鹿島アントラーズ対セビージャが22日、カシマスタジアムで行われ、2-0で鹿島が勝利を収めた。試合は後半途中から出場したFW鈴木優磨が27分に先制ゴールを決めた。試合終了間際にも鈴木が左CKからヘディングで追加点を奪い、逃げ切った。

 

 18歳の安部が先制点を好アシスト(カシマスタジアム)

鹿島アントラーズ 2-0 セビージャ

【得点】

[鹿] 鈴木優磨(72分、90+1分)

 

 鹿島が世界2位の意地を見せた試合だった。序盤からスペインの強豪・セビージャにボールを支配された。それでも鹿島らしくしぶとく戦い続けて勝利をもぎ取った。

 

 鹿島はMFガンソを中心とするセビージャのボールポゼッションに苦しむ。ダブルボランチの三竿健斗、レオ・シルバとセンターバックの昌子源、植田直通が中央を締めたが、ボールを奪った後のプレーにミスが生じ、攻撃に転じることができなかった。

 

 24分、最初のピンチを迎える。ペナルティーエリア手前でMFホアキン・コレアに左サイドへ展開された。このパスを受け取ったDFセバスティアン・コルシアが右足で合わせる。シュートはGK曽ケ端準が右手で弾くが、こぼれ球にFWルイス・ムリエルが反応。ダイレクトでシュートを打たれたものの、鹿島の守護神が連続セーブ。ベテランGKの鋭い読みが鹿島を救った。

 

 36分にも鹿島は肝を冷やす。ガンソの縦パスをムリエルがコレアに落とし、曽ケ端と1対1のピンチを迎えた。しかし、コレアの左足のシュートは左に外れた。これは曽ケ端が必要以上に動かずにシュートコースを消したことが大きく作用した。守護神の活躍で鹿島はなんとか無失点で試合を折り返す。

 

 苦しい時間帯を我慢すると、徐々に鹿島がペースを掴んだ。その立役者は後半17分に投入されたFW安部裕葵と鈴木の若手コンビだった。24分、ペナルティーエリア手前でボールを受けた鈴木が右サイドを駆け上がる安部にスルーパスを供給した。相手GKとの1対1のチャンスに安部は右足でニアサイドを狙った。しかし、惜しくもシュートはGKにセーブされた。「あれは決めないといけなかった」と安部は唇を噛んだが、ウォーミングアップはこれで十分だった。

 

 18歳のルーキー・安部が魅せたのは27分だった。敵陣中央付近でパスを受けた安部はトラップで1人をかわしスピードに乗る。そのままの勢いでもう1人もかわす。フォローに入ったコルシアをダブルタッチで置き去りにして、ゴール前に侵入。GKをドリブルで引き付けると、ゴール前に猛ダッシュで駆け込んだ鈴木へラストパスを送った。鈴木は左足で無人のゴールに流し込み、鹿島が先制に成功した。

 

 こうなると試合巧者の鹿島らしさが際立つ。苛立つセビージャイレブンをいなしながら、時計の針を進めていった。アディショナルタイムには左CKから鈴木が頭で合わせて、2-0。追いすがるスペインの強豪を振り切った。

 

 貴重な先制点をアシストした安部は、こう手応えを語った。

「自分の長所のドリブルや運動量を見せることができてよかった。(アシストの場面は)冷静に横が見えていた。ああいうプレーは自分の得意なプレー。(セビージャにも)通用するんだと自信になりました」

 

 瀬戸内高校から今季入団した高卒ルーキー。ここまでリーグ戦は2試合のみの出場だったが、ワールドチャレンジで自らの長所をアピールした。2得点を挙げた鈴木ではなく安部がマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたことからもわかるようにインパクトは絶大だった。

 

 スペインの強豪を相手にひるむことなく果敢に仕掛けた安部の勇気とテクニックが、今回の勝利を手繰り寄せたと言っても過言ではない。将来性豊かな若者の今後の活躍に、期待したい。

 

(文/大木雄貴)