福岡ソフトバンクホークスが「日本一」の座を奪回して幕を閉じた2017年のプロ野球。来シーズンに向けた戦いが、早くも始まっている。

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 日本、台湾、韓国の3カ国を中心に、若手選手の育成を目的とした「アジアウインターベースボールリーグ(AWB)」が今年も台湾で開催されている。11月25日から優勝決定戦の12月17日までの約3週間、6チームの間で争われる。

 

 日本からは3チーム。昨年優勝のNPBウエスタン選抜(福岡ソフトバンク、阪神タイガース、オリックスバファローズ、中日ドラゴンズに今年は埼玉西武ライオンズが参加)と昨年準優勝のNPBイースタン選抜(横浜DeNAベイスターズ、読売ジャイアンツ、東京ヤクルトスワローズ、千葉ロッテマリーンズ、東北楽天ゴールデンイーグルス)、そして新たに社会人チームで編成する「JABA選抜」が加わることになった。残り3チームは台湾プロ野球(CPBL)選抜、韓国プロ野球(KBO)選抜、ヨーロッパ&アメリカ合同チーム。リーグ戦の後、上位4位で決勝トーナメントを行う。

 

 燕・山田、オリ・吉田に続け

 

 2012年にアジア初のウインターリーグとしてスタートしたAWB。次世代のスター候補たちが飛躍のきっかけをつかむ場として注目を集めている。

 

 第1回大会に出場した山田哲人(東京ヤクルト)がまさにその象徴だが、昨年の大会で言えば、5割以上の打率を叩き出して最優秀打者賞に選ばれたのが吉田正尚(オリックス)だった。2年目の今季、腰痛に悩まされて64試合の出場にとどまりながらもオリックスの中軸として打率3割超えを果たしている。そのほかオコエ瑠偉(東北楽天)、平沢大河(千葉ロッテ)、青柳晃洋(阪神)ら期待の若手がこぞって参加した。

 

 では、今大会における「見るべき若手」を紹介したい。

 

 その筆頭が横浜DeNAの細川成也だろう。ドラフト5位のルーキー外野手は10月3日の中日戦で初めて1軍登録されると、5番起用の大抜擢。初打席でバックスクリーン直撃の特大3ランを放ち、その期待に応えた。翌日にも右翼席に2号ソロを放っている。また、クライマックスシリーズ、日本シリーズでも代打でヒットを記録しており、“秘密兵器”として存在感を発揮した。憧れる筒香嘉智を彷彿とさせる19歳の大型スラッガーに、一番の注目が集まることは間違いない。

 

 ウエスタン選抜で目を引くのがオリックスの正捕手、若月健矢の参加だ。捕逸のない高い守備力と、強肩がウリ。打撃面はまだまだとはいえ、今季は開幕マスクを勝ち取るなど自己最多の100試合に出場した。11月には「アジアプロ野球チャンピオンシップ」に出場するU‐24侍ジャパンの追加選手として招集されている。

 まだ22歳と若く、これからの伸びしろを考えれば球界を代表するキャッチャーに成長する可能性を秘めている。ウインターリーグで新たな経験値を得ることは、来季に必ず活きてくるはずである。

 

 巨人の大卒ドラ1ルーキーの吉川尚輝も楽しみな一人だ。

 細川が特大ホームランを放ったその日、3度目の一軍昇格を果たした吉川はヤクルト戦で「2番・二塁」で先発。3安打の猛打賞と2盗塁を決めた。守備範囲も広く、「攻・走・守」いずれのポテンシャルも高いことを証明した。来季に向け、“大化け”の予感が漂っている選手だと言っていい。

 

 ドラフト候補にも注目!

 

 次に投手に目を向けたい。

 ヤクルトの高卒ドラ1左腕、19歳の寺島成輝はケガで出遅れた分、このアジアの舞台から巻き返してくるのではないか。そんな期待を抱かせる選手ではある。

 

 プロ初登板初先発となった9月30日の中日戦は、3回0/3を5安打5失点と散々な内容だった。とはいえ、まずはプロのレベルを実感できたことが何より大きい。球速は140キロそこそこと少々物足りなかったが、いろいろと「探りながら、感じながら」の投球ではあった。全体の構成力、駆け引きに長けているピッチャーであり、エース背番「18」を背負う男がこの経験を踏まえて、いかに変化していくかを見てみたいと思う。

 

 ウエスタン選抜では昨年、決勝戦でMVPに輝いた中日の「18番」鈴木翔太が今年もメンバー入りしている。今季、プロ4年目で初勝利を挙げており、2年連続の快投に期待が集まる。

 

「JABA選抜」では来年のドラフト候補が顔をそろえている。各球団にとってプロとの対戦は、いい指標となるだろう。

 右腕、左腕一人ずつ注目選手を挙げるとすれば、右はパナソニックの吉川峻平だ。150km近いストレートとキレのあるシンカーが特徴で、関西大時代から注目を集めていた。7月の都市対抗野球では三菱自動車岡崎戦で14奪三振を奪うなど、評価をグングンと上げている。

 

 左は日本生命の高橋拓巳。多彩かつキレのある変化球が持ち味だ。

 先の日本選手権では好リリーフを続けながらも、決勝のトヨタ自動車戦で決勝タイムリーを打たれ、悔し涙を流している。それでも敢闘賞に輝いたことは自信になったはずである。

 

 見どころ満載のAWB。台湾の地で飛躍を遂げるのは、誰か――。

 

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放送スケジュール

・12月2日(土)19:00~ NPBイースタン・リーグ選抜vs.NPBウエスタン・リーグ選抜 GAORA SPORTS

・12月3日(日)19:00~ NPBウエスタン・リーグ選抜vs.JABA選抜 スカチャン1

・12月6日(水)13:00~ JABA選抜vs.NPBイースタン・リーグ選抜 BSスカパー!

・12月7日(木)13:00~ JABA選抜vs.台湾プロ野球選抜 BSスカパー!

・12月8日(金)13:00~ NPBウエスタン・リーグ選抜vs.NPBイースタン・リーグ選抜 GAORA SPORTS

・12月9日(土)13:00~ NPBイースタン・リーグ選抜vs.JABA選抜 BSスカパー!

・12月13日(水)19:00~ NPBウエスタン・リーグ選抜vs.JABA選抜 スカチャン1

・12月14日(木)19:00~ 台湾プロ野球選抜vs.NPBウエスタン・リーグ選抜 GAORA SPORTS

・12月16日(土)13:00~ 予選2位vs.予選3位 BSスカパー!

         19:00~ 予選1位vs.予選4位 GAORA SPORTS

・12月17日(日)13:00~ 3位決定戦 GAORA SPORTS

         19:00~ 優勝決定戦 GAORA SPORTS

 

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