(写真:「目標は優勝だ」と語ったハリルホジッチ監督)

 29日、日本サッカー協会(JFA)は12月9日から始まる東アジアE-1サッカー選手権2017決勝大会の日本代表(FIFAランキング55位)メンバー23人を発表した。全て国内組の選手で構成され、MF三竿健斗(鹿島アントラーズ)DF初瀬亮(ガンバ大阪)、FW伊東純也(柏レイソル)ら5名が初選出。FW金崎夢生が約1年半ぶりに代表復帰を果たした。FW杉本健勇(セレッソ大阪)らもヨーロッパ遠征に続き選ばれた。日本代表は9日に北朝鮮代表(同114位)、12日に中国代表(同60位)、16日に韓国代表(同59位)と総当たりのリーグ戦を行う。

 

 東アジア選手権は国際サッカー連盟(FIFA)の公式戦ではないため、選手を拘束する権利がJFA側にはない。そのため、オール国内組で挑む。また、25日にAFCチャンピオンズリーグで優勝した浦和レッズは同時期に行われるFIFAクラブワールドカップに出場するため、同クラブからの選出も見送られた。中盤で潰し役を担うMF山口蛍(セレッソ大阪)は負傷の影響で選外となった。

 

 日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「自らA代表候補に名乗り出ることを期待している」と語り、サバイバルレースを煽った。

 

 初選出は5名。三竿、初瀬、伊東の他にDF山本脩斗(鹿島アントラーズ)、FW阿部浩之(川崎フロンターレ)だ。指揮官は代表ニューフェイスに対し、期待や選考理由を壇上で述べた。

 

 首位を走る鹿島の中盤の底を支える三竿については「2、3カ月前からチェックしている。ボールを奪える選手。奪った後のファーストパスも面白い。他の選手よりも力強い」と太鼓判を押す。デュエルで強さを発揮する山口の戦線離脱で巡ってきたチャンス。鹿島でのプレーをそのまま出せれば、今後も代表に食い込んでくる可能性を秘める21歳のボランチだ。

 

 左右両足でセットプレーを蹴れるサイドバックの初瀬。「プレーの質が高く、若い選手で伸びしろがある。左右のキックを持っていて、攻撃的で面白い。代表の中で彼のレベルはどうなのか見てみたい」(ハリルホジッチ監督)。中盤でもプレー可能なスイッチキッカーに攻撃での貢献を期待している。

 

 右サイドのスピードスター・伊東に関しては「仕掛けるタイプ、違いを生み出せる」と口にし、鹿島のサイドバックの山本脩斗は「ヘディングが強い。北朝鮮や中国は空中戦が強いので彼が必要」と高さを買ったことを明かした。川崎Fのアタッカー阿部は「サイドもトップ下もできる」とユーティリティー性を評価されての選出となった。

 

 また、鹿島の金崎は2016年5月以来の代表復帰だ。昨年8月、所属クラブの石井正忠監督(現大宮アルディージャ)に交代を命じられたことに激高。握手を拒み詰め寄る場面も見られ、ハリルホジッチ監督も「代表選手にふさわしくない」と語り、“追放”されていた。自身の行動を反省し、1年半フォア・ザ・チームの精神でサッカーに向き合った。今季はリーグ戦12得点。鹿島の攻撃を牽引してきた。

 

 代表指揮官は金崎に対し、こう賛辞の言葉を並べた。

「不適切な行動で評価できなかった。しかし、過去のことであり、私も忘れました。現在は文句のつけようのないパフォーマンスを見せている。デュエルの場面でアグレッシブにいける選手。(同じポジションを争う)FW杉本健勇(セレッソ大阪)やFW小林悠(川崎フロンターレ)にも金崎のようなアグレッシブさを身につけて欲しい」

 

 新戦力と復帰組で優勝を狙うハリルジャパン。海外組がいない今回の大会は、これまで出場機会の少なかった国内組にとってロシアW杯に向けた大きなアピールの舞台となる。ギラギラしたポジション争いも東アジア選手権ならではの見所である。

 

【日本代表メンバー】

GK

東口順昭(ガンバ大阪)

中村航輔(柏レイソル)

権田修一(サガン鳥栖)

DF

西大伍(鹿島アントラーズ)

初瀬亮(ガンバ大阪)

車屋紳太郎(川崎フロンターレ)

山本脩斗(鹿島アントラーズ)

三浦弦太(ガンバ大阪)

植田直通(鹿島アントラーズ)

昌子源(鹿島アントラーズ)

谷口彰悟(川崎フロンターレ)

MF

三竿健斗(鹿島アントラーズ)

今野泰幸(ガンバ大阪)

井手口陽介(ガンバ大阪)

高萩洋次郎(FC東京)

大島僚太(川崎フロンターレ)

清武弘嗣(セレッソ大阪)

FW

伊東純也(柏レイソル)

小林悠(川崎フロンターレ)

倉田秋(ガンバ大阪)

阿部浩之(川崎フロンターレ)

杉本健勇(セレッソ大阪)

金崎夢生(鹿島アントラーズ)

 

(文・写真/大木雄貴)