(写真:恒例となっているゴール後のお辞儀パフォーマンス)

 世界ランキング9位のアイスホッケー女子日本代表(スマイルジャパン)の平昌五輪壮行試合「スマイルジャパン ブリヂストン ブリザックチャレンジ」が24日、東京・ダイドードリンコアイスアリーナで開幕した。同7位のドイツ女子代表と対戦したスマイルジャパンは第1ピリオドでFW小野粧子(フルタイムシステム御影グレッズ)が決めて、先制に成功。第2ピリオドではFW浮田留衣(Daishin)が2ゴールを挙げるなど、5得点のゴールラッシュ。守ってはドイツのシュートを3本に抑え、6-0で大勝した。

 

 開幕が迫る平昌五輪に向けて、国内最後の調整試合。ドイツとチェコを招いて8日で4試合を行う。中1日のスケジュールは平昌五輪の予選リーグと同じだ。キャプテンを務めるFW大澤ちほ(道路建設ペリグリン)は「オリンピック初戦という気持ちでやろうと話していました」と語った。平昌では当たらないドイツだが、世界ランキングではスマイルジャパンより上。腕試しには悪くない相手と言えよう。「スタートから自分たちのホッケーができた試合なんじゃないかなと思います」と大澤は振り返る。

 

(写真:前線から厳しいチェックでドイツにリズムを作らせなかった)

 第1ピリオドはなかなか得点が生まれなかった。4分過ぎにあったパワープレー(相手の一時退場により、数的有利の状況)も生かせなかった。均衡を破ったのは12分36秒、DF床亜矢可(SEIBUプリンセスラビッツ)が自陣でパックを持つと、一気に前線へパスを送る。パックを受けた小野はGKと1対1の大チャンス。36歳のベテランは落ち着いて、ゴールに流し込んだ。第1ピリオドはこの1点のみだったが、相手のシュートを0本に抑えた。

 

 第2ピリオドに入ると、7分9秒のFW寺島奈穂(Daishin)のゴール前で押し込んだのを皮切りにゴールラッシュが始まる。8分23秒にはFW米山知奈(道路建設ペリグリン)が個人技で続いた。13分9秒と16分5秒には浮田の連続得点。最後はFW藤本もえ子(トヨタシグナス)も決めた。このピリオドだけで5得点を挙げて、試合をほぼ決定付けた。第3ピリオドはノーゴールだったが、無失点で試合を締めた。

 

(写真:試合中にメモを取りながら指示を飛ばす山中監督<中央>)

 スマイルジャパンの山中武史監督は「失点ゼロ、3得点以上、相手のシュートを15本以内に抑える」を目標に掲げていた。選手たちは全てのタスクをクリアした。ドイツは前日に来日したばかりで「ベストコンディションにはほど遠い」(山中監督)という状態だったとはいえ、60分間で計3本しかシュートを許さなかった。「FWのバックチェック、DFが下がらずに守る。ディフェンスゾーンでも相手にスペースを与えなかった」と選手たちを高く評価した。

 

「点数が入り始めて少しプレーの雑さが出てしまった時間もありましたが、全体的には自分たちがやるべきことに集中できた60分間だった」と大澤。そして「オリンピック前の大事な4試合。ここで4勝して行かないと弾みにならない。ここで負けていたらオリンピックで勝てるチームじゃない」と気を引き締めた。

 

(文・写真/杉浦泰介)