4日、WBC世界フライ級タイトルマッチが沖縄県立武道館で行われ、王者の比嘉大吾(白井・具志堅スポーツ)が同級9位モイセス・フエンテス(メキシコ)を1ラウンド2分32秒TKOで下した。比嘉は2度目の防衛に成功。デビューから15連続KO勝ちを収め、浜田剛史らの持つ日本歴代1位の記録に並んだ。

 

 地元・沖縄での凱旋マッチ。ド派手なコスチュームに身を包んだ比嘉が、1ラウンドで相手を仕留めた。

 

「『倒す』と言って試合に臨んできた」。比嘉はWBOでミニマム、ライトフライ級で2階級制覇したメキシカン相手にも自らのスタイルを変えなかった。ピンクで統一されたグローブとトランクスとシューズ。色鮮やかなチャンピオンは、多彩なパンチをチャレンジャーにぶつけ続ける。

 

 決着はすぐに訪れた。圧力をかけ、ロープ際にフエンテスを追い込む比嘉。左のコンビネーションから最後は右のストレートを相手のボディに突き刺した。後退りしながら、挑戦者はたまらず膝をついた。なんとか立ち上がったものの、レフェリーが試合を止めた。

 

 わずか152秒で試合終了のゴングが鳴らされた。これで2014年6月のプロデビュー以来、全てKO勝ちのパーフェクトレコード。同郷の先輩・浜田らが持つ日本記録に並んだ。「偉大な先輩に並べて光栄です」と比嘉。地元で勝利の凱歌を上げた。

 

 37年ぶりとなった沖縄での世界戦。所属ジムの具志堅用高会長が14度目の防衛戦以来だ。連続KO記録もかかる防衛戦で、計り知れない重圧を感じていたはずだ。それでも比嘉は「プレッシャーのせいにできないのがプロだと思っている」と口にする。

 

「全て倒すことにこだわっていく」と比嘉。「KOがなければ普通のチャンピオン。特別なチャンピオンになるためにKO勝ちを続けます」と宣言した。新カンムリワシは更なる飛翔を誓った。

 

(文/杉浦泰介)