(写真:1位と2位の直接対決。試合前のピッチ内練習)

 愛媛FC U-18が参戦していた「高円宮杯U-18サッカーリーグ2017プリンスリーグ四国」は、11月に佳境に入った。

 

 気になる優勝の行方は、第14節終了時点、勝ち点差1の中でしのぎを削り合う首位・徳島ヴォルティスユースと2位・愛媛FC U-18の2チームにほぼ絞られた。残り4節、どんな結末が待ち受けているのだろうか……。

 

 11月18日(土)、前節から約2カ月の期間を空けてプリンスリーグが再開された。第15節の愛媛FC U-18の対戦相手は、宿敵の徳島ヴォルティスユース。優勝を争うチームの直接対決となった。後塵を拝す愛媛FC U-18にとっては、絶対に負けられない一戦であるし、一気に首位へと躍り出るチャンスでもあった。

 

 試合会場は、北条スポーツセンター陸上競技場(松山市大浦)。海側から吹きつける強い風の中、試合はスタートした。立ち上がり、敵陣へと積極的に攻め込むシーンも見せたが長くは続かず、相手に主導権を握られる。前半25分、敵のセットプレーの流れから、失点を喫す。その後も続く相手の攻勢に耐えつつ、反撃を試みる愛媛FC U-18。43分、MF谷川虎太郎選手の同点ゴールが決まった。良い時間帯での得点に逆転を期待する愛媛サポーター。しかし後半の立ち上がり、相手にゴールを決められ失速。さらに28分にはビハインドを2点に広げられてしまう。

 

 それでも2分後、意地を見せた。MF岩井柊弥選手のアシストからDF三輪田竜生選手のゴールが決まり1点差に詰め寄る。その後、惜しい場面も見られたが追いつくことはできず試合終了。最終スコア2-3で、愛媛FC U-18が大事な一戦を落とす結果となった。

 

 試合後、虚脱感にさいなまれる中、選手たちがサポーターのもとへ挨拶に来てくれた。選手たちは敗戦の謝罪と共に「残り3節、全勝します!」と誓ってくれた。気持ちの整理がつかない状況だったが、彼らを信じて「応援を続けなければならない」という使命を感じた。

 

 翌週の11月25日(土)は、愛フィールド梅津寺(松山市梅津寺町)にて、第16節となる徳島市立高校との試合が行われた。

 

 序盤は積極的な姿勢で相手ゴールを脅かす場面はあったが、スコアレスで試合を折り返した。後半に入っても決定機を見出せず、イライラする展開が続く。後半22分、一瞬の隙を突かれ相手に先制点を献上してしまった。

 

(写真:リーグ戦上位対決。徳島市立高校との対戦)

 このゴールでやっと目が覚めたのか、ここから愛媛FC U-18は猛チャージを仕掛ける。わずか1分後にMF塩崎彰選手のアシストからDF三原秀真選手のゴールが決まる。その6分後には、FW柳下将野選手の逆転ゴールが飛び出した。アディショナルタイムにはMF岡田蒼生選手の追加点も決まり、愛媛FC U-18が3-1勝利を収めた。

 

 12月2日(土)、しおさい公園競技場(伊予市森甲)にて行われた第17節は、明徳義塾高校と対戦した。立ち上がりからボールをキープし、早々に主導権を握る愛媛FC U-18。前半7分、MF渡邊創太選手のパスを受け、FW木田寿輝斗選手が先制ゴールを決める。

 

 22分、同点に追いつかれるも、愛媛イレブンは落ち着いていた。体勢を立て直し、敵ゴールへと襲い掛かる。35分、三原選手のアシストから谷川選手のゴールが生まれると、ここから怒涛のゴールラッシュが始まる。

 

 37分には、三原選手が得点、その3分後には、木田選手が追加点を挙げた。後半に入ると益々、勢いづく愛媛FC U-18。9分、13分と立て続けに塩崎選手のゴールが決まる。 22分には、木田選手がハットトリックを達成! そして45分、FW上岡陸選手のゴールでとどめを刺し、8-1で愛媛FC U-18が快勝した。

 

(写真:敵陣(徳島市立高校)ゴール前での攻防)

 ライバルの徳島ヴォルティスユースは第17節にて引き分けたため勝ち点差は2に縮まった。

 

 12月9日(土)、徳島スポーツビレッジC面(徳島県板野郡)にて、2017シーズンの最終節(第18節)となる高松商業高校との試合が行われた。

 

 最終戦、首位との勝ち点差は2。相手の結果次第では逆転優勝も有り得る。わずかな望みを胸に愛媛FC U-18の選手たちは全力のパフォーマンスをみせてくれた。前半37分に谷川選手の先制点で狼煙を上げると、その1分後には、DF遠藤真弥選手のアシストから塩崎選手がゴール。後半5分と19分にも塩崎選手が連続ゴールを決めた。29分に失点するが、得失点差で首位チームよりも優位に立ちたい愛媛FC U-18は、攻撃の手をゆるめない。

 

 37分には谷川選手が得点し、その2分後には、塩崎選手の4ゴール目が生まれた。更にその2分後には、三原選手のゴールが飛び出した。その後も、貪欲に敵ゴールを目指す愛媛FC U-18だったが、タイムアップの笛がなった。7-1で愛媛FC U-18は、2017シーズン最終戦を白星で飾った。

 

 気になる首位・徳島ユースだが、この日は勝利し、愛媛FC U-18は残念ながら優勝することはできなかった。

 

 それでも、終盤3節で見せた意地や執念は、プレーや結果からも、しっかりと伝わってきた。選手たちは「残り3節、全勝します!」という約束も守ってくれたので、悔しい準優勝ではあるが、褒めてあげたいとも思う。

 

 また最終戦終了後の閉会式では、四国リーグの得点王(19得点)として木田選手が表彰された。

 

 プリンスリーグ四国での年間成績は14勝2敗2引き分け(勝ち点44)。わずか2敗しかしていないが、優勝には至らなかった。選手たちやサポーターも、ひとつひとつの戦いの重要さを痛感した1年でもあった。

 

 このことは、チームを卒業していく3年生や彼らの意志を受け継ぐ2年生や1年生たちにも良い勉強になっただろう。ここで得た経験、その時の感情を胸に刻み、来る2018シーズンこそは、プリンスリーグ四国の頂点に立って欲しい。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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