“チームのために最も貢献した魂あふれるプレー”に贈られるNPBの「ジョージア魂賞」では、このほど2013年の第6回目の受賞プレーが決まりました。今回は阪神・大和選手が6月29日(対広島)にみせたサヨナラ勝利を呼ぶ“打”での活躍に対して賞が贈られます。

(写真:今季は完全にレギュラー定着。リーグトップタイの27犠打を決め、つなぎ役として不可欠の存在に)
 今回のジョージア魂賞は、6月14日から7月4日にかけて行われた公式戦から山田久志氏(元阪急)、衣笠祥雄氏(元広島)、梨田昌孝氏(元近鉄)、工藤公康氏(元西武)、小林光男氏(週刊ベースボール編集長)、二宮清純(当HP編集長)の6名の選考委員によってノミネート6プレーが選出され、「ジョージア ベースボールパーク」のサイト上や、Facebookの“いいね!”ボタンを通じたファン投票により、決定しました。大和選手のプレーには、総投票数59,309票中、最多の14,988票が集まりました。

 なお、第5回のジョージア魂賞には、巨人・小笠原道大選手が6月5日(対北海道日本ハム)にみせたサヨナラ本塁打を架けた魂のフルスイングが選ばれています。小笠原選手のプレーには、総投票数37,131票中、最多の10,016票が集まりました。受賞者にはトロフィーとともに副賞としてジョージア製品1年分(12ケース)、賞金30万円が贈られます。
(写真:ここ数年は不振に苦しみ、実に2年ぶりのアーチだった)

「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、選考委員のひとりでもある二宮清純の書き下ろしコラム「アナザースピリット 〜 チームを支える魂のプレー〜」のコーナーが好評連載中です。惜しくも受賞は逃したものの、二宮が印象に残ったノミネートプレーを毎月1回ペースで選び、コラムを執筆します。今回は第5回にノミネートされていた横浜DeNA・三浦大輔投手(6月12日、対千葉ロッテでのチームの士気を鼓舞した完封)について書いています。

 当サイトでは特別に、前回更新された中日・荒木雅博選手(5月8日、対東京ヤクルトでの連敗を止めた執念のヘッドスライディング)に関するコラムを紹介します。

 中日・荒木雅博「鬼気迫るダイビングの裏側」

 一塁ベースに向かってヘッドスライディングするより、駆け抜けたほうが速いという説がある。打者走者のヘッドスライディングの技術にもよるため、一概にそうは言えないのではないか、とも思うが、冒頭の説を唱える野球経験者は少なくない。
(写真:開幕から成績は振るわないが、ここぞという時には必要な選手だ)

 もうひとつ別の視点からヘッドスライディングに反対するOBもいる。代表的なのが史上最多の盗塁記録(1065個)を持つ福本豊だ。その理由をレジェンドはこう述べる。
「ヘッドスライディングをやると、首にガンと衝撃が走ります。これはケガにつながる。防げるケガは前もって防ぐのがプロやと思うんです。少年野球でヘッドスライディングをやらせる指導者もいるけど、“いっぺん、自分でやってみてや。その怖さを体験してください”と僕は言うてます。子供がケガしたら一生が台無しになりますよ」

 走塁のスペシャリストが、こう述べるのだから、その通りなのだろう。しかし、頭では分かっていても気持ちがつい前に出てしまうことはプロの選手にだってある。それが5月8日、中日・荒木雅博の東京ヤクルト戦でのプレーだった。

 このゲームが始まる前、中日の順位は最下位。しかも4連敗中ということもあって、ベンチの空気は沈んでいた。

 ヤクルトとの一戦はシーソーゲームとなった。追いつ追われつ、5−5の同点で迎えた6回表、1死三塁の場面で荒木に打席が回ってきた。ピッチャーは押本健彦。追い込まれてからのフォークボールに荒木はくらいついた。

 打球は押本の体に当たり、ファースト畠山和洋の前に転がった。タッチを試みる畠山のグラブをかいくぐり、荒木が一塁ベースにヘッドスライディングを敢行した。
 判定はセーフ。中日は6−5と勝ち越しに成功した。地面を叩いて喜ぶ荒木の姿に触発されたのか、リリーフ陣が残りの4イニングを0点に抑え、1点差ゲームをモノにした。35歳の鬼気迫るダイビングが、5日ぶりの勝利を呼び込んだのである。

 もちろん、荒木にすれば咄嗟の判断だったに違いない。あれは、やろうと思ってできるプレーではない。しかし、負けが込んでいるチームに、一番必要なものは何か。自分には何ができるか。そのためには、どんな準備をすべきか――。

 ベテランは、そのことを絶えず考えていたはずだ。それが乾坤一擲のプレーとなって結実したのである。Bクラスに低迷する中日にあって、彼が巻き返しのキーマンであることは言うまでもない。
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「ジョージア ベースボールパーク」では現在、第7回ジョージア魂賞ファン投票も合わせて実施中です。東北楽天・則本昂大投手、広島・野村祐輔投手、横浜DeNA・鶴岡一成捕手、福岡ソフトバンク・嘉弥真新也投手、中日・平田良介選手、オリックス・金子千尋投手の6プレーがノミネートされています。投票は8月14日(水)まで。ぜひ参加してみてください。

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