二宮清純: 今回のゲストはボクシング元世界チャンピオンの長谷川穂積さんです。WBCバンタム級王座を10度防衛。ただ強いだけでなく華のあるボクサーで、絶妙な距離感でパンチを打ち合うファイトスタイルで多くのファンを魅了しました。昨年9月に3階級制覇を達成し、12月には17年に及ぶ現役生活にピリオドを打ちました。大変お疲れ様でした。まずは、雲海酒造の本格芋焼酎『木挽BLUE(ブルー)』をロックで乾杯しましょう。

長谷川穂積: いただきます。とてもすっきりしていますね。おいしいです。

 

 

 

二宮: 本日は穂積さんがオーナーを務める本格タイ料理店『KruaThai』(クルアタイ)で酒をくみかわしています。引退してからはテレビなどにも出られてお忙しそうですね。

長谷川: おかげさまで。初めてなことばかりですが、楽しくやらせてもらっています。今はラジオもレギュラーを持っています。この秋からは東京医療学院大の特任講師もやらせてもらっています。

 

二宮: リングに上がるのはもちろん大変なことですが、人前でいろいろと話すのも大変でしょう?

長谷川: めっちゃ大変ですが、いろいろな人に助けてもらっています。

 

 月1回の“奥様孝行”

 

二宮: まずはお酒にまつわるエピソードからお伺いします。

長谷川: 現役時代はあまり飲みませんでしたが、やはり試合に勝って、家族と飲む酒が一番おいしいです。

 

二宮: それは格別でしょうね。

長谷川: そうですね。あとは引退をしたことで、現役時代よりも飲むようになりました。これまでは僕があまり飲まないから、どこかに飲みに出ることも少なかったんです。ご飯を食べに行くにしても、僕が車を運転していたので飲む機会がなかった。それに付き合うように嫁さんも飲まなかったんです。今は一緒に飲むことが増え、これはもう“第2の人生”かなと(笑)。

 

二宮: 食事の席で飲むのでしょうか?

長谷川: 引退してからは電車で出かけることが増えましたね。嫁さんも1人だったら飲まないけど、一緒やったら飲むんですよ。だから今は酔っぱらって楽しくなって帰るのがパターンです。

 

二宮: 楽しいお酒に夫婦の会話も弾みますよね。

長谷川: そうなんです。あとは家族で野球観戦に時々行くのですが、嫁さんと僕は一緒に球場でうまいもの食べながらお酒を飲んで楽しんでいます。子どもたちは野球が好きなので、家族で野球を観に行くのが楽しくなってくるんですよ。

 

二宮: 今度は家族団らんの時に本格芋焼酎『木挽BLUE』をどうぞ。お土産もあります。

長谷川: ありがとうございます! 嫁さんの泰子はめっちゃ飲むので喜びます。実は月に1回「泰子会」をやっていまして、僕の仲良い人たちで嫁さんを接待しているんです。次回はこの『木挽BLUE』を飲ませてもらいますね。

 

二宮: アハハハ。これまでご苦労をかけたから?

長谷川: そうですね。「泰子会」の時は3時ぐらいまで飲んだりもします。こないだはタイ料理、焼肉屋に行って、またタイ料理で締めました。ご飯屋さんをはしごするんです。1軒で終わらない。ちょっと食べて、違う店へ行く。いろいろなところでちょっとずつ食事をして、嫁さんはお酒を飲ます。月1回の奥様孝行です。

 

二宮: さて、引退試合となった9月のWBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチはチャンピオンのウーゴ・ルイス選手との壮絶な戦いでした。結果は5年5カ月ぶりにベルトを奪還。穂積さんは、この試合で勝っても負けても辞めようと決めていたのでしょうか?

長谷川: 負けたら辞める。勝ってもやるかどうかは、その時の自分と対話しようと思っていました。まずは気持ちを整理してから試合に臨みました。

 

二宮: 5年以上もベルトを持っていない時間と向き合えた。ここが穂積さんのスゴイところです。

長谷川: 最後にいい試合で終われて良かったですよ。今、ちょっとチャンピオンで終わるというのはブームでもあります。チャンピオンになって辞めたいという人も出てきているらしいですね。

 

二宮: 穂積さんの場合はチャンピオンベルトを取り戻して辞めるというカッコいい終わり方ですね。

長谷川: また僕の場合はベルトがWBCというのが良かったです。WBCが一番好きな団体で、伝統がありますのでボクシングと言えば僕はWBCをイメージします。

 

 後悔はひとつもない

 

二宮: では映像を観ながら、試合を振り返ってみましょう。それにしてもすごい打ち合いでした。特に勝負の決まった9ラウンドの攻防は今見ても感動的です。

長谷川: 聞いた話によると、この会場の全員と言っても過言ではないぐらいのお客さんが泣いたらしいです。皆が知らない人と抱き合っていたと言っていました。自分自身でもこれ以上の試合はなかなかできないなと思います。

 

二宮: 穂積さんは観る人の心を打つ試合が多いですね。穂積さんのラッシュは迫力があります。

長谷川: 自分の人生に重ねて見ている人が多かったんじゃないかなと思うんです。だから皆が感情を入れて応援してくれていた気がします。僕自身もこれだけの試合をして、これ以上感動できることはなかなかありませんから。

 

二宮: 相手も向かってきていますね。打ち合いの際に効いたパンチもあったんじゃないでしょうか?

長谷川: 僕は全然効かなかったですね。

 

二宮: 勝利が決まった時はどんな気持ちでしたか?

長谷川: やっと自分のいるべき場所に帰ってこれた。やっと長いこと預けていたものが返ってという感じでした。ただボクシングは殴り合いだけど、スポーツだと思っているんです。対戦相手への敬意だけは忘れないでおこうと思っていました。だからウーゴ・ルイスにはリング上で感謝の気持ちを述べたんです。僕がこういう思いができて人を感動させることができたのも彼がいたからです。1人では試合はできないので、1人で自分の記録を達成しましたではない。常に僕は対戦相手のことを考えていました。

 

二宮: 試合後には息子さんにリング上で抱きかかえられていましたね。これも忘れられない名場面です。

長谷川: 僕ぐらいじゃないですかね。自分の子どもをリング上で抱っこしていたのが、最後には逆に抱っこされたというチャンピオンは。息子に夢を叶えてもらいましたね。

 

二宮: やはり穂積さんはWBCの緑のベルトが似合いますよね。

長谷川: 映像を観ていたらまたやりたくなってきますけどね。

 

二宮: ボクシングは1回やったら忘れられないものですか?

長谷川: ええ。ボクシングほどの情熱を感じるものや感動をするものはないですから。

 

二宮: それでは次の目的を探そうと思ってもなかなか見つからないでしょうね。

長谷川: だから大学の特別講師をさせてもらうのも僕のチャレンジのひとつです。自分のプラスになればいいかなと。ラジオのレギュラーもそうです。この店もやってみて初めて従業員の気持ちや、店を仕切るということはこういうことなんやといっぱい勉強になりました。僕は人生日々、勉強だと思っているので。今のところ、“やらんかったらよかったな”と思うことはひとつもない。ボクシングについても僕は“ああしたらよかった”“こうしたらよかった”という後悔はひとつもないです。

 

 次のスーパースターは?

 

二宮: 現在、日本ボクシングコミッションが認定している世界王座は4団体(WBC、WBA、IBF、WBO)もありますから、誰がどこの王者か一般の人にはわかりにくいですよね。統一戦をもっとやればいいと思うんですが……。

長谷川: そうですね。例えば同じ階級で日本人王者がいた場合、統一戦を義務付けるなどルールをつくった方がいいと思います。

 

二宮: 穂積さんが現役日本人世界王者ですごいと思うボクサーはいますか?

長谷川: WBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥選手とWBO世界ライトフライ級王者の田中恒成選手ですね。

 

二宮: 井上選手は名だたる元世界王者たちがその実力を認める“怪物”です。穂積さんの目から見て、どのあたりが飛び抜けていますか?

長谷川: 井上選手の場合は全部がすごいですね。トレーニングしてもやれることは全部やっている印象がありますね。

 

二宮: 一方の田中選手はプロ5戦目で世界王座を奪取し、8戦目で2階級制覇を成し遂げたエリートです。

長谷川: 田中選手のパンチ力はそこまで強くないのですが、彼の場合は賢さです。あの若さでボクシングIQがめっちゃ高い。先日、一緒にボクシング中継の解説を担当したのですが、彼の話す言葉を聞いていても“すごいな”と感心しました。

 

二宮: (グラスを飲み干すと、氷がカランと音を立てる)ここで第1ラウンド終了のゴングです。それでは次のラウンドは本格芋焼酎『木挽BLUE』を水割りでいただきましょう。

長谷川: これは楽しみですね。飲み過ぎてKOされないように気をつけたいと思います。

 

(後編につづく)

 

長谷川穂積(はせがわ・ほずみ)プロフィール>

1980年12月16日、兵庫県生まれ。99年11月にプロデビュー。2003年5月にOPBF東洋太平洋バンタム級王座を獲得し、3度の防衛に成功した。05年4月には14度の防衛を誇ったウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)を破り、WBC世界バンタム級王座を奪取した。その後、5年間で10度の防衛を果たした。10年にフェザー級に転向。同年11月のWBC同級王座決定戦でフアン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)に判定勝ちを収め、2階級制覇を達成した。16年9月にはWBC世界スーパーバンタム級王者のウーゴ・ルイス(メキシコ)に挑戦。劇的な熱戦を制し、3階級制覇を成し遂げた。同年12月に現役を引退。プロ通算戦績は41戦35勝(15KO)5敗。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回、長谷川さんと楽しんだお酒は芋焼酎「木挽BLUE(ブルー)」。宮崎の海 日向灘から採取した、雲海酒造独自の酵母【日向灘黒潮酵母】を使用し、宮崎・綾の日本有数の照葉樹林が生み出す清らかな水と南九州産の厳選された芋(黄金千貫)を原料に、綾蔵の熟練の蔵人達が丹精込めて造り上げました。芋焼酎なのにすっきりとしていて、ロックでも飲みやすい、爽やかな口当たりの本格芋焼酎です。

 

提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>

『KruaThai』(クルアタイ)

兵庫県神戸市中央区中山手通1-26-10 サンライズ中山手1F
TEL:078-241-8787
営業時間:月、水~日・祝日

     ランチ 11:30~14:30(L.O.14:00)
     ディナー 17:30~23:00(L.O.22:00)

定休日:火曜日

 

☆プレゼント☆

 長谷川さんの直筆サイン色紙を芋焼酎「木挽BLUE」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらのメールフォームより、本文の最初に「長谷川穂積さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、郵便番号、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)を明記し、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は11月9日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、長谷川穂積さんと楽しんだお酒の名前は?

 

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

 

(写真・構成/杉浦泰介)


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