田口竜二(元プロ野球選手、(株)白寿生科学研究所人材開拓課長)第45回「セカンドキャリア支援は道半ば。これからも頑張ります!」
皆様、新年あけましておめでとうございます! 今年始まったばかりでどのチームが優勝するかの話は少し早いかもしれませんが、ファンの皆さんは今からワクワクしているのではないでしょうか。どこが勝つかはわかりませんが、選手にはファンのためにいいプレーをし、応援して良かったと思ってもらえるよう頑張ってほしいものです。
さて、このコラムでは何度も過激な発言を多々してきましたが、野球界への愛があり、そして未来ある子供たちのためを思うからこそ出てきた言葉の数々ととらえていただければと思います。今年、最初の原稿は自分の今の仕事の取組みを改めて書かせていただきます。
セカンドキャリア支援を始めるきっかけになったのは、弊社の副社長・原浩之が「田口さん、野球選手のセカンドキャリア先のひとつとして引退した選手たちを受け入れたいね」と常々話していてくれたことでした。以前にも少し書きましたが、私はホークスの営業部に在籍したころから、選手のセカンドキャリアを真剣に考えるようになり、Jリーグのキャリアサポートセンターに行って話を聞いたり、専門学校と提携して何かできないかと思案したりして、思いがどんどん膨らんでいきました。
上司に「選手のセカンドキャリアを考えて、いろんな勉強の場を作った方がいい。専門学校も協力してくれると言っているし、選手のためになると思う」と進言したところ、その上司がお偉方の会議で自分の考えを話してくると言ってくれました。しかし、残念なことにある大物の方に「野球選手は野球のことだけ考えればいい。勉強する時間があれば練習すればいいんだ」と、自分の意見は一蹴されてしまいました。
その方は現役で実績を残し、プロの世界に残れている人だから、夢破れた後に就職先に困る人間の気持ちが分からないし、分かろうともしてないんだろうなと悲しくなってしまいました。野球界には人間を育成しするシステムが存在しない。いつまで経っても現役時代の実績が物差しになってしまう……。そんな世界に自分がいることが許せなくなったことを今でも思い出します。
そんな理不尽な考え方に対し、忸怩たる思いを持っていた時期に、野球を愛してくれている原副社長が「ウチの会社で一緒に働きませんか?」と声をかけてくれました。そして「ゆくゆくは選手のセカンドキャリア先企業として受け入れ態勢を作りたい」と熱く語ってきれました。
それが15年前のことです。そして少し動き始めたのが7年前。当初は引退した選手たちの情報を集め、実際に何人かの元選手たちに会い、彼らの気持ちを聞き、そして未来について語っていました。キャリア支援を始めたころは会社から完全なバックアップがあったわけではなかったので、彼らに対し未来を見せることができなかった部分が多々ありました。
現在はプロ野球(NPB)に限ることなく、BCリーグ、四国アイランドリーグPlus、社会人、大相撲、Jリーグなど積極的に声をかけさせてもらっています。特に独立リーグとの関係は深くなり、「選手のセカンドキャリア先の企業」として白寿はセミナーや会社説明会を開催するようになり、独立リーグだけでいうと15名を雇用した実績ができました。
ただ、セミナーを毎年行って残念に思うことは、選手の多くが「野球が終わったらすべてが終わる」と勘違いしていて、その先にどんな未来が待っているか想像できていないところがあります。これは野球選手に限らずです。人生をかけてそのスポーツに打ち込んできて、終わりを迎えるとなると前を向けなくなる。そうした選手の気持ちは少なからず理解できるので、セミナーではこう言っています。
「マインドセットができないと次への成功が待っていないんだ。君たちは成功するために頑張ってきたんだから頑張り方を知っている。野球がダメだったなら気持ちを切り替え次の世界での成功を目指して頑張ろう」
2年前、アスリートのキャリア支援に熱い考えを持ってくれている有志たちと「アスリートエージェント」を立ち上げました。プロや社会人などだけではなく、大学生(アスリート限定)の就職支援サポートも実施しています。ただの就職支援会社ではなく、「就職を考える前にやらなければいけないマインドセット」、そして「教育」をメインとした会社なので、もし読者の皆さんの中に「仕事がつまらない」「転職したい」と思っている方がいらっしゃれば一度「アスリートエージェント」を検索していただけたらと思います。
先日もあるニュース記事に「人の成功はIQより動機づけの強さだ」と書いてありました。自分も「人生で一番大切にしないといけないことはモチベーションマネジメントだ」と至るところで語ってきました。この考えが多くの人たちに伝わり、スポーツで頑張ってきたように、社会に出ても頑張る人材になれるようお手伝いができたら嬉しいですね。