25日、AFCチャンピオンズリーグ決勝セカンドレグの浦和レッズ対アルヒラル(サウジアラビア)が埼玉スタジアムで行われ、浦和は1対0でアルヒラルに勝利した。試合は後半43分に浦和のFWラファエル・シルバが右足でゴールネットを揺らした。敵地で行われたファーストレグは1対1の引き分けだった。2戦合計のスコアが2対1となり、10年ぶりにACLを制覇した。

 

 大会MVPは柏木(埼玉スタジアム)

浦和レッズ 1-0 アルヒラル

【得点】

[浦] ラファエル・シルバ(88分)

 

 敵地でのファーストレグで貴重なアウェーゴールを奪い1対1で引き分けた浦和は、ホームでのセカンドレグはスコアレスドローでも優勝という条件だった。しかし、自陣に引いて守りに徹することはしなかった。いつもの4-1-4-1ではなく、MF長澤和輝をトップ下に置く4-2-3-1に変更し、前から果敢にプレスをかけた。攻撃でも前回よりボールを持つ時間も長かった。

 

 開始1分、8分と続けてペナルティーエリア手前で相手のボールをカットした長澤が左足でミドルを放った。いずれも得点には至らなかったが、攻撃的にいくという意志が存分に表れていた。11分にはシルバがMF柏木陽介の右サイドからのフリーキックに頭で合わせた。ゴールネットを揺らすかと思われたが相手DFにブロックされた。

 

 26分、良いリズムでアルヒラルゴールに迫っていた浦和に最初のピンチが訪れた。MFニコラス・ミレシからゴール前でパスを受けたMFサレム・アルダウサリにDF宇賀神友弥をダブルタッチでかわされ、右足で強烈なシュートを放たれた。ボールはバーのぎりぎり上を通過し、難を逃れた。

 

 以降、お互いに中盤での潰し合いが激しくなる。決定機こそ減ったが、ピリッとしたゲーム展開のまま試合を折り返した。

 

 後半に入っても最初にチャンスを作ったのは浦和だった。2分、左サイドからの宇賀神のクロスを長澤がシルバに落とす。シルバは左足でシュートを放つもダフッてしまいゴール左へ外れた。16分にはコーナーキックのピンチから一転、浦和のカウンターが発動。ハーフウェイライン付近でボールを拾った柏木がドリブルで独走する。ペナルティーエリアに侵入したところで左足のシュートを打つがアウダウサリにブロックされた。

 

 ファーストレグより確実に決定機を多く作った浦和だが、なかなか決めきれい。しかし、このままだとアウェーゴールの関係で敗れるアルヒラルイレブンにも焦りの色が出始めた。34分だった。DF遠藤航にアフター気味でチャージにいったアウダウサリが痛恨の2枚目のイエローカードで退場になる。こうなれば浦和ペースにより拍車がかかる。無理に攻めることはせずに虎視眈々とチャンスを伺った。

 

 そして浦和の我慢が43分に実る。センターサークル付近からMF武藤雄樹が前線のシルバに縦パスを供給。シルバは鋭い反転で背負っていたDFオサマ・ハウサウイと入れ替わるようにして前を向いた。ワンタッチでボールをコントロールすると間髪いれず右足を振り抜く。シルバの鋭いシュートはゴール右上に突き刺さった。待望の先制点にスタジアムは大歓声に包まれた。

 

 アディショナルタイムは4分。浦和はコーナーにうまくボールを運び、時間を使う。1点のリードを守り切り、10年ぶり2度目のアジアチャンピオンとなった。

 

 ACL決勝2試合で連続ゴールと大活躍のシルバは「言葉にならない喜び。チームに感謝したいです。みんなが自分の力を振り絞った結果です」と喜びを噛みしめた。

 

 大会MVPには柏木が選ばれた。浦和の司令塔は「嬉しく思いますが、個人的には(MVPは)僕じゃないと思う」と謙遜した。今日の戦いについては「堀(孝史)監督のサッカーを貫いた。チームで意思統一ができていた。堀監督のもと、選手みんながひとつになって得た結果です」と振り返った。

 

 浦和はアジア王者として12月にUAEで行われるFIFAクラブワールドカップに準々決勝から参戦する。開催国王者のアルジャジーラとオセアニア王者のオークランドシティ(ニュージーランド)の勝者と戦い、勝てば準決勝でヨーロッパ王者のレアル・マドリード(スペイン)と対戦する。昨年の鹿島アントラーズが世界2位になったように、浦和も快進撃を起こせるか。Jクラブ代表として世界舞台での躍進に期待したい。

 

(文/大木雄貴)