29日、欧州遠征を行っているなでしこジャパン(日本女子代表、FIFAランク3位)がドイツ女子代表(同2位)と同国・ミュンヘンのアリアンツ・アレーナで対戦し、2−4で敗れた。なでしこは前半17分に先制弾を許したものの、39分、FW大野忍(リヨン)のゴールで追いつき、1−1で試合を折り返した。しかし、後半開始直後、FWオコイノ・ダ・ムバビにPK弾を決められた。15分にFW大儀見優季(ポツダム)のゴールで再び追いついたが、42分、ダ・ムバビに勝ち越し弾を許し、終了間際にも失点した。

 大儀見、1G1Aも実らず(アリアンツ・アレーナ)
ドイツ女子代表 4−2 日本女子代表
【得点】
[ド] レオニエ・マイヤー(17分)、オコイノ・ダ・ムバビ(46分、87分)、シモーネ・ラウデール(90分+1)
[日] 大野忍(39分)、大儀見優季(60分)
「これが本当の実力」
 大野はこう唇を噛んだ。ドイツのパワフルな攻撃に押し込まれる時間が長かった。2度追いつく粘りを見せたものの、最後は力負けした。

 序盤から攻勢を強めてきたドイツに対し、日本はズルズルとDFラインが下げてしまう。すると前半17分、右サイドバックのDFレオニエ・マイヤーにPA手前から左足でミドルシュートを叩き込まれた。日本はPA内に人数をかけていた分、攻め上がってきたマイヤーへのプレスが遅れた。

 日本は前線の大儀見にパスを預けてかたちをつくろうとするが、ドイツの激しい寄せになかなかなかなかボールが収まらない。大野のドリブルなどでサイドからも攻め込むものの、ドイツの体を張った守りになかなかシュートまで持ち込めなかった。

 だが39分、同点に追いつく。演出したのはここまで抑えられていた大儀見だった。ボランチのMF宮間あやからのロングボールをPA内中央で相手DFと競り合いながら胸トラップ。シュートフェイントで切り返してから中央にパスを送り、これを大野が右足で蹴り込んだ。シュートはGKの手を弾いてゴールネットを揺らした。大儀見の体の強さと状況判断の良さが光った。

 追いついた勢いを持ち込みたかった後半だが、開始直後に失点を喫してしまう。左サイドを崩され、MFナディン・ケスラーにドリブルでPA内へ侵入されたところをDF田中明日菜(INAC神戸)がたまらずファール。与えたPKをダ・ムバビにゴール右へ決められた。
 嫌なかたちで勝ち越された日本だが、15分、再び同点に追いつく。宮間がPA手前で得たFKを直接狙ったシュートがゴール右ポストに当たり、跳ね返ったボールを大儀見が右足で押し込んだ。

 その後は一進一退の攻防が続いた。なかなかゴールが生まれない展開にドローの空気がスタジアムに流れ始めた。しかし、42分、日本は勝ち越し点を許す。カウンターから中央を崩されると、PA内中央で受けたダ・ムバビに右足でシュートを打たれ、ブロックに入ったDF有吉佐織(日テレ)の足に当たった。これにGK福元美穂(岡山湯郷)は逆を突かれたかたちで、ボールはゴール右に吸い込まれた。さらに、アディショナルタイムに入ってからは、この試合2本目のPKを献上。MFシモーネ・ラウデールに確実に決められ、ダメを押された。

「辛抱強く、流れの中で我慢強くやりながら、終盤までよく耐えながら戦ってくれた。コンディションはいいが、(20日のニュージーランド戦からの)連戦ということで、間もなく体が全体的に重かったのかな」
 佐々木則夫監督がこう分析するとおり、なでしこは球際の争いで一歩出遅れる場面が多く見受けられた。大儀見は「サブの選手を含めて、ひとりひとりの質、プレーの精度をもっと上げていかないと、このレベルでは勝ちきれないと感じた」と課題を挙げた。

 それでもフィジカルの強い相手に大儀見のポストプレーが機能するなど、これまでのなでしこになかった力強い部分が見られた。宮間も「今までなかった攻撃、セットプレー以外からの得点も増えてきている」と手応えを口にした。7月の東アジアカップ(韓国)では、新たなスタイルも駆使しながら大会3連覇に挑む。