いよいよ15日(現地時間)から「FIFAコンフェデレーションズカップ ブラジル 2013」が始まる。出場国はグループAにブラジル(FIFAランク22位、開催国)、日本(同32位、アジア代表)、イタリア(同8位、欧州代表)、メキシコ(同17位、北中米・カリブ海代表)。グループBにスペイン(同1位、10年W杯優勝国)、ウルグアイ(同19位、南米代表)、ナイジェリア(同31位、アフリカ代表)、タヒチ(同138位、オセアニア代表)が入った。各組2位までが決勝トーナメントに進出する。果たして、来年のW杯に向けた前哨戦を制するのはどのチームか。日本が所属するグループAを中心に大会を展望する。
 日本の入ったグループAは強豪揃いとなった。その本命は開催国・ブラジル(FIFAランク22位)だ。7大会連続7度目の出場となった王国は、ホーム開催で大会3連覇を狙う。

 ブラジルの特徴は各選手の高い個人技から繰り出す多彩な攻撃だ。パスワークからの崩しあり、カウンターあり、個人での突破あり……。「なんでもできる」のがブラジルである。その中心選手はネイマールだ。王国の10番を背負う21歳は、スタミナ、スピード、テクニックともに世界トップクラス。得点感覚にも優れ、対戦相手に脅威を与え続ける。彼を抑え込めるDFは世界にもそういないだろう。5月にはサントスから憧れのバルセロナに移籍を果たし、モチベーションも高い。
 守備面では直近の親善試合で連係不足から失点を喫する場面があった。DFラインにはチアゴ・シウバ、ダビド・ルイス、マルセロ、ダニエウ・アウベスら個人能力は世界屈指ともいえる選手が揃っているだけに、それをどのようにして強固な組織として機能させるかがポイントだ。

 そんな王国の対抗馬はイタリアだろう。伝統のカテナチオからの脱却を推し進めるチェーザレ・プランデッリ監督の下、ポゼッションと速攻が高次元で融合したサッカーになりつつある。
 2トップはFWマリオ・バロテッリとFWステファン・エル・シャーラウィというともに90年代生まれの若手が務める。バロテッリは強靭なフィジカルでゴールに突き進み、エル・シャーラウィは一瞬のスピードと巧みなシュート技術でゴールを陥れる。彼らを34歳の“レジスタ”MFアンドレア・ピルロがどうコントロールするかにも注目だ。

 メキシコは国内組と海外組が高いレベルで融合している。海外組ではロンドン五輪金メダルメンバーのMFハビエル・アキーノ、MFジオバニ・ドス・サントス、マンチェスター・ユナイテッド所属のFWハビエル・エルナンデスら有望な若手を招集。国内組からはDFフランシスコ・ロドリゲスやDFカルロス・サルシードら経験豊富なベテランを選出した。
 W杯北中米・カリブ海予選では1勝4分け(うち3つがスコアレスドロー)と苦戦しているが、持ち前のサイド攻撃が機能すれば決勝トーナメント進出も見えてくる。

 日本はこれらの強豪に挑まなければならない。ただ、コンフェデ杯はあくまでもW杯の前哨戦だ。必ずしも目先の勝利にこだわる必要はない。重要なのは、世界の強豪相手に現在の実力がどこまで通用するかを確認することだ。大一番は初戦のブラジル戦。昨年の欧州遠征では攻守ともに後手にまわり、0−4の完敗を喫した。今回はリスクを覚悟して積極的な攻撃を見せられるか。
 軸にはなるのはMF本田圭佑だ。4日のオーストラリア戦では抜群のキープ力を生かして攻撃を牽引。彼にボールを収めることでタメができ、MF香川真司やDF長友佑都らが裏へ抜け出す場面が多かった。コンフェデ杯でも、本田にボールを集め、周囲の選手が連動して攻めるかたちが有効になる。また個々の選手が時には強引に仕掛けるプレーができるかにも注目したい。
 守備面では残念ながら個々の力で列強の相手を抑えられるケースは少ないだろう。日本としては、選手間の距離をコンパクトに保ち、常に数的優位な状況をつくりだしたい。苦手のセットプレーを与えないために、ラインを高く設定できるかもポイントになる。グループリーグを突破できれば、優勝候補の世界王者・スペインと対戦するチャンスが出てくる。日本にとっては対アジアから対世界へとシフトチェンジするきっかけに絶好の機会だ。

 グループBはスペインが頭ひとつ抜け出た存在だ。MFアンドレス・イニエスタ、MFシャビ・エルナンデスらが織り成すパスサッカーはもはや芸術。小気味いいリズムでパスをつなぎ、相手の守備組織が崩れたところに決定的なパスを通す。受けるアタッカー陣の決定力も高い。コンフェデ杯はスペインらしさを出せるかが大会初制覇の鍵を握る。
 守備面ではGKイケル・カシージャスを中心に堅守を築く。センターバックのセルヒオ・ラモスとジェラール・ピケは空中戦に強く、セットプレーでは得点源にもなる。各ポジションのバックアッパーも充実している。大会初制覇を目指すスペインに穴らしい穴は見当たらない。

 対抗馬となり得るのは南米王者・ウルグアイか。堅守速攻でFWエディソン・カバーニ(今季セリエA得点王)、FWルイス・スアレス(今季プレミアリーグ23得点)の強力2トップにいかにボールをつなげられるかがポイントになる。アフリカ王者・ナイジェリアは高い身体能力と個人技が合わさった破壊力抜群の攻撃が魅力。ただ、組織力が低い守備面に脆さが垣間見える。守護神GKヴィンセント・エニェアマを中心に一枚岩の守備組織を築きたい。初出場のタヒチの実力は正直、未知数だ。国際大会の出場経験は09年のU−20W杯のみ。唯一の海外組であるFWマラマ・ヴァイリュアを軸に、サプライズを起こせるか。