日本時間13日、クラブワールドカップ(CWC)5位決定戦がUAE・アルアインで行われ、アジア代表の浦和レッズがアフリカ代表のウィダード・カサブランカ(モロッコ)を3-2で下した。前半19分、DFマウリシオのミドルで浦和が先制。21分に追いつかれたものの、26分にMF柏木陽介が決めて勝ち越しに成功した。後半15分にはマウリシオのゴールでリードを広げる。終了間際にPKで1点を返されたが、1点差で逃げ切った。

 

 8月加入のマウリシオ、2得点の活躍(UAE・アルアイン)

ウィダード・カサブランカ 2-3 浦和レッズ

【得点】

[ウ] イスマイル・エルハダッド(21分)、レダ・ハジュージ(90+4分)

[浦] マウリシオ(18分、60分)、柏木陽介(26分)

 

 10年ぶりにアジアチャンピオンズリーグを制し、CWCに参戦している浦和は準々決勝で開催国王者のアルジャジーラ(UAE)に敗れた。5位決定戦にまわり、アフリカ王者のウィダード・カサブランカと対戦。選手たちが口にしていた欧州王者のレアル・マドリード(スペイン)との対戦は夢に終わったが、アジア王者としての意地を見せたい試合だった。

 

 先制点がカギを握るこの試合。最初にゴールネットを揺らしたのは浦和だった。18分、相手陣内右サイドからのスローインをMF青木拓矢が受けて、ピッチ中央のマウリシオへパス。ボールを受けたマウリシオはゴールから約30メートルの位置で迷うことなく右足を振り抜く。外から巻いたシュートはゴール右隅に突き刺さった。今大会、初先発を果たしたブラジル人DFが貴重な先制点を奪った。

 

 しかし、その3分後、思わぬ形でウィダード・カサブランカに反撃を食らう。自陣左サイドでFKを与えると、レフティーのFWイスマイル・エルハダッドにインスイングのボールをゴール前に上げられる。このクロスボールに誰も触ることができず、ワンバウンドしてゴールに吸い込まれてしまった。

 

 試合は速いテンポで動く。26分、再び浦和がリードする。敵陣ペナルティーエリア付近でFW興梠慎三がFW武藤雄樹に落とす。武藤が左サイドに展開し、ボールを受けたWラファエル・シルバが浮き球でクロスをゴール前に供給する。このボールに2列目から走り込んだ柏木が左足アウトサイドで合わせてゴールネットを揺らした。

 

 攻めるしかない相手に対し浦和は引いてしのぐ時間が少しずつ増える。試合を折り返してもその流れは変わらなかったが、今度はセットプレーから活路を見出した。後半15分、相手陣内右サイドの深い位置で得たFK。壁のすぐ後ろにポジションを取った興梠が右サイドに流れるとキッカーの柏木はショートパスを出す。フリーでサイドに抜け出た興梠のグランダーのクロスは相手DFにクリアーされるが、こぼれ球をペナルティーエリア内にいたマウリシオが右足インサイドで合わせてリードを2点に広げた。

 

 こうなると浦和は無理をする必要はなくなった。むやみに前から追わず、自陣で守備ブロックを作った。相手に押し込まれても最後のラストパスの場面でしっかり相手に体を当てて、精度の高いボールを入れさせなかった。終了間際にビデオ・アシスタント・レフェリー(ビデオ判定)によりPKを取られ、失点を喫したが3対2で浦和がCWC5位決定戦を制した。

 

 2007年以来のアジア王者に輝き世界の晴れ舞台に駒を進めた浦和だったが、今季はリーグ7位と決して順調ではなかった。今までメンバーを固定して戦ってきた代償として、チーム内に競争の意識が低下し、Jリーグでは不振に陥った。夏に約5年半、指揮を執ったミハイロ・ペトロビッチを解任し、堀孝史コーチを監督に昇格させてから、流れが変わった。今まで陽の目を浴びなかったMF長澤和輝や青木らにチャンスが与えられてチームが活性化した。攻撃ありきのスタイルから堀体制の下、守備を整備。ここ一番でも粘り強く耐えられるようになってきた。2月下旬に開幕するJリーグでの浦和の反撃に期待したい。

 

(文/大木雄貴)