(写真:「各自で席を勝ち取らないといけない」と語ったハリルホジッチ監督)

 31日、日本サッカー協会は11月5日(現地時間)からスタートするヨーロッパ遠征の日本代表メンバー25人を発表した。MF長澤和輝(浦和レッズ)が初招集された他、ベルギーリーグで6得点と好調なMF森岡亮太(ワースランド・ベフェレン)が2014年以来、約3年ぶりの復帰となった。FW本田圭佑(パチューカ)、FW岡崎慎司(レスター)、MF香川真司(ドルトムント)は今回のメンバーから外れた。日本代表(FIFAランキング44位)は現地時間11月10日にブラジル代表(同2位)と、14日にベルギー代表(同5位)と親善試合を行なう。

 

 このヨーロッパ遠征は6大会連続6度目のW杯出場を決めた日本代表にとって、ニュージーランド、ハイチ戦に続いての強化プランとなる。現体制発足以来、初となる屈指の強豪国との対戦を前に日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「可能性を探る」と語り、こう続けた。

 

「ツーリストで行くわけじゃない。勇気をもって戦い、相手を驚かせたい。10回で1回しか勝てないかもしれないが、そういう1回にしたい。何も失うものはない。簡単な試合ではないが、アグレッシブさを持って大きな仕事を成し遂げたい」

 

 強豪を相手に「勝ちにいく」という指揮官が、期待をこめて選んだのが初代表の長澤だ。専修大学サッカー部から2013年12月にブンデスリーガのケルンへ入団。海外で揉まれ15年の12月に浦和に完全移籍すると、その年にジェフユナイテッド千葉にレンタル移籍。1年間の武者修行を経て今季から浦和に復帰。浦和レッズの監督が堀孝史に代わってから出場機会を得ている25歳だ。

 

 ハリルホジッチの長澤評はこうだ。

「ここ4、5試合から注目し始めた。それより前は見ていなかった。アジアチャンピオンズリーグでのプレーがいいと思った。攻守に渡り運動量が豊富。守備もこなし攻撃でも何かをもたらすことができる。合宿で様子をみるが、あとは、彼がチャンスを掴むかどうかです」

 

 長澤と同じ中盤にはゲームメーカータイプの森岡も招集された。約3年ぶりの代表復帰だが、ハリルホジッチ体制になってからは初招集である。指揮官は「最後のパス、得点などオフェンスで評価できる」と口にしつつも、「伸ばす面は守備、デュエルのところ」と課題をあげた。強豪国が相手のゲームでは守備に追われる時間帯が長くなる。オフェンス面が武器の森岡にとって、出場機会が得られるかは合宿でのアピール次第となりそうだ。

 

 また、本田、岡崎、香川の“ビッグ3”を招集しなかったことについては「前回の合宿であまり評価していない。これが競争」と厳しい表情で語った。

 

 ブラジルにはFWネイマール、FWガブリエル・ジェズス、ベルギーにはFWエデン・アザール、FWロメロ・ルカクら強力アタッカー陣がいる。世界レベルの相手に今まで培ってきた守備を固め、タテに速いサッカーがどこまで通用するのか。ハリルジャパンの行方を占う試金石となる。

 

【日本代表メンバー】

GK

川島永嗣(FCメス)

東口順昭(ガンバ大阪)

西川周作(浦和レッズ)

DF

長友佑都(インテル・ミラノ)

槙野智章(浦和レッズ)

吉田麻也(サウサンプトン)

酒井宏樹(マルセイユ)

酒井高徳(ハンブルガーSV)

車屋紳太郎(川崎フロンターレ)

昌子源(鹿島アントラーズ)

三浦弦太(ガンバ大阪)

MF

長谷部誠(フランクフルト)

倉田秋(ガンバ大阪)

山口蛍(セレッソ大阪)

森岡亮太(ワースランド・ベフェレン)

長澤和輝(浦和レッズ)

遠藤航(浦和レッズ)

井手口陽介(ガンバ大阪)

FW

興梠慎三(浦和レッズ)

乾貴士(エイバル)

大迫勇也(ケルン)

原口元気(ヘルタ)

杉本健勇(セレッソ大阪)

久保裕也(ヘント)

浅野拓磨(シュツットガルト)

 

(文/写真・大木雄貴)