2005年の創設から8年目を迎えたbjリーグ(日本プロバスケットボールリーグ)。この日本初のプロバスケットボールリーグ創設の中心人物が河内敏光コミッショナーだ。参加クラブ数は初年度の6から21に増えた。黒字を計上するクラブも半数にまで増えているという。これまでの10年、またこれからの10年に向けてさらなる飛躍を目指すリーグと日本バスケットに、二宮清純が迫った。
二宮: 日本の男子バスケットは7大会連続でオリンピックに出場できていません。この要因はどこにあるのでしょうか。
河内: 残念なことですが、世界に目が向いていない結果のあらわれだと思います。要するに、日本のリーグの中だけでの勝ち負けを意識し、選手が世界と戦うための練習をしていないんです。近年、日本代表がアジアの国々と国際試合を行うと「あのぶつかり合いは日本だとファウルをとってくれる。ファウルをとってくれないから負けた」という選手の声をよく聞きます。

二宮: つまり日本という狭い枠組みのなかにしか目が向いてないと。その意味で、bjリーグはJBLに比べて同時出場できる外国籍枠が多い。選手に世界を意識させる上で非常にいい環境といえます。
河内: そうですね。その効果もあって、現在は日本人選手のレベルも上がってきました。ですから、今季から第1、第3クォーターは外国籍選手は2人、第2、第4クォーターは3人というルールに変えました(※昨季までの外国籍選手の出場制限は第2クォーターが2人、それ以外は3人)。

二宮: 日本人選手にもチャンスを与えるということですね。
河内: それだけ才能ある選手たちが集まってきているので、試合を経験させてあげたいんです。若い才能をbjリーグで育成し、その選手たちが海外にチャレンジしていってくれることが私たちの一番の望みですし、ひいては日本バスケット界のレベルアップにもつながるはずです。

二宮: 今後、bjリーグが目指していく方向性について聞かせてください。
河内: bjリーグはローカルとグローバルの両方の視点に立った“グローカル”を理念の一つとして掲げています。“地域から世界に”という視点ですね。毎年、NBAのオールスターゲームを観戦しに行くと、アメリカの大学のヘッドコーチから「いくら日本人でよい選手がいても英語が話せなくてはアメリカで成功するのは、なかなか難しい。英語を話せるようにしてくれたらいつでもチームに迎え入れる準備はある」と言われるんです。

二宮: それで08年に世界で活躍する選手を育成するための「bjリーグアカデミー」を立ち上げたんですね。
河内: そうです。今後このアカデミーを全国的に増やしていくなかで、技術とともに英語力も強化していきたいと考えています。そして、今まで遠い星のようにしか見られなかったNBAやヨーロッパの舞台を、線でつなげていける仕組みをつくりたい。次の10年でそうした構想を明確に打ち出して、日本バスケット界をさらに発展させていきたいと思います。

<5月1日発売の『第三文明』2013年6月号では、さらに詳しいインタビューが掲載されています。こちらもぜひご覧ください>