15日(日本時間)、サッカー日本代表(FIFAランキング44位)はベルギー代表(同5位)と親善試合を行ない、0対1で敗北した。後半27分、FWロメル・ルカク(マンチェスターユナイテッド)にヘディングで決められた。ヨーロッパ遠征は2連敗となった。

 

 長澤、先発で初出場(ブリュージュ)

日本代表 0-1 ベルギー代表

【得点】

[ベ] ロメル・ルカク(72分)

 

 代表に初選出され、注目の集まるMF長澤和輝(浦和レッズ)を先発出場させるなど、ブラジル戦からスタメンを2人入れ替えて、ヨーロッパの強豪・ベルギーに立ち向かった。

 

 2分、7分と長澤が続けて中盤で相手のパスをカットし、右サイドのFW浅野拓磨(シュツットガルト)へスルーパスを通す。浅野はクロスを上げようとするも相手DFにブロックされた。得点には繋がらないがブラジル戦とは違い、中盤でのボール奪取と裏への動きが意識付けされていた。

 

 だが8分、最初のピンチが訪れる。ハーフウェイライン右からMFケビン・デブルイネ(マンチェスターシティ)がドリブルで持ち上がりペナルティーエリア内に侵入し、右足でシュート。これはGK川島永嗣(FCメス)が防いだ。

 

 13分にはMF山口蛍(セレッソ大阪)のパスを敵陣でカットされ、一気にカウンターを食らう。右サイドからパスを受けたルカクが右足でシュートを放つも、川島がセーブ。事なきを得た。

 

 日本は前から囲い込み、守備から良いリズムを作った。長澤、山口、MF井手口陽介(ガンバ大阪)の中盤3人と左サイドのFW原口元気(ヘルタ)らが激しく上下動を繰り返し、相手にプレスをかけ続けた。

 

 守備で流れを引き寄せた日本は少しずつ攻撃に転じる。26分に右サイドのDF酒井宏樹(マルセイユ)のクロスからFW大迫勇也(ケルン)がヘッド。31分にはロングボールで相手DFラインの裏に抜け出した浅野がシュートを放つ。40分には右サイドで得たFKからDF吉田麻也(サウサンプトン)が頭で合わせた。チャンスは作ったものの、いずれもゴールにはならなかった。

 

 強豪相手に良いリズムで試合を折り返した日本。しかし、後半に入ると、ハイプレスで体力を消耗したのか足が止まり、ベルギーに徐々に試合を支配された。中盤で数的有利を何度か作られ、きわどいパスを通される場面が増えた。

 

 27分、試合が動いた。MFナセル・シャドリ(ウェストブロミッジ)に左サイドを単独で突破されてクロスを上げられる。このボールをファーサイドでルカクに頭で押し込まれ、先制を許した。日本は運動量が低下し、シャドリの突破に誰もついていけなかった。ルカクはこのゴールで代表通算31点目とし、ベルギー代表歴代単独トップに立った。

 

 反撃を狙う日本のヴァイッド・ハリルホジッチ監督はFW杉本健勇(セレッソ大阪)やFW乾貴士(エイバル)ら攻撃的なカードを切る。だが、後ろに傾いてしまったチームの重心は戻らなかった。ラインが上がらず、前からプレスをかけられぬまま試合は終了した。

 

 ブラジル戦とは違い、序盤からハイプレスをかけてチャンスは作れたものの、決めきれなかった。この戦い方を選ぶのであれば前半のうちに得点しないと、後半に待っているのは日本のガス欠である。体力がありプレスが機能しているうちにリードしないと、後半は一転してピンチを迎えてしまう。ベルギーとの親善試合は、スコア以上に差があったとみるべきだろう。

 

 既視感がある。前半はハイプレスがはまり、良いリズムだったものの後半20分過ぎから足が止まり、立て続けに3失点した2009年9月のオランダとの親善試合が脳裡をよぎった。

 

 今回の遠征でハリルジャパンは初めて世界の強豪とのマッチアップだった。結果は2戦とも完敗。本番まで残り約7カ月。日本代表は今後、どのように軌道修正を図るのだろうか。

 

(文/大木雄貴)