西勇輝(車いす陸上)&古郡宏隆(野村不動産パートナーズ取締役兼執行役員)第1回「応援の熱を感じた初の世界選手権」

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1708ch 3年後に迫っている東京パラリンピックに向け、奮闘している若きパラアスリートがいる。車いす陸上日本代表の西勇輝選手だ。今年7月の世界選手権に出場し、200メートルで8位入賞を果たしたホープである。昨年4月、西選手は野村不動産パートナーズに一般入社した。同社がアスリートを社員として雇用したのは初めてのこと。アスリートと企業の関わり方について、西選手と古郡宏隆取締役兼執行役員に訊いた。

 

伊藤数子: 今回のゲストは先月の世界選手権に出場された車いす陸上日本代表の西勇輝選手、西選手の所属する野村不動産パートナーズの古郡宏隆取締役兼執行役員です。古郡さんは人事部、人材開発研修部担当も務めています。西選手の入社以来、彼を社会人・企業人として指導しています。

 

二宮清純: 世界選手権ではT54クラスで100メートル、200メートル、400メートル、4×400メートルリレーの4種目に出場しました。200メートルでファイナルに進出し、8位入賞。ご自身では結果に満足していますか?

西勇輝: 200メートルでは決勝に残れて、一定の結果は残せたかなと思います。ただ100メートルで決勝に残るのが一番の目標でした。予選敗退により、数時間後の決勝はスタンドで観戦しました。決勝は予選の時とはまったく違った雰囲気で、観客の数も違いました。その雰囲気を選手として味わえなかったことへの悔しさが一番強く残っています。

 

伊藤: 西選手にとって世界選手権の出場は今回が初めてですね。会場となったクイーン・エリザベス・オリンピック・パークはロンドンオリンピック・パラリンピックでも使用されたスタジアムです。

西: そうですね。これだけ多くの観客数は経験したことのないものでした。そこで力を発揮できなかったことは自分の弱さが出てしまったのかなと思っています。

 

二宮: 一番ご自身が感じられた世界との差は?

西: メンタルの弱さです。100メートルでは、スタート前のコールルームへ行った時に、僕の予選同組には世界ランキング1位、3位、5位の選手がいました。映像でしか観たことのないような世界トップの選手たちと一緒に走れることになったので、”わぁこの選手がいる。あの選手もいる”という一ファンとしての気持ちが出てきてしまったんです。

 

古郡宏隆: おのぼりさん状態だったんだな(笑)。

西: そうですね(笑)。その状態でトラックに入場してしまいました。さらに、トラックに入った時にも”こんなにお客さんがいるんだ”と、その数にびっくりしてしまった。スタジアムの雰囲気にのまれていましたね。

 

伊藤: 日本代表選手からも「顔が白いぞ」と言われたそうですね。

西: 僕と同じT54クラスの日本代表・樋口政幸選手をはじめ、ほとんどの選手に言われましたね。

 

二宮: 相当、緊張されていたのでしょう?

西: はい。大会が始まる前にロンドン入りしたのですが、その時から体調も良くありませんでした。思えば、その時から緊張しすぎていたのかなと。本当にメンタルの弱さを痛感しました。

 

二宮: 現地には野村不動産パートナーズからも応援に行かれたそうですね。

古郡: 私も彼のおかげでロンドンに連れて行ってもらえました(笑)。大会初日の100メートルを、会社のネーム入りシャツを身に付けて応援しました。腱鞘炎になるぐらい一生懸命日の丸を振っていましたね(笑)。

 

二宮: それは西選手もわかりましたか?

西: そうですね。スタートする前にトラックを一周グルッと漕いだのですが、スタンドの中でもオレンジ色のシャツを着た自分の会社の応援は目立っていて、よく見えました。こうやって現地まで応援に来てもらえることは、本当にありがたかったです。他の日本代表選手にはあまりないことなので、とても羨ましがられました。入社するまでは、誰かに試合の応援に来てもらうなんてなかったため、責任感というのが湧いてくるのが自分でもわかるんです。結果を出さなきゃって。だから、この応援を無駄にできないと感じながらレースに臨みました。

 

(第2回につづく)

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1708chPF1西勇輝(にし・ゆうき)プロフィール>

1994年2月14日、東京都生まれ。先天性の二分脊椎症。車いす陸上のT54クラス。小学5年で、車いす陸上と車いすバスケットボールを始める。しばらくは並行して競技を続けていたが陸上一本に絞った。2013年アジアユースパラゲームズでは日本選手団主将を務め、100メートル、200メートル、400メートルの3種目で金メダルを獲得。2016年アジアオセアニア選手権では、400メートルで優勝した。今年7月の世界選手権に出場し、200メートルでは8位入賞を果たした。好きなスポーツは野球。幼少期からの巨人ファンである。身長158センチ、体重58キロ。野村不動産パートナーズ株式会社所属。

 

1708chPF2古郡宏隆(ふるごおり・ひろたか)プロフィール>

2014年4月より野村不動産パートナーズ株式会社の取締役兼執行役員に就任。人事部、人材開発研修部担当を務め、人材の育成にも携わる。西勇輝選手が2016年4月に入社して以来、社会人として指導している。

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NPO法人STAND代表の伊藤数子さんと二宮清純が探る新たなスポーツの地平線にご期待ください。

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