キリンチャレンジカップ2017の2戦目が10日、神奈川・日産スタジアムで行われ、日本代表(FIFAランキング40位)はハイチ代表(同48位)に3対3で引き分けた。試合は前半7分、MF倉田秋(ガンバ大阪)の2試合連続ゴールとなるヘディングシュートで先制。27分にはFW杉本健勇(セレッソ大阪)のA代表初ゴールで追加点を奪った。しかし、28分にMFケビン・ラフランスに1点を返された。後半に入ると8分、33分にFWデュカン・ナゾンに立て続けにゴールを許した。逆転を許した日本だが、終了間際のMF香川真司(ドルトムント)の得点で引き分けに持ち込んだ。

 

 杉本、初スタメンで初ゴール(日産スタジアム)

日本代表 3-3 ハイチ代表

【得点】

[日] 倉田秋(7分)、杉本健勇(17分)、香川真司(90+2分)

[ハ] ケビン・ラフランス(28分)、デュカン・ナゾン(53分、78分)

 

 日本代表の指揮官ヴァイッド・ハリルホジッチは予告通り、6日のニュージーランド戦から先発を9人入れ替えてきた。中盤のアンカーにMF遠藤航(浦和レッズ)、インサイドハーフにはMF小林祐希(ヘーレンフェーン)と倉田を起用した4-3-3システムを採用。1トップにはJリーグで16得点と好調な杉本を初めてスタメンで起用した。

 

 前半7分、いきなり試合は動いた。杉本がペナルティーエリア手前でボールを持つと左サイドをオーバーラップするDF長友佑都(インテル・ミラノ)へスルーパス。このボールに追いついた長友が左足でクロスを上げると、ニアサイドに走り込んだ倉田が頭で合わせた。ボールは相手GKの頭上を越えてゴール右に吸い込まれた。倉田の2戦連発で日本が先制する。

 

 その10分後には浪速のストライカーが結果を残す。右サイドからFW乾貴士(エイバル)、FW浅野拓磨(シュツットガルト)と繋ぎ、浅野からボールを受けた杉本がペナルティーエリア左に走り込む倉田にラストパスを送った。倉田のシュートは相手GKにセーブされたが、こぼれ球に杉本が反応した。左足を振り抜いたシュートはダフり気味だったものの、相手GKの手が届かないコースへ飛んでゴールネットを揺らした。

 

 得点後に相手にペースを握られた前節のニュージーランド戦。今回も同じ過ちを繰り返した。28分、FWドナルド・ゲリエに日本の左サイドからカットインを許し、ゴール中央へスルーパスを入れられた。これをペナルティーエリア中央に走り込んだラフランスに難なく右足で流し込まれた。日本は1点を返されて試合を折り返す。

 

 後半に入ると、ハイチに一瞬の隙を突かれる。8分、自陣左サイドでFKを与えてしまう。この時小林が腰痛を訴え、プレーが止まった。主審がプレー再開を許可するとハイチはすぐにプレー再開。ショートパスで繋がれ、左サイドをハイチにえぐられる。グラウンダーのクロスを入れられると、ゴール中央にポジションを取るナゾンに右足で難なく流し込まれた。同点に追いつかれた日本は大事な時に集中が切れていた。

 

 33分にも再びナゾンに決められる。アンカーの遠藤が中央からつり出され、自陣ペナルティーエリア手前の中央やや右サイドでナゾンにフリーでボールを持たれ、シュートコースを空けてしまう。慌ててDF昌子源(鹿島アントラーズ)が対応するが、ナゾンに右足でカーブをかけたミドルを放たれた。GK東口順昭(ガンバ大阪)は懸命に手を伸ばすものの、正確にコントロールされたボールはゴール右隅に綺麗に決まってしまった。

 

 このまま逆転負けかと思われた後半アディショナルタイム。香川が意地を見せた。左サイドを抜け出した途中出場のDF車屋紳太郎(川崎フロンターレ)がグラウンダーのクロスを供給。中央で香川が反応するが相手DFともつれて転倒。ボールはファーサイドに流れる。このボールをDF酒井高徳(ハンブルガーSV)が左足で合わせた。このシュートをゴール前で転倒していた香川が反応し、コースを変えてゴールネットを揺らした。土壇場で同点ゴールを奪い、日本は苦戦しつつもドローで試合を終えた。

 

 試合後、ハリルホジッチは怒りを露わにした。

「得点を取った後に、プレーが止まってしまった。私が就任してからこんなに(内容が)悪い試合は見たことがありません。失敗した試合だ。なぜこんなことになったのか、考えないといけない」

 

 代表初ゴールを決めた杉本も反省の言葉ばかりを並べた。

「前半、もっと決められた。反省点が多いです。どんなかたちでも決めるか、決めないかの差は大きい。1点取れてよかったが引き分けで悔しいです」

 

 せっかく先制しながら、得点後に試合をコントロールできない悪癖が出てしまったハリルジャパン。11月にはブラジル代表(FIFAランキング2位)、ベルギー代表(同5位)と欧州遠征での対戦が決まっている。仮に強豪相手に得意の縦に速いサッカーが機能し、先制ゴールを奪えても、このままでは世界レベル相手に勝利できる可能性は低いだろう。たとえ試合のリズムが悪かろうと、耐えながら全体を落ち着かせるコンダクター的存在が必要不可欠だ。

 

(文/大木雄貴)